犬種?少し複雑なんだ…
『犬人間』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
こちらはですね、「未体験ゾーンの映画たち2024」の上映作品の一つで、公開当時から気になっていた作品だったんです。
その時は私、『キック・ミー』という最高にイカれて面白い映画を観たんですけど、『犬人間』もそちらに劣らないヤバイ映画でした。

今回の記事では、『犬人間』について解説します。

前半ネタバレあり、後半ネタバレなしで解説するよ!
ネタバレなし解説
まずはあらすじから。
女子大生のシグリッドはデートアプリで億万長者のイケメン、クリスチャンと出会う。すぐさま惹かれ合うふたりだったが、ひとつだけ問題があった。クリスチャンは、犬の着ぐるみを着て常にクリスチャンの“飼い犬”として振舞っているフランクと暮らしているのだった。人間を”飼い犬“として飼っている以外は完璧な彼氏との交際を始めるシグリッドは、彼の別荘へ招待される。(C) 2022 Fredagsfilm
Amazon Prime Video作品ページより引用
『犬人間』はノルウェーの作品なんです。
ノルウェーの作品って、何となく独特な、冷たい雰囲気があるんですよね。
『シック・オブ・マイセルフ』とか『わたしは、最悪』、『イノセンツ』とか。
というか北欧の作品が割とそういう印象の作品が多い気がします。
『ハッチング』とか『胸騒ぎ』、『僕のエリ』なんかの得体の知れない恐さみたいなものを描く雰囲気は共通しているように思うんですよ。
あと、アキ・カウリスマキの作品のようなシュールさも何となく感じます。
最近でいうと『逆転のトライアングル』というスウェーデンの作品が、パルムドールを獲ったんですね。
これ、インフルエンサーみたいなキラキラしたセレブが、豪華クルーズの事故で無人島に漂着したことで、肉体労働者との立場が逆転してしまう様を描いた作品なんですが、『犬人間』のプロットは、この作品にも少し似てるところがあります。
ヒロインの前に突如現れたイケメンセレブみたいなところですね。
こういった先進的な要素と、北欧映画ならではの冷たくて得体の知れない雰囲気をじわじわと見せつけるのが『犬人間』という作品なんです。
そもそも、『犬人間』には夜のシーンがない。これなんでかというと、白夜なんです。ノルウェーでは夏至の前後である5月下旬から7月末まで、太陽が沈まない「白夜」が約75日間続きます。
外はめちゃくちゃ明るいのに、「そろそろ寝ようか」なんて言ってる。それだけでも、白夜を経験したことのない私たちからしたら結構気味が悪い。
それに加えて「人間を犬として飼っている」という得体の知れなさ。
あのイケメンセレブは狂人なのか。それとも犬人間の方が狂ってるのか。
これが分からないまま続いていく。本当、気持ちの悪い映画ですよ。いい意味で。
ネタバレあり解説
ここから先はネタバレありです。
割と序盤で、あのイケメンセレブが、人間を犬として扱っている認識はあるってことが明らかになるんですよね。
フランクという、かつて人間の友人であったと。過去に辛いことがあって、それから犬として生活しているんだと。だから、犬として扱ってあげてね。なんて言うんです。

しかし!43分頃に急展開が訪れます。
フランクがヒロインに話しかけてくるんですね。
「ここから逃げないと。あいつはイカれてる」
と。
結果、ヒロインも捕まっちゃって、2匹目の愛犬として飼われるはめに。
結局、イケメンセレブは超イカれてて、暴力で恐怖を植え付けて、逃げられないようにして、人間を犬として飼うサイコ野郎だと分かるんです。
この理由に関しては、色々考察ができますね。
家族が無いからその寂しさを埋めるための行動であるか。あるいは、家族も彼が犬のように扱って絶命させたか。だから、何度も繰り返し飼っているのかも。それこそペットのように。
で、やっぱり一番気になったのはラストシーンですよね。
何と、小さな子どもを今度は犬のように飼っている。
こちらの考察としては、
・ヒロインとイケメンセレブの子
・ヒロインとフランクの子
・実はあれは過去のイケメンセレブでエサをあげてるのは父親
このあたりが有力かなと思います。
どれであっても、衝撃的だし、胸糞悪いですよね。でも、いろんな想像を駆り立てられて、面白い。あえて短い映像だけで伝えてるのがいいなと思いました。
ところで、映画史上最も有名で印象的な犬人間といえば、『シャイニング』に出てくるあいつですね。
あいつは男性に奉仕するというキャラクターなんですよね。ケツのところ穴開いてますし。それがまたオーバールックホテルのクレイジーさを一層盛り上げているんです。
『犬人間』のフランクも、実はそういうことをさせられていたとしたら…。これまた気味悪さが増しますよね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『犬人間』について、ネタバレなしとネタバレありに分けて解説しました。

北欧ホラーの気味の悪さに、シャイニングや逆トラの要素も入った、なかなか恐ろしい映画です。でもちょっと笑えるところもあります。終始コントみたいで。

短い映画だから、サクッと観られるのもいいよね。
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