映画『PERFECT DAYS』
ヴィム・ヴェンダース監督の作品で、本作で役所広司さんがカンヌ映画祭主演男優賞を受賞しています。
東京の下町や、日本人の丁寧な暮らしを豊かに映し出す、素晴らしい映画でした。
ストーリーも役所広司さんの演技も素晴らしいんですが、本作は音楽も素晴らしいんです。
役所広司さん演じる平山は、前触れもなく目覚め、薄い布団をたたみ、階下に降りて身支度をはじめます。
顔を洗い、使い込まれた電気シェーバーを左右の頬にあてて、口髭をハサミで器用に整える。
無駄がない動き。ひょっとすると何十年も同じことをしてきたのではないかと思わせます。
着替えて車に乗ると、運転席のうえにある棚に手をのばし、適当につかんだ何本かのカセットを眺めて
すこしだけ考える。今までの無駄のないすべての動きがそのときだけ少し緩む。
選んだカセットを半分だけさして、アクセルを踏む。
そしてスカイツリーを見上げた後、カセットを差し込むと、音楽が流れだすんです。
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今回の記事では、『PERFECT DAYS』で使用された曲を紹介します。
![ダニー](https://www.three-minutes-philosophy.com/wp-content/uploads/2022/11/danny.png)
名曲がいっぱいだよ!
- The Kinks 「Sunny Afternoon」
- The Animals 「House Of The Rising Sun」
- Velvet Underground 「Pale Blue Eyes」
- Otis Redding 「The Dock Of The Bay」
- Lou Reed 「Perfect Day」
- Patti Smith 「Redondo Beach」
- The Rolling Stones [Walkin’ Thru The] Sleepy City
- 金延幸子 「青い魚」
- Van Morrison 「Brown Eyed Girl」
- Nina Simone 「Feeling Good」
- 今日の映学
The Kinks 「Sunny Afternoon」
この曲は、ヴィム・ヴェンダースの長編デビュー作『都市の夏』でも使用されています。
そのため、この曲を使うことには大変意義があるんです。
バックトゥベーシック、原点回帰。忙しない映画から、日常的で等身大の人物にスポットを当てた作品を創ろうという思いが表れているんですね。
The Animals 「House Of The Rising Sun」
アニマルズの曲です。
映画では石川さゆりさんが日本語で歌うシーンもありましたね。
アニマルズって、グループサウンズっぽいノリノリな印象が強いですが、こういったブルースも歌っているんですよ。
アニマルズの歌詞では、ニューオリンズで男性が破滅に向かっていくという歌詞です。
石川さゆりさんが歌っているのはちあきなおみさんバージョンで、女郎屋の女性の歌詞になっています。
ちなみにボブ・ディランもこの曲をリリースしているんですよ。しかもアニマルズより先に。
Velvet Underground 「Pale Blue Eyes」
こちらもいい曲ですね。
ヴェルヴェット・アンダー・グラウンド。バナナのジャケットが有名な彼らです。
既婚女性への淡い恋心を歌った、切ないラブソング。
Otis Redding 「The Dock Of The Bay」
オーティス・レディングの曲です。
彼はこの曲の録音3日後に、飛行機事故で帰らぬ人に。
初めての全米首位は亡くなった後に成就されたのでした。
Lou Reed 「Perfect Day」
本作のタイトルにもなっている曲です。
「ただただ完璧な1日」という歌詞が何度も出てきます。
ゆったりとしていて、どこか牧歌的な歌なんですが、映画『トレインスポッティング』でも使用されたことから、ドラッグについて歌っているという解釈もみられます。
でも、本作を観ながら聴けば、もうちょっと壮大なテーマがあるのではないかと思えますね。
Patti Smith 「Redondo Beach」
1970年代はニューヨークのパンクシーンを牽引し、「クイーン・オブ・パンク」と称されたパティ・スミス。
この曲はどこかレゲエ調ですね。クラッシュもそうですが、パンクとレゲエって相性がいいんです。
The Rolling Stones [Walkin’ Thru The] Sleepy City
ローリングストーンズの曲です。
1975年にリリースされたコンピレーションアルバム「メタモーフォシス」に収録されている1曲。
金延幸子 「青い魚」
平山のカセットから流れる唯一の日本の曲。
それが金延幸子さんの「青い魚」です。
細野晴臣さんがプロデュースしているんですよ。収録アルバムには大瀧詠一さんのプロデュース作品も。
Van Morrison 「Brown Eyed Girl」
ヴァン・モリソンの代表曲です。
アメリカのラジオ局では1000万回以上放送されたクラシックロックの定番ソング。
めっちゃカッコイイ。
Nina Simone 「Feeling Good」
ジャズシンガーのニーナ・シモンの曲です。
この曲が映画の一番最後に流れるんですよ…。
役所広司さんの顔のアップと、この曲を合わせるなんて…、天才だよヴィム・ベンダース。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『PERFECT DAYS』で使用された曲を紹介しました。
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どれもこれもかっこいいね!
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ヴィム・ベンダースのこだわりがよーく伝わってきます。
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コメント
こんにちは。「カセットが販売されている」との記載をなさっておられますが、こちらはプロデューサー高崎氏がDJをされているラジオ番組の一部放送回が収録されたテープであり、サウンドトラックではありません。
またamazonでは高価で転売されているようですので、誤解が生じるのを防ぐため上記の記載を変更、削除される方が良いのではないかと感じます。ご対応よろしくお願いいたします。
lait様
コメントをいただき、ありがとうございます。
ご指摘感謝申しあげます。
不適切な掲載部分を削除しました。
素晴らしい映画でしたね。そして挿入された楽曲もとても素晴らしかった。知っている曲はわずかで新たな感動できる曲を発掘できたのは幸いでした。ニーナシモンの曲は今アメリカから取り寄せ中で手元に届いていませんが、着き次第和訳してみたいです。映画の中の全ての挿入歌を紹介していただきありがとうございました。「朝日のあたる家」の詩はちあきなおみが歌っていた女郎屋の歌とばかり思っていましたが、アニマルズは男の破滅の歌として歌っていたんですね、あなたの私感でいいのでこの映画での各曲の監督のとらえ方と使い方の絶妙な部分を述べていただくと、もっと参考になったと思います。
コメントいただきありがとうございます!
私も、アーティスト名は知ってはいても、初めて聴く曲ばかりでした。
どれも印象的でしたね…。
特にラスト。いまだに映像とセットで頭にこびりついています。
おっしゃる通り、もう少しヴィム・ベンダースの意図を組みながら述べられるとよかったですね。
次回鑑賞した時に気づきがあればまた執筆させていただきます!
初めて映画館で見ました、ヴェンダースは、DVDでしか見てなかったです、サウンドに、並外れたこだわりがあるのが、分かりました❢
コメントありがとうございます!私も、映画館初ヴェンダースでした。音楽、たまらなかったですね…!
『朝日のあたる家』の日本語版は、ちあきなおみさんも歌ってはいますが、日本語のオリジナル歌詞は、シンガーソングライターの浅川マキさんが唄ったものです。
「朝日楼という女郎屋だった」という歌詞も、浅川マキさんの意訳によるものです。
コメントありがとうございます。
浅川マキさんが唄ったものがオリジナルなのですね!聞きました。
とてもかっこいいです。ギターもヴォーカルもたまらないですね。