映画『ラ・ポワント・クールト』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
監督はアニエス・ヴァルダ。ヌーヴェル・ヴァーグの母と呼ばれる監督です。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のフィリップ・ノワレが出演しています。めちゃくちゃ若いですし、フランス映画なのでフランス語を話します。
今回の記事では、映画『ラ・ポワント・クールト』の見どころを解説していきます。
あらすじはこちら👇
ゴダールの『勝手にしやがれ』よりも5年、トリュフォーの『大人は判ってくれない』よりも4年も早く製作された、「ヌーヴェルヴァーグはここから始まった」と言っても過言ではない伝説的作品。
南仏の小さな海辺の村を舞台に、生まれ故郷に戻ってきた夫と、彼を追ってパリからやってきた妻。終止符を打とうとしている一組の夫婦の姿を描く。
https://www.zaziefilms.com/agnesvarda/
ヌーヴェル・ヴァーグの先駆け
ヌーヴェル・ヴァーグとは、1950年代末にフランスで起こった映画運動で、ゴダールの「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」のような作品があてはまります。
ヌーヴェル・ヴァーグは、1940年代から50年代頃にアメリカが作っていたフィルム・ノワール(アクション犯罪映画)のようなものをフランス風に作ってみようというものでした。
結果、フィルム・ノワールとは全然違った、独特の世界観の名作が完成しました。
本作はヌーヴェル・ヴァーグの先駆けと言われる作品です。
しかしながら、犯罪的な臭いは全くなく、アクションも皆無。比較的地味目の作品です。
事件は起こるものの、ヌーヴェル・ヴァーグらしさはそこまで強くない。
だからこそ、他のヌーヴェル・ヴァーグ作品とは違った、独特の雰囲気が面白いんです。
愛について語る映画
本作は、漁村の人々と、倦怠期の夫婦、二つのストーリーが対立的に進んでいきます。
倦怠期の夫婦のパートでは、めちゃくちゃ愛について語ります。
これがまた、名言揃いなんです。
「愛は老いていく」「愛は放っておけ」
や、
「二人の愛に若さは消えた」
「胸のときめきも発見も心の動揺も情熱も名残惜しい」
「知識に基づく大人の愛は実質的で安定してる」
などですね。
これは深いですよ…。
先日観た日本映画『恋は光』もこのセリフがフックしているように感じました。
光が見えないのは、実質的で安定している、母性に近い愛だからなのでしょう。
ゾッとする部分も
『ラ・ポワント・クールト』には、少しゾッとするようなショットや演出が観られます。
例えば、夫婦が語り合いながら散歩するシーン。
漁村の様々な風景をアップで映し出すんですが、海や船に混じって、猫の死体が映るんです。
後のアニエス・ヴァルダの『幸福』でも、ひまわりが朽ちていく怖いシーンがありますので、このあたりはもうすでに繋がっているんだと思います。
また、漁村のパートでも、小さな子どもが病気で死んでしまうというストーリーが。
でもその母親や家族は、その後も普通に生活しているんですよね。
このあたりもゾッとします。
しかし、都会から来た夫婦と、地方の漁村の家庭との、愛の違い、価値観の違いなどの対比であったり、
生と死を対比するための演出なのだろうなと思います。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ラ・ポワント・クールト』の見どころを解説しました。
ヌーヴェル・ヴァーグの先駆けといえる、重要な作品です。
軽快さの中に、ゾッとする演出があるのが面白いよ!
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