どこにでもあるような、家族の風景
ではないけれど
西加奈子さんの著書「漁港の肉子ちゃん」を読了しました。
こちらの作品、著書は2011年8月に発売され、映画が2021年6月に公開されました。
明石家さんまプロデュース、メイン声優大竹しのぶで非常に注目を集めました。
その他制作陣も、監督:渡辺歩、作画:小西賢一と、かなりの実力者揃いなのです。
管理人は、最近よく西加奈子さんを読んでいるよね。
そうなんだ。「漁港の肉子ちゃん」も読んだよ。
約10年の時を経て、ものすごく豪華なチームで映像化されるほど、支持を受ける今作について、映画と著書両方を鑑賞した私なりにそれぞれの相違点やそれぞれのよさをお伝えしようと思います。
映画公開時の印象
「漁港の肉子ちゃん」の映画公開時は、ぶっちゃけたところ、あまり興味がありませんでした。
私にとって、明石家さんまさんと映画というのが結びつきにくく、加えて声優:大竹しのぶさんという点に、非常にミーハーな雰囲気というか、タレント感みたいなものを感じ、いわゆる商業的な作品か、金持ちのさんまさんが道楽的に製作した映画のようなイメージを持ちました。
そのため、劇場鑑賞はスルーでした。
鑑賞のきっかけ
しかし、最近、西加奈子さんの本を続けて読んでおり、「漁港の肉子ちゃん」も西加奈子さんの作品であることを知りました。
なるほど、流石は明石家さんま。と手のひら返しをしたわけです。
西加奈子さんの作品はどれも人間らしさとか、葛藤を強く描いた作品で、全く商業的な内容ではありません。
メッセージ性が強烈なのです。
しかしながら、「漁港の肉子ちゃん」は、比較的明るい雰囲気なので、映画化には向いているような気がします。短い小説なので、2時間前後にも納めやすい。
そんな風に思った矢先に、Amazon Prime Videoに観放題追加されたので、鑑賞してみたわけです。
せっかくならばと、原作を読んでから映画を観てみました。
原作小説の感想
原作は非常に楽しく読み進めることができました。
これまでに読んだ西加奈子さんの作品の中では比較的ライトで、自分と重なりすぎることもなく、一つの物語として純粋に楽しむことができました。
特に後半の”菊子”の出生のストーリーが分かってからは非常に面白かったです。
「福笑い」「i」「サラバ!」に比べると物足りない部分もありましたが、映像化したくなるほど魅力的な物語であることは頷けます。
映画と小説の比較
ここから先は、映画で観た印象と、小説で読んだ印象を比較してお伝えします。
菊子
主人公”菊子”の見た目が、小説を読むだけでは少しイメージしにくかったので、映像で観られたことは非常にいいポイントでした。
かなりボーイッシュな見た目でしたが、瞳がとても美しいキャラデザインが素敵でした。
原作に置き換えてみても遜色がなかったです!
肉子ちゃん
肉子ちゃんは、服装がダサすぎる上に、変な持ち物を好むという設定でした。
これを視覚的に感じることができるのも非常に楽しかったです。
特に、弁慶のレインコートが面白い。
二宮くん
こちらは、大分原作とのイメージが違いました。
顔がカッコよすぎます笑
原作では、軽く不細工な設定だったはず。
ガールミーツボーイっぽい映画の側面も持たせたかったのでしょう。
住み家の違い
原作では、普通の一軒家でしたが、映画では漁船に住んでいるという設定でした。
ジブリっぽいファンタジックな世界観を生んでいましたね。
肉子ちゃんの過去
肉子ちゃんの過去もかなりライトに描かれていました。
子どもが観ても大丈夫なように配慮した結果だと思います。
映像化に対する結論
正直なところ、映像化・アニメ化すると、肉子ちゃんのキャラクターをストレートに感じ過ぎて結構キツイです笑
それだけ再現性が高いという理由かもしれませんが、私が小説で思い描いた肉子ちゃん像の3割増しくらい強烈なキャラクターに映りました。
その分シリアスなシーンとのギャップにくすぐったくなる瞬間が何度かありました。
また、対象年齢を絞り切れていない部分も大いに感じました。
よく言えば幅広い年齢の人が楽しめますが、悪く言えば全体的にぼんやりしていました。
小説同様に大人の心に刺すストーリーにしたてるか、いっそ子ども向けにアレンジして、ジュブナイル的な要素を強めたり笑いを増やしてりしてもよかったのではないかと感じました。
しかし、小説の表紙の正体が分からなかった私にとっては、それが映画を観るとはっきりわかりました!
これは非常に嬉しい!!!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
漁港の肉子ちゃんの映画、原作の比較をお伝えしました!
小説を読んでから、映画を観てよかった試しがあまりないなぁ。
先入観と期待が入る分、映画を純粋に楽しみにくい…笑
あんまり前例がないのでわかりませんが。
いつかいい出会いがあるよ笑
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