あの頃、嫌いだった親と、向き合いたい人へ
映画「フィールド・オブ・ドリームス」を鑑賞しました。
言わずと知れた、アメリカの名作映画のひとつですね。
今作は、アメリカの人たちが、「オズの魔法使い」や「素晴らしき哉、人生!」と並んで、子どもに絶対に見せたい作品だそうです。
でも、正直、私は初めて観た時はよく分かりませんでした。何となくエンディングが泣けるなってことはわかりましたが。
”結局何を伝えたいの?ファンタジーなの?よくわからん!”
って感じでした。
意外とそういう人、多いのではないでしょうか。
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でも、歳を重ね、先日2回目の鑑賞をすると、涙が出るほどに感動しました。
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どうして?!何が変わったの?
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アメリカの歴史とか、親子の何たるかが、分かってきたかもしれないね。
今回の記事では、「フィールド・オブ・ドリームス」が、高い評価を受ける、その理由を解説いたします!
STORY
マイナーリーグの選手だった父親から、おとぎ話のかわりに野球の話を聞かされて育ったレイ(ケビン・コスナー)は、ある日、自分の農場で不思議な声を聞く。“それを作れば彼はやってくる”。その意味を野球場をつくることだと解釈した彼は、育ててきたトウモロコシ畑の一部を潰し、野球場を作る。周囲からは変人扱いされお金も底をついたある日、野球場に一人の男が立っていた。それは、父のヒーローで今は亡き伝説の大リーガー“シューレス”・ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)だった。36歳の妻子ある男が、夢を叶えるために冒険ができるのは今しかないと、“声”に導かれるまま、自分の夢に挫折した人々に会っていく。
ユニバーサル公式販売ページより引用
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それでは、ここから解説の方に参りましょう!
今作に込められたメッセージ
今作では大きく、
- 沈黙の世代
- 団塊の世代
- サリンジャー
- 親子の和解
- 見える人と見えない人
の5観点に絞ってみると、作品のメッセージがよくわかります。
沈黙の世代
アメリカで1945年代から1950年代にかけて親をやっていた世代を、沈黙の世代といいます。
映画における、ケビン・コスナーのお父さんの世代です。
なぜ”沈黙”なのか。
これは、第二次世界大戦が大きく関わっています。
第二次世界大戦から生きのびた彼らは、戦地にて想像を絶する体験をして帰ってきました。
もちろん、人の命を奪った人もたくさんいるでしょう。
そんな世代がアメリカ帰ってどんな生活を求めたか。
静かに平和に、密やかに暮らすことを望んだのです。
そのため、戦争については多くを語りませんでした。
団塊の世代
そして、その子どもたちが通称団塊の世代と呼ばれます。(劇中のケビン・コスナーは少し遅れていますが、最後の団塊の世代という設定でしょう)
彼らは、何も語らない父親世代に対し、不満を抱えます。
”どうして父は何も語らないのか”
”戦争を経験したのに、また戦争が起こっても何も思わないのか”
父親たちが沈黙を続けるから、またベトナム戦争が起こったのだと。
サリンジャー
今作で登場する”テレンス・マン”は、元々はサリンジャーがモデルです。
原作出版時に、サリンジャーからNGを出されたので、映画では変更されています。
なぜかというと、サリンジャーもまた、”沈黙の世代”なのです。
サリンジャーも第二次世界大戦に出兵し、戦争の悲劇を目の当たりにした世代。
彼は誰とも会わないような生活をしていたものの、ある劇的な作品を世に残しています。
それがかの有名な「ライ麦畑でつかまえて」です。
カウンターカルチャーに先駆けて発売されたこの作品は、
”大人は汚い”
”大人は噓つきだ!インチキだ!”
といったメッセージが多分に込められています。
サリンジャーなりの、沈黙の世代たる自分たちの自戒の念を込めた作品だったのですね。
そんな「ライ麦畑でつかまえて」は沈黙の世代を恐れさせ、当時は図書館に置くことを禁じられたほどでした。
親子の和解を描く
サリンジャーを読み、ベトナム反戦運動や、ヒッピームーブメントなどのカウンターカルチャーの渦中にあった団塊の世代は、沈黙の世代と激しく対立し、ついには分かり合えないまま終わってしまう親子もたくさんいたわけであります。
「フィールド・オブ・ドリームス」そんな親子の和解を描いた作品なのです。
見える人と見えない人
今作では、かつての野球選手たちが”見える人”と”見えない人”に分かれます。
これは、夢を”持つ人”と”持たない人”によって、見える見えないが分かれます。
信じることや、いつまでも夢を持つことの大切さというのを表しているわけですね。
これは「素晴らしき哉、人生!」や「34丁目の奇跡」のオマージュです。
今作には、他にも名作のオマージュが込められています👇
名作のオマージュ
今作でオマージュされているものは、
「市民ケーン」(バラの蕾の引用)
「オズの魔法使い」(野球選手の「溶けるよ!」というセリフ)
などなど。他にもたくさんありそうですね。
また、2014年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」は、”トウモロコシ畑”や”天の声”など、「フィールド・オブ・ドリームス」を土台にしていること間違いなしなので、未見の方はぜひご覧ください!
すごくいい映画です。
キャストの魅力
主要キャストも大変魅力的でした。
エイミー・マディガン
私が今作で一番好きなキャラクターですね。
THEアメリカのお母さんって感じの明朗快活な雰囲気が素晴らしかったです。
愛しくて、信頼できる妻がピタッとはまっていましたね。
ケビン・コスナー
ケビン・コスナーは、当時大ブレイク中でした。
二代目アメリカの良心(ジェームズ・ステュアート)にしようとしてたほど、期待されていたようですね。
しかし、私生活の方が、あまり良心的ではなかったようで…。
この後失速してしまいます。
今作での演技やルックスは素晴らしいですが。
レイ・リオッタ
レイ・リオッタも印象的でしたね。
「グッド・フェローズ」とのギャップが凄まじかったです。
「グッド・フェローズ」では、どこか頼りないギャングでしたが、今作は、それはもう堂々とした野球選手。
めちゃカッコいいです。
昨年、67歳の若さでお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。
数百万のキャッチボール
最後に一つトリビアを。
ラストのキャッチボールのシーンですが、あれは、かなり緊張感のあるキャッチボールだったそうです。
当時はデジタルではなく、フィルムのカメラだったので、撮りなおすことは、フィルムの損失に繋がります。
フィルムは高額なので、数百万かそれ以上のお金が、たったひとつのキャッチミスでなくなってしまう訳です笑
恐いですねぇ。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
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「フィールド・オブ・ドリームス」の解説をお伝えしました。
もし、親子関係に悩んでいる人は、ぜひご覧ください。
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親子で観てもいいかもしれないね!
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