ある日突然、すべての記憶を失った18歳の青年。物の名前や使い方はおろか、自分を育ててくれた家族の顔さえ分からなくなる。そんな絶望的な状況に置かれたアレックスにとって、唯一の救いであり、世界と自分を繋ぎ止める「慰み」となったのは、双子の兄弟であるマーカスの存在でした。
過去を失ったアレックスは、マーカスから語られる言葉を通じて、少しずつ自分の輪郭を取り戻していきます。たとえ直接思い出すことはできなくても、信頼する兄弟から教えられ、知ることで、彼はようやく安らぎを得ることができたのです。

あまりにも重く、考えさせられる作品です。ドキュメンタリー映画でここまで濃厚な物語を観ようとは思いませんでした。

ネタバレはないからまだ観てない人も安心して読んでね。
華やかな表の顔と、異様な家庭環境
彼らの育った環境は、一見すると非常に特殊で、どこか浮世離れしたものでした。両親は貴族の家系に連なり、邸宅では頻繁に華やかなパーティーが催されていたといいます。
しかし、その豪華な暮らしの裏側には、理解しがたい影が潜んでいました。
- 両親とは食事を共にせず、納屋に閉じ込められた生活
- 家の中に存在する「立ち入り禁止の部屋」
- 複雑怪奇な家族のルール
それは、外側の華麗なイメージからは想像もつかないほど、歪んだ家庭の姿でした。
隠された真実と、父の謝罪
月日は流れ、父親は死の間際に二人を書斎へ呼び出しました。そこで父はこれまでの仕打ちについて謝罪の言葉を口にしますが、記憶を保持しているマーカスは、その謝罪を頑なに拒絶し、許すことはありませんでした。
なぜ、マーカスはそこまで頑なだったのか。その理由は、母の死後、二人が遺品整理を始めたことで徐々に浮き彫りになっていきます。

暴かれる「親」の正体
家の片付けを進める中で、彼らは異様な光景を目の当たりにします。
- ジャムの瓶に隠された50ポンド札
- タンスの中から見つかった性具
- 自分たちに贈られるはずだった、未開封のまま放置された大量のプレゼントや服
マーカスは何かを知っている様子でしたが、アレックスには「気にするな」とだけ告げます。しかし、母の部屋の奥に隠されていた別のタンスを開けたとき、事態は決定的な局面を迎えます。
そこに入っていたのは、10歳の頃の自分たちの写真。しかしその写真は、裸の状態で、あろうことか首から上が切り取られていました。その光景に漂う異様な狂気と恐怖。ここで第一章、アレックスによる語りは幕を閉じます。
今日の映学:真実の行方は、第二章へ
物語はここから、沈黙を守り続けてきた兄弟、マーカスの語りへと移ります。
マーカスが守り通そうとしたものは何だったのか。そして、奪われた記憶の底に眠る、直視しがたい真相とは一体何なのか。
そのあまりに過酷な真実は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

ただ、この事実はとびきり重くて、心が搔き乱されるほどのものなので、元気がない時は観ない方がいいです。『灼熱の魂』のしんどさに迫るほどです。ドキュメンタリーな分、一層きつい。

気をつけてね!
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi


コメント