『94歳のゲイ』なぜこの国で同性愛者は差別されてきたのだろうか

映画

偏見で満ちた世の中で、彼らを明るいところへ

映画『94歳のゲイ』を鑑賞しました。

本作は、誰かと交際したことも性交渉の経験もないという、1929年生まれの長谷忠さんに密着したドキュメンタリー映画です。

舞台は大阪西成。

私は、日本でゲイが差別的な扱いや、嫌悪の対象になっていることを不思議に思っていました。

イスラム教やキリスト教が主教として根付いている国は分かります。

それぞれの教えに同性愛を禁じる内容があるためです。

対して日本はどうでしょう。ほとんどの国民が無宗教ではないでしょうか。

仏教や神道は日本において暮らしに根付いたものでありますが、そこまで強く信仰している人というのは、我が国においては少数なのではないでしょうか。

つまり、思想的、趣向的な問題で、同性愛はおかしい、気持ち悪い。そういった考えを持っている国だと思うのです。

近年多くの国が同性婚を認める中、日本はそれを認めない。

先進国の中で、かなり遅れているといえるでしょう。どうしてなのか。

私は『94歳のゲイ』を観て、その謎が少し解けた気がします。

また、生まれ故郷であり、長く住んでいる大阪の知らない一面を知る機会にもなりました。

bitotabi
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今回の記事では、『94歳のゲイ』を観た感想やそこから得た学びをお伝えしていければと思います。

ダニー
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・『94歳のゲイ』がどんな映画か気になる

・日本で同性愛が認められない理由が知りたい

・LGBTQに対する理解を深めたい

まずは、映画の概要をざっくりお伝えします!

『94歳のゲイ』はこんな映画

https://youtu.be/EIJtJdW0BUw?si=gpvxFMpBbEUQpyQo

「僕にとってまるで奇跡やな。奇跡の出来事や-」

長い間ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、孤独の中で生きてきた長谷さん。唯一の拠り所は文学、詩作だった。1963年に現代詩の新人賞として最も権威ある現代詩手帖賞を受賞、そのどこか飄々とした佇まいは選者である谷川俊太郎にも高く評価され、著作も複数刊行。94歳となった今も日々、短歌を詠む。 長谷さんが生まれた当時”同性愛は病気である”と公然と語られていた。その後時は流れ、同性愛者を取り巻く環境は大きく変化してきている。そんな中自身もカミングアウトを果たし、理解あるケアマネージャーの存在にも支えられ、日々をたくましく生きる長谷さんだったが――。

https://94sai.jp/

主に、長谷(はせ)さんと、その周囲の人々に密着したドキュメンタリー作品となっています。

劇中で紹介される長谷さんの詩がなんとも素敵です。

また、長谷さんを慕う周囲の人々の優しさもたまらないものがありました。

特に、ケアマネージャーの男性。

どうして長谷さんは、周囲の人々にカミングアウトすることができなかったのか。

その理由は、日本で同性愛が差別と偏見を受けてきた理由とそのまま重なります

 



日本で同性愛者が差別されてきた理由

1913年に、リヒャルト・フォン・クラフト=エビングの『変態性欲心理』という本が日本で出版されました。

その本の中には、「同性愛は一つの精神病である」と記され、同性愛は病気であると認識されてしまったのです。

さらに1913年、今度は日本人の著書『変態性欲論』が出ます。

そこには、「同性愛は治癒可能な精神疾患であり、伝染する」と記されているんですね。

これによって、同性愛は病気であり、避けるべきものだということが広く認知されてしまったと。

さらに、エイズの流行がこれに拍車をかけ、とても「自分は同性愛者だ」と言えるような状況ではなかったわけです。

ちなみに日本では、1990年代まで国が同性愛を病気とみなし、辞書にも「異常性欲」と記されていました。

なるほど…、こういった経緯があったのですね。一度刷り込まれたイメージはそう簡単に払拭できるものではありません。徐々に受け入れられるようになってはきたものの、今日に至るというわけです。

伝染するというのは、何とも酷い意見だとは思いませんか?これ、ちゃんと実験してデータとか取ったのかな…。

 



ゲイの人々を明るいところへ

長谷さんは、自分の秘めた想いをさらけ出す手段として、「詩」を書きました。

それでもやはり、周囲の人々に打ち明けることはできなかったわけです。

1971年、そんなゲイの人々に光明が。

薔薇族』の発刊です。

『薔薇族』は男性同士の愛し合い方やその他情報を掲載した雑誌。

この雑誌が発売されたことで、多くの人が救われたそうです。

特に、人気だったのが文通欄

自分のプロフィールや連絡先を書いて、文通相手を募集するというもの。

多い時は、雑誌の半分を占めるほどだったんだそうです。

友人を見つけるツールとしてだけでなく、

「自分だけじゃないんだ」

と、ゲイの人々を強く勇気づけるものとなりました。

あの世まで秘めておこうとしたことが、雑誌に堂々と登場したのですから。

編集長の伊藤文学さんは、

「偏見に満ちた世の中で、同性愛者を明るいところへ」と、初号で宣言しています。

こんなことも、この映画を観るまでは全然知りませんでした。

差別に苦しむ人々を救うべく動いた人が1971年にいたんですね…。

 



大阪の新世界

大阪の新世界と呼ばれるエリアはご存じでしょうか?

通天閣周辺、串カツ屋で賑わう大阪屈指の観光スポットです。

大きな通りは串カツや居酒屋がひしめき合っているんですが、ちょっと外れた筋に入ると、スナックやこじんまりとしたバーのような店が並ぶエリアがあるんですよね。

それらの店には「会員制」の札がかかっています。

https://twitter.com/shinsekai_jun

これらの店の多くが、ゲイバーなのだそうです。

新世界はかなり同性愛者、特にゲイの人々に寛容な町だといえます。

新世界にある映画館「新世界国際劇場」。

ここもゲイの人々が集まる場所として有名です。

詳しくはこちらの記事を↓

感想

非常に学びの深い作品でした。

LGBTQの理解だけでなく、長谷さんという人間がなぜ周囲の人から慕われるかを学ぶことができました。

長谷さんは、愛嬌たっぷりの人柄で、挨拶をキチンとしているんです。

性的趣向どうこうがあったとしても、こういった人間的な魅力とか礼儀を備えている。

そんな人は愛されるんだなあと。

日本で同性婚が認められないことは、政治的なややこしさや、一部の熱烈な神道信者などによる影響があるのだと思いますが、正直、もう、いいんじゃない?って私は思います。

そう信じてる人はそう信じてればいい。個人の思想ですから。

でも、制度的として許容はすべきでしょう。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『94歳のゲイ』から得た学びをお伝えしました。

bitotabi
bitotabi

非常に視座の広がる作品です!

ダニー
ダニー

大阪についても、また知ることができたね。

コメント

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