『2046』セリフとタイトルに込めた香港の動揺

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ウォン・カーウァイ監督作品「2046」を鑑賞しました。

現在シネマート心斎橋で開催しているウォン・カーウァイ4K特集にて。

シネマート心斎橋の壁面

非常に盛り上がっております!私も公開予定の全5作品観たくなっております。

香港の名匠ウォン・カーウァイが監督・脚本を手がけ、トニー・レオン、木村拓哉、チャン・ツィイーらアジアの人気スターが共演したSFラブストーリー。

管理人
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作品の見どころや、豆知識を、前作「花様年華」との繋がりを押さえつつ解説していきます。

STORY

「欲望の翼」「花様年華」に続いて1960年代を舞台にした作品で、両作品のエピソードを散りばめながら描く。1967年、激動期の香港。かつて愛した人を忘れられず、女たちと刹那的な関係を繰り返す作家チャウは、滞在先のホテルで近未来SF小説「2046」の執筆に取りかかる。小説の登場人物たちはアンドロイドが客室乗務員を務める列車に乗り込み、そこへ行けば失われた愛を見つけることができるという「2046」を目指す。チャウは小説に自らの日常を反映させ、主人公の男に自分自身を投影しながら執筆を進めていく。

https://eiga.com/movie/1225/

WKW監督の香港アイデンティティ

「2046」では、ウォン・カーウァイ監督自身の、香港への帰属意識が表現されています。

はじまりの暴動に込めた思い

まず、冒頭は主人公チャウが、シンガポールから香港へ帰ってくるところから始まります。

このシーンは、全部で4つのカットが映し出されます。

初めは抽象的な香港の街を映し、暴動のニュース映像、そして自身の居住地となるホテルへと、徐々に具体的で、自分の生活に近づいていきます。

これは、チャウが香港という街に帰ってきた実感と、帰属意識を表現しているのです。

監督自身も、暴動のように物騒でありながらも刺激的、帰るべき故郷への郷愁の想いを2004年に抱いていたのでしょう。

ラストとタイトルに込めた思い

まず、ラストのセリフです。

「彼は振り返らなかった。長い列車に乗り、闇の中を、ぼんやりした未来に向かって走るように……」

このセリフで物語は幕を降ろします。

香港の街の未来を案じたセリフですね。

これは、タイトル「2046」とも繋がります。

1997年7月1日に主権をイギリスから中華人民共和国に返還され、香港は中華人民共和国の特別行政区となりました。

しかし、すぐに中国の社会主義的な色に変えるのではなく、「50年不変」という条約を定めました。

「香港特別行政区は社会主義の制度と政策を実施せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持」(基本法第5条)することです。この状況は「50年間変えない」(基本法第5条)ことになっています。

平たくいうと、1997年からの50年の間は、アメリカやイギリスのように、資本主義的な場所として生活できるということです。

香港映画の自由度や素晴らしさも、間違いなくこの「50年不変」ありきです。

1997年から50年経つと、2047年。その前年2046年の未来は果たしてどこに進んでいるのか…
長い列車に乗り、闇の中を、ぼんやりした未来に向かって走るように…」誰にもわからないということですね。

参考:

https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2019/04/ZHANG-Yubo_0435-0450.pdf

『2046』なぜタク/木村拓哉は列車に乗るのか? ウォン・カーウァイが描く資本主義と時代の不安|CINEMORE(シネモア)
ウォン・カーウァイは本作『2046』を『花様年華』の続編ではないと言った。しかし、主人公は同じチャウ・モウワン(トニー・レオン)であり、物語はしっかりと繋がっている。それどころか、“60年代3部作”の第1作『欲望の翼』から再登場する人物もおり、この3部作はもはや「ウォン・カーウァイ・ユニバース」とも言うべき巨大な世界観...

ポイントはここ

「2046」の見どころとポイントを解説しておきます!

「2046」には、やたらと鏡が登場します。

鏡が出てくるのは、香港の2046室の周りと、レストラン、小説の中だけです。

シンガポールでは、一切出てきません。

これもまた、帰属意識や生活感が、香港にのみあるという象徴だと言えます。

小説の主人公も結局自分自身に投影してしまっていますしね。

もちろん、映像の美しさを出すのにも一役かっているので、そういったねらいも大きいはずです。

鏡と合わせて、カメラワークの素晴らしさを味わいたいのが、女性が涙を流すシーンです。

「2046」では、主にチャウは3人の女性と恋に落ちます。

その誰もが、涙を流す。

かなり魅せてくれますよ…!うっとりしました。

スローモーションなのかどうなのか、正常に判断できないくらい、画面に釘付けにされました。

「花様年華」との共通点

最後に、「花様年華」との共通点をご紹介します。

トニー・レオン

今作でもトニー・レオンが主演です。

同じ役名で登場します。

ウォン・カーウァイ監督が「違う人物だ」と言ったこともあるのですが、シンガポールから香港へ帰ってくるシーンから始まるあたり、同一人物として観ても問題ありません。

自由な解釈でOKです。

妻はどうなったのか、あのプラトニックさはどこへ?など、いろいろ思うところはあるかと思いますが、私は同じ人物として鑑賞しました。

友だちもあのスキンヘッドおじさんだけだったしね…笑

レストラン

レストランも「花様年華」と同じお店が使われています。

ステーキは食べていませんでしたが。

実際のお店は2015年に閉店しています。

このポスターには、

「共に2046年を迎えることはできませんでしたが、あなたと美しい日々(花様年華)が過ごせて光栄でした」

と書かれています。

なんとオシャレなのか…。感動しますね。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!


管理人
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「2046」について解説しました。今作も花様年華同様、監督自身の想いがたっぷりつまった作品です。シリーズのつながりや時代の流れを整理しながら観るととても楽しめます。

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