大好きな作品を自分の言葉で紹介するシリーズです。
今回紹介するのは、スタンリー・キューブリック監督作『フルメタル・ジャケット』です。

スタンリー・キューブリック監督は、同じジャンルの映画は撮らない主義。
そんな彼が戦争映画の舞台として選んだのはベトナム戦争でした。(厳密には『恐怖と欲望』という処女作があるのですが、本人は気に入ってなかったそうなので、ノーカウントなんだと思います)
ベトナム戦争といえば、アメリカが初めて私欲のために行った戦争というか、不正義の戦争だと言われています。第二次世界大戦以前までの戦争と違って、大義がないし、その残虐で支配的な様子がテレビを通じて人々の目に映ってしまったことが要因です。かつ、敗戦していることからも、正にアメリカにとって負の歴史であるわけです。
そんな戦争をテーマに選ぶあたりが、流石はキューブリックです。製作側、配給側も、ベトナム戦争のようにアメリカを悪く描くものお金を出しにくいので、ベトナム戦争をテーマにした映画って本当に少ないんですよね。
内容もとことんエグイです。キューブリックらしさもありつつ、戦争の愚かさをこれでもかと描いている点が素晴らしいですね。
特筆すべきは2人のキャラクター。レナード・ローレンス(ヴィンセント・ドノフリオ)と、ハートマン軍曹(R・リー・アーメイ)ですね。

鈍くさいレナードが、訓練の中で肉体的、精神的に追い込まれていく様は、観ていて心がざわざわして仕方が無く、そんな彼の自死という幕引きもまた、映画の最後まで頭から離れません。
そして彼を追い込むハートマン軍曹。下品で過激な罵声の数々。字幕でもめちゃくちゃです。今だったらこんな表現できないんじゃないかと思います。でも、兵士を育てる訓練の中では今なお行われているのではないか。そんなリアリティもまたあります。とにかく凄いキャラクターです。

この二人のやり取り、そして結末を通じて、戦争の異常さがヒシヒシと伝わってくるんですよね。普通の映画だったら、そんな鬼教官にも人間味を感じたり、和解したり、優しい一面を見せたりするものですが、キューブリック作でそんなことはありません。とことんです。
主人公の顔よりも、この2人の顔の方が大変印象に残ってしまう。なかなか珍しい映画なのではないでしょうか。
彼らが出てこなくなる中盤以降の戦地でのシーンもヒリヒリした緊張感や焦燥感がたっぷり味わえますし、キューブリックの象徴とも言えるシンメトリーなショットに酔いしれることもできる。ラストの『ミッキーマウスマーチ』もまた、意味深でいいんですよね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

観たらもう、へとへとになっちゃうくらい疲れてしまう映画です。きっと、そういう風になってほしいことを狙って作ったんだと思いますね。
キューブリックなりの反戦映画。もの凄い傑作です。
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