「こんなん出てきたら、もうしゃーない」と納得してしまうエロス。惑い圧倒される映画たち

映画

映画の中には、倫理的に完全にアウトだったり、客観的に見ればあまりにも愚かだったりする選択をする人々が登場します。

本来なら「なんて馬鹿なことを」「それは調子が良すぎるだろ」と眉をひそめるべきシーン。

しかし、今回紹介する作品群においては、彼らを責めることができません。なぜなら、スクリーンから溢れ出るそのキャラクターの圧倒的な佇まいや、危うい空気感を前に、観客である私たち自身の理性もまた、一瞬で呑み込まれてしまうからです。

「いや、この雰囲気の中に置かれたら、狂ってしまうのも、騙されてしまうのも、もうしゃーない……」。

bitotabi
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外見の良し悪しを超えて、その人が纏う甘美なエロスとオーラの前に、観客すらも白旗を上げて納得してしまう、理性の完全敗北を味わえる名作たちをご紹介します。

ダニー
ダニー

ゴクリ…。

紹介作品ラインナップ

『スペースバンパイア』:人類滅亡の危機。それでもあの神秘的な存在感の前では、男たちの盲目を責められない

トビー・フーパー監督が放ったSFホラーの傑作。ここで描かれる男たちの行動は、冷静に見れば愚行の極みです。宇宙から連れ帰った謎の美女(マチルダ・メイ)に、次々と生命エネルギーを吸い尽くされていくのですから。

人類を滅ぼしかねない致命的なミスであり、本来なら恐怖や怒りを感じるべき場面です。しかし、彼女が纏う、この世のものとは思えない神秘的で、どこか神聖さすら感じさせる圧倒的なエロスを観た瞬間、観客の脳裏には一つの諦念が浮かびます。「あ、これはしゃーないわ」と。理屈抜きで人類の理性を敗北させ、男たちの命がけの自滅にすら、その「超越的な空気感」で観客を納得させてしまう魔力がここにはあります。

『ブレードランナー』:偽りの命への倒錯した愛。けれど、その退廃的な美の佇まいに観客も魂を売る

SF映画の金字塔である本作で、デッカードが出会うレイチェル(ショーン・ヤング)。彼女は作られた命である「レプリカント」です。現実の世界に置き換えるなら、それはラブドールに本気の恋を捧げるような、どこか倒錯していて、不毛な状況と言えるかもしれません。

客観的に見れば、引き返すことのできない破滅への道です。しかし、1940年代のフィルムノワールを思わせるクラシカルな装い、そして彼女のまわりに漂う、偽りの命ゆえの儚さと孤独な瞳の影がスクリーンに映し出された瞬間、観客はデッカードを笑うことができなくなります。「この哀愁に満ちた佇まいを前にして、割り切れる人間などいるはずがない。これはもう、しゃーないな」と、作品が持つ退廃的な美の空気に、観客ごと溺れさせてしまうのです。



bitotabi
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残る二作は男性キャラです!

『テルマ&ルイーズ』:大金を盗む卑怯なドロボウ。なのに、その人懐っこい色気に世界中が騙された

女性目線での「抗えない誘惑」であり、まさに観客が免罪符を与えてしまう筆頭が、若き日のブラッド・ピット演じるJ.D.です。カウボーイハットにジーンズ姿、無邪気で人懐っこい笑顔で近づいてくる彼は、実を言えば旅の資金を狙うただのしがない泥棒であり、卑怯な男です。

主人公のテルマを誘惑し、ベッドの上でチャーミングに強盗のレクチャーを披露した挙句、彼女たちの全財産を奪って逃げ去る。物語としては最悪の裏切りです。しかし、スクリーンに映る彼の、瑞々しすぎるエネルギーと、どこか憎めない子犬のようなあどけない色気を観てしまった私たちは、テルマと一緒にため息をつくしかありません。「あんな無防備なトーンで迫られたら、騙されて人生の歯車が狂っても、もうしゃーない」。男のずるさを、そのキャラクターの愛嬌と空気感一つで「正解」にしてしまう罪深いシーンです。



『恋する惑星』:不法侵入すらも「しゃーない」と思わせる、トニー・レオンの圧倒的セクシー&チャーミング

ウォン・カーウァイ監督が描く、香港の街に漂う孤独とすれ違いのラブストーリー。本作の後半、観客の理性を完全に狂わせるのが、トニー・レオン演じる警官663号です。飲食店「ミッドナイト・エクスプレス」のカウンター越しに、ただ静かに飲み物を飲む姿からして、すでに言葉を失うほどの色気がダダ漏れています。

失恋の傷を抱え、自宅の石鹸やぬいぐるみに話しかける少し抜けた一面がありながら、部屋の中ではあの伝説的な白ブリーフ(下着)姿。普通なら滑稽に見えかねない格好すらも、トニー・レオンの纏うアンニュイで肉体的なセクシーさを前にすると、ただただ見惚れるほかありません。

彼が「警官」だと知りながら、ヒロインのフェイは彼の部屋に毎日のように不法侵入し、勝手に模様替えをして衣服を洗濯するという、冷静に考えれば完全にアウトな行動を繰り返します。しかし、あのカウンター越しの眼差し、あの佇まいを見せつけられたら、観客もフェイに完全に同調してしまいます。「相手は警官だけど、こんなトニー・レオンがそこにいたら、部屋に忍び込んでしまいたくなるのも完全にしゃーない」。大人のエロスと無邪気な愛嬌が同居した、息をのむような存在感に惑わされる名作です。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

映画というメディアの恐ろしさは、正論やモラルを、そのキャラクターが放つたった一瞬の「圧倒的な空気感」でねじ伏せてしまうところにあります。

登場人物たちの愚行や卑怯な裏切り、あるいはめちゃくちゃな行動。それらをすべて「だって、この雰囲気に呑まれたらしゃーないよね」と観客に首を縦に振らせてしまう、佇まいの魔力。今夜はそんな、理性を心地よく狂わせてくれる映画の空気に、身を委ねてみてはいかがでしょうか。

ダニー
ダニー

ドキドキして眠れないかも。

bitotabi
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映画の世界の中だけでも、ルールや倫理に縛られないスウィートな夜を過ごしてみましょう。

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