「第9地区」に学ぶ、アパルトヘイトの悲劇

SF映画

今の人にも、知ってほしいからこそ、SFにのせて。

映画「第9地区」をご存じでしょうか。

表向きは、地球にやってきたエイリアンへの応対を描いた作品なのですが、実は今作、深いメッセージがございます。

ダニー
ダニー

普通のSFじゃないの????

舞台は南アフリカ。ある事由から、エイリアンを狭い範囲に隔離しようとするのが主なストーリーです。

管理人
管理人

歴史や人種問題に明るい方ならもうお気づきですね。

そう、「第9地区」はアパルトヘイト政策が反映された映画なのです。



南アフリカについて

ラグビーW杯で、南アフリカを目にした時、やや違和感を覚えた方もおられるのではないでしょうか。

”アフリカ”とついているのに、白人選手がたくさんいるという点に。

南アフリカは、大きく4つの人種に分かれます。

黒人(79%),白人(9.6%),カラード(混血)(8.9%),アジア系(2.5%)

といった感じ。

なぜこのように混在しているのかというと、それは歴史が物語っています。

南アフリカの歴史

南アフリカはアフリカ大陸の最南端に位置します。

そのため、1650年頃、オランダ東インド会社に、中継地として使われるようになります。

気候がよく、快適だったという事由から、やがて、オランダ移民が増加し、植民地となっていきます。

言わずもがな、先住民とオランダ移民の争いも起こります。

また、オランダ移民たちが、奴隷として連れてきたインドネシア系諸民族と先住民の混血も進み、のちにカラードと呼ばれることになる民族集団が生まれました。

その後、1800年頃になると、南アフリカで金脈が発見されます。

それを狙って、今度はイギリス人が到来し、オランダからイギリスの植民地へと変わっていきます。

 



アパルトヘイトとは

アパルトヘイトとは、南アフリカが1948年から1990年代初めまで実施した、法によって定められた人種隔離と差別の制度です。

上記で解説した、金脈を発掘するために、安い労働力が必要になりました。

これを解消するために制定されたのが、「グレン・グレイ法」というもの。黒人の共同利用の禁止、黒人を一定地域に集める、1年間のうち3ヶ月以上雇用されていない黒人には課税する、などを取り決め、労働力を得ようとします。
この法律はグレン・グレイ地方でのみ通用するものでしたが、アパルトヘイトの原点ともいわれ、1910年に南アフリカ連邦が成立して以降も、同様の意図をもった法律がさまざまな場所で制定されました。
その後、1913年に制定された「原住民土地法」では、人口の大多数を占めていた黒人を南アフリカ全土の9%ほどの土地に居住するよう制限。さらに、第二次世界大戦後におこなわれた総選挙でオランダ系白人が所属する国民党が勝利したことで、「アパルトヘイト」という政策のかたちが次々と固められます。
こうして南アフリカは、人種隔離国となっていったのでした。

参考:ホンシェルジュ 5分でわかるアパルトヘイト

政策の主な内容は、

・参政権の剥奪
・異なる人種間の恋愛、結婚の禁止
居住地域の限定、分離
・身分証明書携帯の義務付け
・施設の利用制限

などです。

やがてアパルトヘイトは、ネルソン・マンデラと彼を支援する人々によって、1994年に終わりを迎えます。

 



映画「第9地区」では

映画「第9地区」では”居住地域の限定、分離”が大きく描かれています。

”エビ”と蔑視される宇宙人たちが、”第9地区”から、”第10地区”へと強制的に移動させられます。

人間たちは、宇宙人の労働力ではなく、武器を狙っています。

実際のアパルトヘイトとは、このあたりが少し違いますね。

しかしながら、問答無用に隔離する様子や、子どもでもお構いなしに乱暴に扱う冷酷さに、息苦しくなってしまいます。

 



感想

正直、SF作品としては今一つだし、脚本の甘さも感じます。初監督・脚本ですしね。

でも、監督自身の故郷、南アフリカへの熱い思いがこもっていることはとてもよくわかりました。

序盤は、お気楽なエイリアンもののように感じますが、クライマックスが近づくにつれ、胸が痛くなるような、切ない気持ちになります。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

ダニー
ダニー

意外と難しい映画なんだね…。

管理人
管理人

これぞ、学べる映画です。

南アフリカの歴史や、人種問題に関心をもつきっかけになりますよ!

 

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