『52ヘルツのクジラたち』人はどこまで変われるか…

ドラマ映画

家族っていうのは時には呪いになるんだよ

映画『52ヘルツのクジラたち』をTOHOシネマズで鑑賞しました。

杉咲花さん主演、成島出さん監督の作品です。

町田そのこさんの原作「52ヘルツのクジラたち」の映画化作品となります。

ダニー
ダニー

タイトルが個性的だよね。

bitotabi
bitotabi

そうだね。52ヘルツのクジラにはこういう意味があるんだ。

〈52ヘルツのクジラ〉とは、他の仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。<世界で最も孤独なクジラ>たちにも、その声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。その声はいつか届く─。切なる想いの先に、胸を揺さぶる希望の光を届けてくれる、今こそ観てほしい愛の物語が完成した。

https://gaga.ne.jp/52hz-movie/about/
ダニー
ダニー

なるほど~。聴こえないクジラの声と、打ち明けられない悩みのようなものを重ねているんだね。

bitotabi
bitotabi

その通り!だから、登場人物たちも、誰にも打ち明けられないような、かなりハードな人生を送っているんだ。あらすじはこんな感じだよ。

傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家へと移り住んできた貴瑚は、虐待され、声を出せなくなった「ムシ」と呼ばれる少年と出会う。かつて自分も、家族に虐待され、搾取されてきた彼女は、少年を見過ごすことが出来ず、一緒に暮らし始める。やがて、夢も未来もなかった少年に、たった一つの“願い”が芽生える。その願いをかなえることを決心した貴瑚は、自身の声なきSOSを聴き取り救い出してくれた、今はもう会えない安吾とのかけがえのない日々に想いを馳せ、あの時、聴けなかった声を聴くために、もう一度 立ち上がる──。

https://gaga.ne.jp/52hz-movie/about/
bitotabi
bitotabi

ここから先は、私が鑑賞した感想や見どころを解説していきます。ネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。

若手キャストが素晴らしい!

https://eiga.com/news/20240301/26/

本作は、若手キャストの演技がとにかく素晴らしい。

全員の幅が広がった感じがします。

主人公を演じる杉咲花さんは、『市子』で見せた不幸な過去を持つ女性、翳りのある演技に磨きがかかっていますね…。もう少し、彼女のこういった演技が観たいです。今こういった若い幸薄系の役どころを演じさせたら右に出る人はいないのではないでしょうか。

小野花梨さんも素晴らしい。あんなに優しい人間になりたいものです。映画では省かれていましたが、原作では自身も被虐待児だった過去を持っているそうです。『鈴木先生』から密かに応援しているんですよね。

西野七瀬さんも凄かったですね…。あんなゲスい役まで演じられるとは。驚きです。

宮沢氷魚さんのどうしようもない男の演技もよかった。優男のイメージが見事に払拭されました。

そして、志尊淳さん。今回一番難しい役だったと思います。いい演技でした…。あんな悲しい役、なかなかありませんよ。顎髭に関してひと騒動あったそうですが。(トランスジェンダーのステレオタイプに感じたっちゃ感じたので、エンタメとしてのビジュアルなのであれば、なくてもよかったかなと思います。原作にあるならOKかもしれません)

 



被虐待とトランスジェンダー

本作では大きく二つの社会問題が扱われます。

一つは虐待です。

虐待を受けた人間だからこそ、その心の傷に寄り添える。声を聴くことができる。そういったポジティブな描かれ方をしていました。

被虐待者は、自身も親になってから虐待をしてしまうケースが多いんです。

愛し方や伝え方を、それしか知らないから。そういった、悲しき連鎖があるということも知りつつ、この映画のポジティブな愛に希望を持ちたくなりました。

また、主人公貴瑚の依存性の描き方は秀逸でしたね。母という存在から解放されても、今度は恋人というパートナーに強く依存してしまう。優しく寄り添ってくれた友人をないがしろにしてしまうほど。

愛し方とか、人との向き合い方の不器用さ。この表現の仕方はお見事でした。

 



もう一つは、トランスジェンダーです。

志尊淳さん演じる岡田安吾は、トランスジェンダーの男性です。

トランスジェンダー男性は生まれた時に割り当てられた性別が女性で、性自認が男性の人を指します。

自分でホルモン注射を打つシーンもあり、なかなかリアリティがありました。

彼は、その事実を親にも友人にも打ち明けられず、男として生きていくために、一人で上京したという経緯があります。

彼もまた、貴瑚と同じく、52ヘルツのクジラであると…。

余貴美子さん演じる岡田安吾の母は、決して悪い人ではないのですが、性自認に関する理解は乏しく、普通に女の子として育ってほしいという考えを持っている人物だったのでしょう。

それを分かった上で、家族っていうのは時には呪いになるというセリフを思い返すと、泣けてきます。

これら二つの問題を扱いながら、生活や人間関係や境遇は、性別は、人はどこまで変えることができるのか…。そういったことを問う映画でした。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『52ヘルツのクジラたち』の感想と見どころを解説しました。

ダニー
ダニー

キャストの演技が素晴らしい作品だよ!

bitotabi
bitotabi

虐待とトランスジェンダーについても、考えさせられる作品でした。

 

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