映画『悪い夏』は、人間の負の側面や、追い詰められた状況での選択を容赦なく描き出し、観る者に強い衝撃を与える作品です。

まさかこんなシリアスなテーマなのに、ラストで笑ってしまうとは思いませんでした。

怖さと笑いは紙一重だね。
作品概要
- 公開日: 2025年3月20日
- 原作: 染井為人『悪い夏』
- 監督: 城定秀夫
- 脚本: 向井康介
- キャスト: 北村匠海、木南晴夏、河合優実、窪田正孝 ほか
- あらすじ: 市役所の生活福祉課に勤める佐々木守は、同僚の宮田から「職場の先輩・高野が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」との相談を受けます。面倒に思いながらも断りきれず真相究明を手伝うことになった佐々木は、その当事者である育児放棄寸前のシングルマザー・愛美のもとを訪ねます。高野との関係を否定する愛美でしたが、実は彼女は裏社会の住人・金本とその愛人の莉華、手下の山田とともに、ある犯罪計画に手を染めようとしていました。そうとは知らず、愛美に惹かれてしまう佐々木。生活に困窮し万引きを繰り返す佳澄らも巻き込み、佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まります。
主要キャストの演技と登場人物の描写
作中には悪いことばかり考えている人間が多いと指摘されており、それぞれの登場人物が抱える欲望や悪意が物語全体を不穏にしています。特に、主人公たちがどのように悪意に染まっていくか、あるいは抗うのか、その心理描写はリアルで胸が締め付けられるとされています。
- 木南晴夏: 彼女が演じたキャラクターの幸薄感や、苦労して老けて見えるメイクと演技は「凄すぎ」と絶賛されています。悲壮感がひしひしと伝わり、観る側に深く響いたと評価されています。
- 河合優実: 彼女の体当たり演技は「凄い」と評されており、特に濡れ場が凄まじいという感想が寄せられています。単なる性的描写に留まらず、キャラクターの心理状態や追い詰められた状況を浮き彫りにする演技として、その生々しさが際立っていたとされています。
- 窪田正孝: 彼の悪人っぷりも高く評価されており、狂気やエゴが生々しく表現されていました。平穏に暮らす人では接する機会のない、危険な人間を見事に演じています。セリフの覇気がもの凄い。
- 北村匠海: 彼が演じた女性経験のない男性が擬似的な恋人、夫婦、家庭生活を体験したことで、夏の盛りを過ぎて一気にしぼむ向日葵のように、その生活がハラハラと崩れていく様が描かれます。その状況にやや酔っているようにも見え、恋愛に興味の薄い人が増えている現代において、ドキリと共感してしまう人も多いのではないでしょうか。
城定秀夫監督の作風とテーマ
城定秀夫監督の作品は、恋愛系でもストレートではないものを描く傾向が強いです。私は氏の作品をいくつか鑑賞しましたが、少し気味が悪いと感じることが多いです。
一方で、『悪い夏』は、監督の別作品『ビリーバーズ』と同様に倫理観のぶっ飛び方が面白い。
極限状態の人々が常識では考えられない行動や選択を強いられる中で、一般的な倫理観がどうなっていくか、その過程が興味深く、人間の本質をえぐり出す監督の視点が魅力とされています。
本作もラストは少し気持ち悪かったです笑
まるでコメディのような終盤の演出
本作のクライマックスは、それぞれの思惑や行動が複雑に絡み合い、登場人物たちが「一同に介しすぎ」る展開が、ある種のシュールさや滑稽さを生み出し、「ほぼコメディ」。
それまでの重いテーマとのギャップが大きく、ブラックユーモアのような笑いを生む、監督ならではの演出が光る場面とも言えるでしょう。
原作と作品のリアリティ
原作は染井為人さんの小説であり、実話ベースとは明言されていません。しかし、著者が東日本大震災の被災地で復興ビジネス(ボランティアではない)をしていた経験があり、その際の取材に基づいて書かれたとされるため、生活保護制度の闇や人間の欲望、悪意といった描写には実際に起こりうるであろう事柄や、取材に基づいた現実的な側面が強く反映されていると考えられています。読者からも「実話がベースだろう」と感じさせるほどのリアリティがあると評価されています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
映画『悪い夏』は、主要キャスト陣の鬼気迫る演技、城定監督ならではの倫理観を揺さぶるストーリーテリング、そして人間の本質をえぐり出すようなリアルな描写が一体となり、観る者の心に深く突き刺さる作品です。

でもこの監督の恋愛観はやっぱり苦手でした。

安心できる人も多いだろうけどね。
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