『ピアノ・レッスン』ピアノと恋の行方は、女性とNZの悲願を表す

ドラマ映画

なんという死 なんという運命 なんという驚き

映画『ピアノ・レッスン』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。

本作は、2024年春頃に4Kリマスター版が全国で公開されました。

その時観にいきたかったのですが、タイミングが合わずに断念。

Amazon Prime Videoの観放題にあることを知って、鑑賞しました。

4Kでリマスターされるほどですから、ある程度万人受けするメロドラマなのかなと思ったら、とんでもない。

ダニー
ダニー

違うの??

bitotabi
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非常にカンヌ味が強い作品なんだ。

『ピアノ・レッスン』は、アカデミー賞とゴールデングローブ賞でも俳優部門や脚本部門を獲ってますが、第46回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品で、断然そっちの気の方が強い。

「恋愛ドラマ」と評されることがしばしばありますが、ちょっとした恋愛ドラマのレベルではありません。

刺激的で、官能的でいて、攻撃的。かつ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような、観ていて辛くなってしまうようなシーンもございます。

bitotabi
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今回の記事では、映画『ピアノ・レッスン』をより深く楽しむための解説をお届けします。

官能的な魅力

本作で最も印象的なのは、やはり官能的なシーンの数々でしょう。

4Kリマスター版公式サイトのあらすじはこちらになります。

19世紀半ば、ニュージーランドの孤島。エイダ(ホリー・ハンター)は父親の決めた相手と結婚するために、娘のフロラ(アンナ・パキン)と1台のピアノと共にスコットランドからやって来る。「6歳で話すことをやめた」エイダにとって、ピアノは声の代わりだった。ところが、夫になるスチュアート(サム・ニール)はピアノを重すぎると海辺に置き去りにし、先住民との通訳を務めるベインズ(ハーヴェイ・カイテル)の土地と交換してしまう。エイダに惹かれたベインズは、ピアノ1回のレッスンにつき鍵盤を1つ返すと提案する。渋々受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちに彼女も思わぬ感情を抱き始める――

https://www.culture-pub.jp/piano/

このあらすじでは、「ピアノ1回のレッスンにつき鍵盤を1つ返す」とあり、いったいどのようなレッスンなのかは分からないようになっていますね。

ハーヴェイ・カイテル演じるべインズは、ピアノを弾けるようになりたいだけの純朴な男であるかのようにもとれます。

いやいや、とんでもない、純朴ではなく、純粋・生粋の男なんです。

ピアノのレッスンと称して、エイダに触れたい、愛し合いたいという下心があるわけです。

多分、ストレートにあらすじを書いちゃうと、それだけで観に行かなくなっちゃう人がいるだろうから、伏せたんでしょうね笑

そして、段々とエイダもそれを許し、次第にべインズのことを愛するようになっていくと。

これだけ読むと、ただの色情魔の話やないかと思ってしまうでしょうが、この描き方が非常にいいんですね。

何ともエロチック。エロを越えてロマンチックな気持ちになってしまうほどなんです。

男性は、声なきホリー・ハンターのミステリアスな魅力と四肢の美しさに魅せられ…

女性は、ハーヴェイ・カイテルのワイルドな魅力とエネルギッシュな肉体に魅せられ…

そして、どのシーンもシチュエーションがとても魅惑的なんです。

なかなか、この映画を心拍数を上げずに観ることができる人はいないんじゃないでしょうかね。

お坊さんだって、神父さんだって、興奮しちゃいますよきっと。

 



キャストの魅力

本作は、キャスティングが本当に見事だなと思います。

個人的に一番好きなのはハーヴェイ・カイテル

https://www.culture-pub.jp/piano/

白人なのにニュージーランドの先住民たちの文化に合わせて生きるという役どころ。

文字を読めず、話すこと自体上手くない。この演技が見事だなあと思いました。

めちゃくちゃ簡単なフレーズしか話さないんですが、それでもこのべインズというキャラクターの情の厚さや人の良さは伝わってきます。この辺は脚本も上手いんでしょうね。

エイダとの逢引の際に、強引過ぎないところがいい。

https://www.culture-pub.jp/piano/

そしてヒロインのエイダを演じるホリー・ハンター

結構自分勝手な役なんですが、それが成立してしまうというか、洗練された美しい女性の魅力を感じます。

教会で芝居を観ている時のいたずらな表情もいいし、頑なな意思を貫く表情もいい。

ちなみにホリー・ハンターはピアノが堪能なので、ほとんどのシーンを自分で弾いているそうですよ。

https://www.culture-pub.jp/piano/

サム・ニール演じる新しい夫。

サム・ニールは『ジュラシックパーク』の博士を演じたことで有名ですが、『ポゼッション』でイザベル・アジャーニに酷い仕打ちを受ける役も演じています。

こういう役が意外と似合うのかも。

https://www.culture-pub.jp/piano/

そして何といっても娘役を演じたアンナ・パキンですね。

本作において、史上2番目の若さでアカデミー賞助演女優賞を受賞しています。

もうね、無邪気で可愛いんですよ。新しいパパにもだんだん馴染んでいくほどに。

それゆえに引きおこる終盤の悲劇。

あの泣きの演技はたまりません。もの凄い。子どもが泣くシーンであれほど印象的なものはないかも。

最近ではスコセッシ監督の『アイリッシュマン』に出演しています。

 



考察いろいろ

『ピアノ・レッスン』って、表面上はかなり分かりやすいストーリーですよね。

でも、きっと、ハッキリとは語られないメタファーが結構潜んでいると思うんです。

ピアノとか、恋愛の行方とかに。

ここからはそのあたりの考察をお届けしたいと思います。

ピアノはエイダの分身

https://www.culture-pub.jp/piano/

まず、「ピアノ」に関してです。

ピアノは、エイダの分身、心そのものを表すメタファーとして描かれています。

ピアノを浜辺に放置されてしまったことで、新しい夫といきなり溝ができてしまい、

それを拾ってくれる男(べインズ)に救われ、惹かれていくと。

鍵盤を渡す演出なんて、モロにそうですよね。自分の身体や心の一部を捧げるというようなメタファーになっているんだと思います。

ラストで、ピアノは海に沈んでしまうわけですが、

これは、前の夫との過去を清算=沈めるというメタファー。

繋がれた縄を断ち切って、娘とべインズの元で生きていくことを選んだというわけです。

恋の行方が示すもの

https://www.culture-pub.jp/piano/

『ピアノ・レッスン』には、政治的なメタファーも含まれていると思うんです。

最終的に、経済的に豊かな夫の元を去って、べインズと共に生きていく道を選んだエイダ。

表面的には、女性の自由を表現しているように見えますが、それだけではないんじゃないかなと。

映画が公開された1990年代前半のニュージーランドは、財政的な赤字を何とかするべく、大きな行政改革が行われました。

有名な政策がロジャーノミクス

その中で、ニュージーランドの社会福祉予算は大きく削減され、福祉制度は大きく後退してしまったそうです。

かつて、ニュージーランドは世界最大の福祉国家だったんです。

そんなニュージーランドで、福祉がないがしろにされつつある。そんな危機感のある時代の中で『ピアノ・レッスン』は撮影されました。

主人公エイダは話すことができない障害者で、娘もまだ幼い。彼らは最終的に、欧州で暮らすことを選択します。

社会的弱者に優しくないニュージーランドの国を表していたのではないかと思うんですよね。

 



シンメトリーにも注目

これは考察ではありませんが、本作はもの凄く美しいショットがたくさんあります。

ニュージーランドの自然を写すカットはそれだけで美しいんですが、もっとすごいのがシンメトリー(左右対称)のショット。

エイダの後ろ姿や、浜辺のピアノを映すショットなど、ウットリしてしまうほどに目を奪われるものがたくさんありますので、ぜひご注目ください。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ピアノ・レッスン』について見どころや考察をお伝えしました。

bitotabi
bitotabi

カンヌ味に溢れ、強いメッセージ性も感じます。

ダニー
ダニー

ピアノと恋の行方に注目だよね!

 

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