サミュエル・L・ジャクソンとカンゴール。前後逆に被った帽子に宿る、革命の血とクールネスの思想

映画

ハリウッドで最もクールな俳優の一人、サミュエル・L・ジャクソン。彼をスクリーンやプレミアで見かけるとき、その頭元を飾っているのが英国の老舗ブランド「カンゴール」の帽子です。

私自身、彼のファッションをロールモデルとしてリスペクトし、あの佇まいを追いかけてきました。

ハンチング帽をあえて前後逆にして被るそのスタイルは、彼の象徴的なアイコンであり、世界中のファッションフリークを魅了し続けています。

しかし、年齢を重ね、海外に足を運ぶ機会が増え、そして世界情勢の不穏さを肌で感じるようになった今、あの「後ろ被り」が醸し出す、どこか軍隊的で革命家のような鋭い雰囲気に、より深い意味を感じるようになりました。

bitotabi
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このファッション大丈夫か?そもそもサミュエルってどういった思想の持主なんだ?とふと疑問に思ったわけです。

ダニー
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今回はサミュエルの思想とカンゴールの歴史が交錯する、クールな佇まいの裏側をディープに紐解いていくよ!

カンゴールの歴史:英国軍のベレー帽から始まったルーツ

サミュエルのスタイルを見たときに私たちが感じる「軍隊っぽい雰囲気」は、実は歴史的な事実に基づいています。

カンゴールは1938年に英国で創業されたブランドですが、その名を世界に広めるきっかけとなったのは、第二次世界大戦中にイギリス軍へベレー帽を大量に供給したことでした。特に、モンゴメリー将軍(愛称モンティ)がカンゴールのベレー帽を愛用したことで、ブランドのミリタリーとしてのアイデンティティが確立されます。

戦後、カンゴールは軍用のベレー帽から、一般向けのハンチング帽へと主力製品を移していきますが、その根底には常に「英国軍の気品と規律」が流れていました。

私たちがサミュエルの帽子に覚えるそこはかとない緊張感や構築的な美しさは、この軍用ベレー帽の歴史がDNAとして宿っているからなのかもしれません。

bitotabi
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しかし、この後カンゴールの帽子が辿った歴史を知るとまた見え方が変わるんです!

ストリートの覇者へ:ヒップホップを揺るがしたカンゴールというアイコン

英国の伝統と軍隊の規律を背負ったカンゴールは、アメリカのストリート、それも1980年代のヒップホップ黎明期において絶対的なステータスシンボルとなりました。

当時の若き黒人アーティストたちにとって、カンゴールの帽子を頭に戴くことは、単なるお洒落ではなく、自らのアイデンティティとパワーを誇示する最大の武器でした。

バミューダハットをトレードマークにしたLL・クール・Jや、アディダスのセットアップにカンゴールのメトロハットを合わせたRUN-D.M.C.など、シーンの最前線に立つスターたちがこぞってこのブランドを着用したことで、カンゴールはヒップホップカルチャーそのものの象徴となりました。

白人の上流階級や軍隊の象徴であった格式高い英国ブランドを、ストリートの若者たちが独自の感性で「ハック」し、富と反逆のアイコンへと再定義したのです。このブランド自体が持つ「支配的なルールをストリートの力でひっくり返す」という強烈なエネルギーこそが、後のサミュエルのスタイルへと繋がる土壌となりました。



バック・トゥ・フロント:ハンチングを反転させる反逆のメッセージ

このカンゴール熱狂の渦中で、グランドマスター・フラッシュやスリック・リックといった先駆者たちが提示したのが、イギリスの伝統的な「ハンチング帽(504など)」をあえて前後逆にして被る「バック・トゥ・フロント」というスタイルでした。

あえて逆向きに被り、本来は後ろにあるはずのカンガルーロゴをフロント(額の上)に堂々と誇示する。これは、ゴルフやハンティングといった白人エスタブリッシュメントの特権階級的なスポーツの象徴であったハンチング帽を、文字通り「反転」させて自らのものにするという、極めて知的なストリートの抵抗でした。

逆向きに被ることでツバが後ろに回り、おでこのラインがすっきりと露出します。これが結果的に、かつてのミリタリーベレー帽や、チェ・ゲバラのような革命家が被るベレー帽のシルエットと美しく重なり合い、ストリートにおける強固な戦闘服としての意味合いを持つようになりました。

サミュエル・L・ジャクソンの思想:ブラックパンサー党と静かなる闘争

サミュエル・L・ジャクソンという俳優の歴史を振り返ると、彼がこのカンゴールのハンチング帽をバック・トゥ・フロントで被り続ける理由がさらに深く見えてきます。

彼は若き日、1960年代後半のアメリカで激化していた黒人解放運動に深く身を投じていました。マルコムXの暗殺をきっかけに、急進的な黒人自衛組織「ブラックパンサー党」の思想に共鳴し、実際に活動に参加していた過去を持っています。当時のブラックパンサー党の制服といえば、まさに黒いレザージャケットに「黒いベレー帽」でした。

やがて彼は暴力による運動から身を引き、演劇の世界へと闘争の場を移していきますが、若き日に抱いた「黒人としての誇り」と「不条理な社会システムへの抵抗」という思想は、生涯消えることはありませんでした。

サミュエルがアカデミー賞の舞台や大作映画の会見で、カンゴールのハンチング帽を後ろ被りにして堂々と立っている姿。それは、RUN-D.M.C.やLL・クール・Jたちが築き上げた「ストリートが高級ブランドをハックする」というヒップホップ精神を継承しつつ、かつて自らが頭に戴いていたブラックパンサーのベレー帽の記憶を、洗練された大人のクールネスとして表現し続けている、静かなる思想的ステートメントなのです。



世界が不安な今だからこそ、スタイルに思想を纏う

世界中の情勢が不安定になり、様々な境界線が引き直されている現代において、私たちがどのようなファッションを選ぶかという問いは、自分自身の生き方や思想を表明することと同義になります。

サミュエル・L・ジャクソンのファッションが、いくつになっても古びず、むしろ年齢を重ねるごとに凄みを増していく理由。それは、彼が流行の帽子を被っているからではなく、自らのルーツ、ストリートの反逆の歴史、そして英国の伝統をその頭上に完璧に調和させているからです。

彼をロールモデルにするということは、その表面的な格好良さを真似るだけでなく、自らのスタイルに歴史と信念を宿らせるという、大人の成熟した態度そのものを学ぶことなのかもしれません。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は、ハリウッド屈指のファッションアイコンであるサミュエル・L・ジャクソンと、彼が愛するカンゴールの帽子に隠された、歴史と思想のシンクロニシティをご紹介しました。

英国軍のベレー帽というルーツから、RUN-D.M.C.やLL・クール・J、グランドマスター・フラッシュらがストリートの象徴へと押し上げたカンゴールの歴史。そして、サミュエル自身のブラックパンサー党としての背景へと繋がる帽子の系譜は、ファッションがいかに強固なメッセージになり得るかを教えてくれます。

あなたが次にあの帽子を後ろ被りにするとき、その鏡に映るシルエットには、お洒落を超えた強固な意志が宿っているはずです。

bitotabi
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色んな事を知った上で、クールに被っていきましょう!

ダニー
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一層好きになったね!

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