『おさるのベン』狂犬病が引き出す「野生」と「絶望」

ホラー映画

発症すれば致死率はほぼ100%。水を見ただけで喉が痙攣し、光や音さえもが脳を刺す激痛に変わる。

そんな狂犬病という過酷な病が、もしも「人間を凌駕する怪力と、高度な学習能力」を持つチンパンジーに感染したらどうなるか。

本作『おさるのベン』は、その医学的な恐怖を、ジョン・カーペンター風の冷徹な音楽に乗せて突きつけてきます。

bitotabi
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狂犬病の恐怖、そして、なぜベンは、執拗に人間の「口」を狙うのか。その裏に隠された、身の毛もよだつ考察とともに本作を紐解いていきましょう。

ダニー
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怖そうだね…。まずは作品概要から!

作品概要

  • 監督・脚本:ガブリエル・アブランテス
  • キャスト:トロイ・コッツァー、ブレンダン・セクストン3世、ミゲル・トーレス・ウンバ
  • あらすじ:かつてタレントとして活躍したチンパンジーのベン。しかし、彼が狂犬病を発症したことで、平穏な家庭は一変します。高い学習能力を維持したまま狂気に支配されたベンは、家という密室の中で、かつての飼い主たちを一人ずつ追い詰めていきます。

本作で父親役を演じるのは、『コーダ あいのうた』でアカデミー賞を受賞したトロイ・コッツァーです。実際に聴覚障害のある俳優ですね。彼の存在が、物語に独特の緊迫感と深みを与えています。

狂犬病という真の恐怖

劇中で描かれるベンの変貌は、決して誇張ではありません。狂犬病ウイルスは脳の感情を司る部位をジャックし、極度の攻撃性と感覚過敏を引き起こします。光や音に対してベンが過剰に反応し、錯乱していく描写は、医学的な観点から見ても非常に説得力があります。人間に近い知性を持つチンパンジーであっても、脳炎による生理的なパニックには抗えない。その「理性の崩壊」こそが、本作の恐怖の核となっています。

チンパンジーという「生きた凶器」のリアリティ

ベンが見せる圧倒的なパワーは、人間のそれを遥かに凌駕します。チンパンジーは同体重の人間と比較しても約1.5倍、瞬発的な筋力では比較にならないほどの剛力を備えています。 本作でベンを演じているのは、俳優のミゲル・トーレス・ウンバです。あえて本物の猿ではなく、俳優がスーツを着て演じることで、人間特有の「重み」や「悪意を感じさせる動き」が加わり、より一層不気味な存在へと昇華されています。



ジョン・カーペンターへの敬愛と「音」の演出

監督が強く影響を受けたと語る通り、本作にはジョン・カーペンター作品のような職人的な緊張感が漂っています。特に音楽は、『ハロウィン』を彷彿とさせるミニマルなシンセサイザーの旋律が多用され、観客を逃げ場のない不安へと誘います。 特筆すべきは、聴覚障害を持つ父親の視点になった際に訪れる「完全な静寂」の演出です。不穏なシンセ音と、一切の音が消えるサイレントシーンのギャップが、目に見えない脅威をより際立たせています。

なぜベンは執拗に「顎」を狙うのか

劇中で最も凄惨な、ベンが人間の口内に手を突っ込んで顎を引き裂こうとする攻撃。

これには二つのメタファーが感じられます。

一つは、言語を司る「口」を破壊することで、人間の文明や知性を否定し、自分と同じ「言葉なき絶望」へと引きずり込む行為。

もう一つは、狂犬病による喉の痙攣で苦しむベンが、その痛みの根源を相手に転嫁しているようにも見えます。

かつて笑顔を交わしたであろう口を無惨に裂く姿は、友好関係が完全に「野生の暴力」に塗り替えられたことの象徴と言えるでしょう。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『おさるのベン』は、アニマル・パニックというジャンルを超え、肉体の損壊と理性の喪失を描き切った衝撃作です。

カーペンター流の冷徹な音楽が鳴り響く中、かつての愛すべき存在が、命を狙う凶器へと変わる。

その矛盾に満ちた恐怖を、ぜひその目で確かめてみてください。

bitotabi
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狂犬病は恐ろしいという学びにもなりました。

ダニー
ダニー

気をつけなきゃね…。

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