湿りと狂気が交錯する深淵:私のJホラー映画オールタイムベスト5

ホラー映画

前回は、監督の圧倒的な作家性が光る「海外ホラー編」をお届けしましたが、今回は「日本ホラー編」をご紹介します。

Jホラーにおいて私が重視するのは、質感、時代性、そして日常がじわじわと侵食されていくあの独特の「湿り気」です。

bitotabi
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かつて世界を席巻した原点から、そのDNAを継承しつつ新たなエンターテインメントへと昇華させた最新作まで、私の心に深く刻まれている5選をお届けします。

ダニー
ダニー

あなたのお気に入りも入ってるかな?


1. 女優霊(1996)

  • 監督: 中田秀夫
  • 脚本: 高橋洋
  • キャスト: 柳ユーレイ、白島靖代、石橋けい
  • あらすじ: 映画監督デビューを控えた村井は、撮影所の倉庫で出所不明の古い未現像フィルムを発見する。そこには、不気味に笑う女の姿が映り込んでいた。

中田秀夫監督のオリジンとも言える作品です。「幽霊は怒りの表情よりも、笑っている顔の方が恐ろしい」という表現は、私の恐怖の価値観を根本から変えました。 本作の舞台が映画の撮影現場というのも心憎い設定です。「嘘を創る場」である撮影所だからこそ、本物の怪異が紛れ込みやすいというロジックには、作り手側の視点ゆえの妙な説得力があります。派手な音や視覚効果に頼らず、ただそこに「居る」ことの不気味さを突き詰めた、Jホラーの教科書的な一本です。

2. リング(1998)

  • 監督: 中田秀夫
  • 脚本: 高橋洋
  • キャスト: 松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀
  • あらすじ: 観た者は一週間後に死ぬという「呪いのビデオ」。姪の死をきっかけにその存在を知った記者の浅川は、元夫の助けを借りて呪いの解明に奔走する。

中田監督の真骨頂であり、この作品を機に「呪いの〇〇」というカルチャーが爆発的に流行した先駆け的な作品です。 前作『女優霊』のエッセンスを確実に踏襲しつつ、何より素晴らしいのは、当時主流であったVHSを呪いと恐怖の伝播に使うというアイデアと時代性。恐怖も科学の進歩、媒体と共に姿を変えて生き残っていくという味わいが深く、ラストシーンの衝撃は今観ても色褪せることがありません。日本が世界に誇るホラーアイコンである「貞子」を生み出したことも素晴らしい功績なのではないかと思います。ペニーワイズやチャッキーと肩を並べることのできる唯一のJホラーキャラクターですもんね。



3. 来る(2018)

  • 監督・脚本: 中島哲也
  • キャスト: 岡田准一、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡
  • あらすじ: 幸せな新婚生活を送る田原。しかし、彼の周囲で正体不明の「あれ」による怪異が次々と起こり始める。

多くが主演級の豪華すぎるキャスト陣に初見は少し訝しんだものの、蓋を開けてみればめちゃくちゃ面白い。Jホラー特有のじっとりした雰囲気と、そんな豪華キャストでも容赦ないエンタメ性のバランスが抜群です。 また、独特な祓いや儀式が非常に印象的でカッコよく、特に新幹線で現場に向かうおじいさんたちの描写や、柴田理恵の役どころには痺れます。原作を読むと映画で曖昧な部分の解像度が上がるというのも味わい深いポイントです。

4. 呪怨 白い老女(2009)

  • 監督・脚本: 三宅隆太
  • 監修: 清水崇
  • キャスト: 南明奈、鈴木裕樹、ムロツヨシ
  • あらすじ: かつて惨劇が起きた家。そこで起きた一家心中事件の呪いが、関係する人々を次々と地獄へと引きずり込んでいく。

『呪怨』シリーズを通して観て、一番直感的に恐かったのがこちら。スピンオフ的な立ち位置ですが、恐怖演出がとにかく秀逸です。 ただいきなり驚かせるだけではないジャンプスケアの巧みさ、ムロツヨシ演じる男性の異常な執着や、バスケットボールを愛でる老婆の異様な描写など、生理的な違和感を抱かせる演出の手数は、数あるホラー作品の中でもトップクラスです。



5. ドールハウス(2025)

  • 監督・脚本: 矢口史靖
  • キャスト: 長澤まさみ、瀬戸康史、田中哲司
  • あらすじ: 事故で子どもを亡くした母親の周囲で、不気味な人形を介した怪異が始まりだす。

ホラーの当たり年だった2025年の中でも頭一つ抜けて面白く、Jホラーの中でも抜群の完成度です。 呪いの人形という古典的要素に、事故で子どもを失った母親の心神喪失という要素を絡めることで、序盤は「彼女の精神の異常なのか、はたまた怪異か」という疑念を抱かせる構成が本当に巧い。さながら『シャイニング』のジャックに抱く疑念のような面白さがあります。しかしながら、後半は怪異と真っ向から向き合っていく。テンポの良さがたまらない。脚本が素晴らしい傑作です。


今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

海外編の「外側から迫る圧倒的な恐怖」に対し、日本編は「内側からじわじわと蝕まれる恐怖」が中心となりました。

bitotabi
bitotabi

こうして振り返ると、私が惹かれるのは単なる刺激ではなく、監督の思想や時代背景が「恐怖」というフィルターを通して鮮やかに描き出される瞬間なのだと再確認しました。

ダニー
ダニー

皆さんのオールタイムベストには、どんな作品が入っていますか?

 

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