先日、私はとんでもない映画を観てしまいました。
『ドント・ブリーズ』です。
鑑賞中、心臓がバクバクするのはもちろん、まさかの展開に心の整理がついていきませんでした。
一体何を見せられてしまったんだ。どう腑に落とせばいいんだと。
観終わった後もずーっと考えさせられっぱなしでした。

今回の記事では、『ドント・ブリーズ』のそのこれまでの映画と一線を画す鑑賞者への揺さぶりについて解説していきます。

怖そう…。
まずは作品概要とあらすじ(※ネタバレなし)
本作は、観る者を極限の緊張状態に陥れるF・アルバレス監督の手腕が光るスリラー映画です。
- タイトル: ドント・ブリーズ (Don’t Breathe)
- 公開年: 2016年 (アメリカ)
- 監督: フェデ・アルバレス (Fede Álvarez)
- 主な出演: スティーヴン・ラング、ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット 他
- あらすじ: 大金を隠し持っているという噂の盲目の老人の家に、3人の若者が強盗に入ります。目が見えない相手なら簡単に金が奪えるだろうと高を括っていた彼らでしたが、想像を絶する事態が待ち受けていました。獲物だと思っていた老人は、とんでもない能力と秘密を抱えた「ヤツ」だったのです。静寂に包まれた家の中で、息をひそめながらの極限の攻防戦が繰り広げられますが、若者たちはやがて、金庫の奥に隠された「それ」の存在を知ることになります…。
予測不能!「まさか」の連続に息をのむ!予想をぶっちぎる展開
この映画、皆さんはどんな展開を想像しますか? 盲目の老人宅に強盗に入った若者たち。普通なら、若者が悪党として懲らしめられるか、はたまた老人が同情を誘う被害者となるか…なんて考えますよね。

ところが、『ドント・ブリーズ』は、そんな私たちの「普通だったらこうなるだろう」という予想を良い意味で、いや、とんでもない形で裏切ってきます。盲目の老人がまさかの最強の存在だった!というだけでも驚きなんですが、物語が進むにつれて彼のとんでもない秘密が次々と明らかになるんです。もうね、観ている間じゅう「まさか」「うそでしょ?」の連続で、息をするのも忘れそうでした。
観る者をゾッとさせる「歪んだ正義」と「救いのない絶望」
私がこの映画で最も衝撃を受け、深く議論したポイントは、老人の「歪んだ行動原理」です。彼は単に自分を守っていたわけではありませんでした。愛する娘(交通事故で亡くしました)を不当な形で失った深い悲しみと怒りから、その加害者である女性に対して、常軌を逸した「償い」を求めていたのです。
それは、「償いとして別の命を産ませる」ということ。本当に心底ゾッとしました。これは肉欲的な欲望とは全く異なります。彼の行動は、娘を失った深い絶望と、そこから生まれた狂気的な執念が極限までねじ曲がった結果でした。自分の「正義」に取り憑かれ、倫理観が完全に麻痺してしまった様は、観る者に強烈な問いを投げかけます。
盗みに入った若者たち、老人の娘の命を奪いそれをもみ消した女、復讐の鬼と化した老人。
「一体、誰が悪で、誰が正義なんだろう?」
そして、この老人の行動は、観客に「救いがない」と感じさせるほどの絶望感を与えます。彼の深い悲しみと、それが生み出した狂気の行動に、どこにも光が見えないんです。だからこそ、観終わった後に「結局、何が正しかったんだろう」「あの爺さんの気持ちはどこに向かっていたんだろう」って、あれこれ考えてしまいます。この「気持ちの落としどころが見つからない」モヤモヤ感こそが、この映画の真の怖さであり、単なるホラーやスリラーでは終わらない、作品の深みだと感じました。
目を背けたくなるような、しかし必要な「グロさ」
そして、この映画を語る上で欠かせないのが、かなり生々しいグロテスクな描写です。単なるホラー映画のような表面的な恐怖だけでなく、思わず目を覆いたくなるようなシーンがいくつか登場します。
しかし、これらは単なる見せ物ではありません。極限状態に置かれた登場人物たちの絶望や、老人の狂気を描く上で、これらの視覚的な衝撃が、物語の緊迫感を一層高め、観客をその世界に引きずり込む重要な役割を果たしているのです。
だからこそ、観終わった後も、あのグロい描写も合わせて記憶に残って、より一層あの映画の怖さや重さを感じさせる一因になっているんだと思います。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『ドント・ブリーズ』は、観終わった後も深く心に残り、あれこれと考えさせられる、まさに「体験する映画」です。

予測不能なスリル、そして人間の心の闇と倫理を問われる衝撃を味わってみたい方は、ぜひ一度、この作品を鑑賞してみてください。

ただし、心臓の弱い方はご注意を…!
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