『続・男はつらいよ』切なくも温かい感動秘話と、制作の裏側に迫る

ドラマ映画

1969年に公開された映画『続・男はつらいよ』は、日本を代表する国民的映画シリーズの記念すべき第2作です。

前作の大ヒットを受けて、わずか3ヶ月という異例の速さで公開された本作は、期待を裏切らない感動作として、多くの観客の心を掴みました。

bitotabi
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本記事では、キャストや制作秘話を詳しく解説していきます。

ダニー
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まずは作品概要から!


作品概要

『続・男はつらいよ』は、前作の成功を基盤とし、さらに深い人間ドラマと笑いを追求した作品です。

  • 公開日: 1969年11月15日
  • 興行収入: 3億5000万円

スタッフ

  • 監督: 山田洋次 前作に引き続き、監督は山田洋次が務めました。彼の繊細な演出と、人間味あふれる視点は、本作でも遺憾なく発揮されています。
  • 脚本: 山田洋次、小林俊一、宮崎晃 脚本は山田洋次を中心に、小林俊一、宮崎晃が共同で手がけました。寅次郎のキャラクターをさらに掘り下げ、彼の内面的な葛藤や成長を描き出すことに成功しています。
  • 音楽: 山本直純 シリーズお馴染みの、どこか懐かしく心温まる音楽は、山本直純が担当。物語の情景を一層豊かに彩っています。
  • 撮影: 高羽哲夫
  • 美術: 佐藤公信
  • 録音: 小尾利太郎
  • 照明: 青木好文

制作背景

前作『男はつらいよ』の予想を上回る大ヒットを受け、松竹はシリーズ化を決定。異例の速さで続編の製作に取り掛かりました。これは、当時の日本映画界におけるシリーズ物の潮流と、観客からの熱烈な支持が背景にあります。前作がテレビドラマの劇場版として始まり、その人気が映画版でも爆発したことで、「寅さん」は瞬く間に国民的キャラクターへと成長しました。

本作のオープニングは、前作で寅次郎の夢の中で繰り広げられた派手なシーンから一転、河川敷で子どもたちが遊んでいる日常の風景で始まります。これは、より現実的で、人々の生活に寄り添った物語であることを示唆しているとも言えるでしょう。


マドンナについて

本作のマドンナは、寅次郎が故郷を離れた旅先で出会う女性たち。

今回は、寅次郎の恩師の娘である夏子先生(演:佐藤オリエ)です。夏子先生との出会いが、寅次郎の心を大きく揺さぶります。

東野英治郎と佐藤蛾次郎の存在感

本作では、個性豊かな脇役たちが物語に深みを与えています。

  • 東野英治郎:彼が演じるのは、寅次郎が世話になる飯屋の親父役です。どこか飄々としていながらも人情味あふれる演技は、『水戸黄門』の黄門様役で知られる東野英治郎ならではの存在感です。また、黒澤明監督の傑作『用心棒』にも飯屋のオヤジという重要な役どころで出演しており、その確かな演技力で作品に深みを与えています。

  • 佐藤蛾次郎:前作に引き続き登場する佐藤蛾次郎は、本作では寅次郎とつるんでいる場面が多く見られます。特に、しれっととらやで働いている姿は観客に笑いを誘います。

「そこが渡世人の辛いところよ」

寅次郎の口癖とも言える「そこが渡世人の辛いところよ」というセリフは、本作で前作よりも頻繁に登場します。

bitotabi
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5回以上言ってた気がします。

これは、渡世人として定住せず、常に旅を続ける寅次郎の哀愁と、ままならない人生への諦めが込められた、印象的な言葉です。



昔のラブホテルってあんな感じだったの?

劇中で描かれる、いわゆる「ラブホテル」の描写は、現在のそれとは大きく異なります。

当時は「連れ込み旅館」と呼ばれており、旅館の女中がお茶を運んでくるような、今では考えられない光景が描かれています。これは、当時の社会や風俗を垣間見ることができる貴重な描写と言えるでしょう。


『続・男はつらいよ』の感動的なストーリーとラスト

本作は、人情に訴えかける切ないストーリーが特徴です。中でも、そのラストは観る者の心に深く刻まれるものがあります。

寅次郎は、旅の途中で母と悲劇的で衝撃的な再会を果たします。再会した際に、寅次郎が初めて母へ言った言葉は「黙ってろクソババア」という衝撃的なものでした。さらに、寅次郎は恩師も同じように幼くして母を亡くしていることを知ります。そんな恩師の最後の願いを叶えるべく奔走する寅次郎ですが、その願いを叶えることはできませんでした。

加えて、恋にも敗れ、心も身体もボロボロになります。観客の笑いはあるものの、寅次郎の切なさがそれを遥かに凌駕するほどです。

しかし、物語はここで終わりません。そして、救いのあるラストを迎えるのです。恩師の教えから何かを悟ったのか、はたまた恩返しの気持ちからか、寅次郎は京都に赴き、母と再会します。そして、二人連れ立って鴨川を歩いているのでした。このラストシーンは、寅次郎の人間的な成長と、家族への深い愛情を感じさせ、観る者の胸を打ちます。


御前様のお説教と寅次郎の成長

また、笠智衆演じる御前様のお説教も、本作における重要な要素です。身内からの説教を嫌う寅次郎ですが、本作では恩師らの言葉に素直に耳を傾ける場面が多く見られます。

特に、葬儀を毅然と切り盛りするシーンは印象的であり、寅次郎の人間的な成長がうかがえます。

現代社会では、年長者の説教はハラスメントとして捉えられがちですが、時には耳を傾けるべきなのかもしれないと思わせてくれる、深いメッセージが込められた作品です。



こぼれ話

「本作が、寅次郎の『瞼の母』であるお菊(ミヤコ蝶々)が初めて登場した作品でもあります。実は、テレビドラマ版の『男はつらいよ』では、寅次郎がハブに噛まれて死んでしまう衝撃的な結末を迎え、これに対して視聴者から「なぜ寅さんを殺したんだ!」という抗議の電話が殺到しました。この熱烈なファンからの声が、映画化、そしてシリーズ継続へとつながる大きなきっかけとなったのです。その中で、寅次郎の母親との再会という、まさに『瞼の母』のエピソードが描かれることになったのは、ファンの期待に応える形で、ドラマ版からの継続性を意識した重要な要素と言えるでしょう。

また、本作のマドンナである夏子先生(佐藤オリエ)の役名には、山田洋次監督らしいユニークな発想が隠されています。前作で御前様の娘として「坪内冬子」という名前が使われていましたが、実はテレビドラマ版では恩師の娘が「坪内冬子」だったのです。映画第1作でこの名前が使われてしまったため、山田監督は「冬」を「夏」に変え、「坪内夏子」としました。これは、坪内逍遥から「坪内散歩」という恩師の名前がきており、「坪内」姓は変えられなかったため、このような遊び心が加えられたと言われています。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『続・男はつらいよ』は、寅次郎の波乱万丈な人生を通して、人情、家族、そして人生の機微を描いた、心温まる名作と言えるでしょう。

bitotabi
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母の登場、恩師の死によって、前作よりも遥かに切ない物語となっています。

ダニー
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それが渡世人の辛いところよ…

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