「年を取るほど、置いていかなきゃならないものが増える。それが人生だ。」
『ロッキー5』は、ロッキー・バルボアが再びリングに戻ることなく、家族と共に新たな挑戦に立ち向かう物語です。
1980年代後半から1990年代初頭のアメリカの社会情勢を反映しつつ、個人の再起と家族の絆をテーマにしています。
失敗作、駄作と言われがちですが、実はこれまでと一線を画したドラマチックな魅力を持つんですよ。
ロッキーがリングで闘わない唯一の作品だよね。
そうだね。だからがっかりしてしまった人もいるのかも。でも、だからこそ描けたドラマがある作品なんだ。
今回は、5つの観点から『ロッキー5』で伝えたかったことを考察してみたいと思います。
ロッキーの不器用さと喪失感
ボクシングしかやってこなかったロッキーは、破産や家庭崩壊という現実に直面します。
ドラゴとの対戦でドクターストップをかけられたロッキーにとって、ボクシングは唯一無二の存在でした。
お金を稼ぐ手段でもあり、自己を肯定できるものでもあったボクシングを失った時の彼の喪失感は計り知れません。
1980年代後半のアメリカでは、ブラックマンデーや湾岸戦争による経済不安が広がり、多くの人々が職を失い、生活の基盤を失いました。
ロッキーの喪失感は、当時のアメリカ社会の不安を象徴しています。
家族の絆の再発見
ロッキーは、共通の目標を持つパートナーや仕事よりも、家族を大切にしなければならないことを痛感することになります。
『ロッキー5』では、局所的ではなく、全体を通して家族とロッキーにスポットが当たっており、妻エイドリアンや息子ロバートとの関係を修復し、家族としての絆を深めていく姿が描かれているのが特徴的です。
具体的なシーンとして、エイドリアンがクリスマスの夜にロッキーに呆れたような表情を何度も見せるシーンがあったり、息子が悪がきを打ち負かしたことを嬉々として話にいったのをないがしろにされて落ち込むシーンがあったりします。
そういった軋轢を経て、ロッキーは改心し、息子と共に早朝のトレーニングをしたり、ネックレスをわたしたりする場面があります。
1980年代後半から1990年代初頭のアメリカでは、家庭の価値が再評価される時期でもありました。レーガン大統領の政策や、ファミリー・サポート法の施行などがその例です。
地元コミュニティの温かさ
スターになって高級住宅街に住んでいたロッキーらが帰ってきても、地元の住民は疎ましく思わず温かく迎えます。
彼らは、たとえ有名人でリッチになっても、ずっとずっとロッキーが大好きで、彼の帰還を喜ぶんです。
特に、『ロッキー1』や『ロッキー2』にも登場した神父さんとのやり取りなんて、グッとくるものがあるんですよね。
この温かさは、コミュニティの重要性とその力を強調しています。
1980年代後半から1990年代初頭のアメリカでは、地域社会の絆が再評価される時期でもありました。
コミュニティ・リニューアル法の施行などがその例です。
マネージメントの試練
ロッキーはトミー・ガンのトレーナーになるも、最終的には裏切られることになります。
ロッキーなりに彼を大成させるために色々考えるところはあったんですが、それでは若者の欲を満たすことはできなかったと。
マネージメントがいかに難しく、ミッキーが偉大であったことに気付くロッキーの姿が描かれています。
具体的なシーンとして、トミーが成功を求めてロッキーを裏切り、別のトレーナーのもとへ移る場面があります。
1980年代後半から1990年代初頭のアメリカでは、ウォール街のスキャンダルや、S&L危機など、成功と裏切りが社会問題となっていました。
多様性とビジネスの象徴
『ロッキー5』では、シリーズで初めて登場したファイター以外のリッチなビジネスパーソンキャラとして、凄腕黒人プロモーターが登場。
彼の存在は、アメリカ社会における多様性とビジネスの重要性を象徴しています。
1980年代後半から1990年代初頭のアメリカでは、アフリカ系アメリカ人のビジネスリーダーが台頭し、社会に大きな影響を与えました。
例えば、オプラ・ウィンフリーはメディア界で成功を収め、ロバート・ジョンソンはBET(ブラック・エンターテインメント・テレビジョン)の創設者として知られています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
『ロッキー5』は、経済的困難や家族の絆、友情と裏切り、そしてリング外での戦いを描いた作品です。
この映画を通じて、挑戦し続けることの大切さや、家族や友情の価値を再認識することができますね。
どの作品も、当時の社会背景やメッセージがあるんだね~。
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