スイスから現れた、血みどろスプラッター・アクション映画『マッドハイジ』。
あの世界的に愛される名作『アルプスの少女ハイジ』を、まさかここまで大胆にアレンジするとは、驚きです。
のどかなアルプスの風景は一変、チーズを独占する悪の組織が支配する世界で、ハイジが復讐のために立ち上がるという、とんでもない物語が展開します。

一見するとただの悪ふざけにも見えますが、その過剰なまでのゴア描写と、意外な社会風刺的な要素が、観る者を強烈に引き込む異色作という印象です。

詳しく解説していくよ!
作品概要
スタッフ
- 監督:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプフシュタイン
- 脚本:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプフシュタイン、グレゴリー・ウィドマー
- 製作:ヴァレンタイン・グレゴール、ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプフシュタイン
スイスのインディペンデントな製作体制から生まれた本作は、監督・脚本を務めたヨハネス・ハートマンとサンドロ・クロプフシュタインの強烈な個性が光ります。クラウドファンディングで資金調達されたという背景も、この作品の異端児的な魅力を物語っているのではないでしょうか。
キャスト
- ハイジ:アリス・ルーシー
- クララ:アルマル・G・佐藤
- 大統領マイリ:キャスパー・ヴァン・ディーン
- アルペヒ:デヴィッド・スコフィールド
あらすじ
スイスを牛耳るチーズ製造会社のワンマン社長にして、スイス大統領でもある強欲なマイリ。彼は自社製品以外のすべてのチーズを禁じるという、ありえない法律を作って、スイス全土を恐怖で支配する独裁者として君臨していました。
それから20年後――アルプスの山奥で暮らす成長したハイジ。彼女の恋人、羊飼いのペーターは、禁じられたヤギのチーズをこっそり売っていたんです。それがマイリにバレて、ペーターは見せしめとして、ハイジの目の前で残酷に処刑されちゃうんですよ。
さらに、ハイジにとってたった一人の身寄りだったおじいさん(アルペヒ)まで、マイリの手下によって山小屋ごと爆破されて、亡くなってしまいます。愛するペーターと家族を一瞬で失ったハイジの心は、もう復讐の炎でメラメラです。
血塗られた戦士へと変貌を遂げたハイジは、邪悪な独裁者マイリをブッ倒して、母国スイスをその支配から解放できるのでしょうか!?
意外と社会的な映画?コメディの裏に潜むメッセージ
『マッドハイジ』はただのおバカなスプラッター映画ではありません。
確かに、あの容赦ないゴア描写はすごいインパクトですが、物語の奥には、現代社会にも通じるテーマが隠されているように感じます。
大統領マイリによるチーズの独占は、強欲な権力者による搾取のメタファーと捉えられます。国民はチーズという生活必需品を人質に取られて、自由に生きられない。
そんな中で、ハイジは抑圧された人々の希望の光として立ち上がるのです。彼女の戦いは、単なる個人的な復讐劇ではなく、不当な権力に対する抵抗の物語になっているのではないでしょうか。
この点で、ジョン・カーペンター監督のSF映画『ゼイリブ』を思い出しました。『ゼイリブ』は、一見エイリアン侵略の話ですが、裏には消費社会とかメディアによる洗脳という社会風刺がたっぷり込められていましたよね。
『マッドハイジ』も、とんでもなく突き抜けたエンターテイメントの中に、社会へのちょっと鋭い視線を忍ばせている気がするんです。
もちろん、この映画のメインはあくまでも過激なアクションとユーモアで、社会的なメッセージを声高に叫ぶわけじゃないんですが。でも、そのおバカさの中にチラッと見える、抑圧された者が立ち上がるというシンプルなメッセージは、観た人の心に何かを残すかもしれませんね。

『アルプスの少女ハイジ』へのオマージュ多め?名作への愛が随所に
本作を語る上で外せないのが、元になった名作『アルプスの少女ハイジ』へのオマージュの数々ですよね。特に印象的なのは、クララの存在でしょう。本作のクララは特に障害を持つキャラクターとして描かれていませんが、物語終盤で脚を負傷し、車椅子に乗るシーンは、原作で足が不自由だったクララへのオマージュとなっています。「立ちなさいクララ!」というセリフも、この映画ならではの過激なアレンジで出てくるシーンは、思わず笑っちゃいますよ。
他にも、ハイジがアルプスの大自然の中で育ったことや、アルペヒとの絆とか、原作の要素が上手く取り入れられています。
ただ、それらは単なる焼き直しじゃなくて、『マッドハイジ』というフィルターを通すことで、全然違う、ある意味残酷な意味合いを帯びてくるのが面白いところなんです。
これらのオマージュは、原作をただパロディにしているだけじゃなくて、むしろ深い愛情の表れなんじゃないかなと思います。世界中で愛された物語を、あえて過激に、そして大胆に作り変えることで、新しい魅力を引き出そうとしている製作陣の意図を感じますね。
ゴア描写に注目:容赦なき血しぶき!
『マッドハイジ』の大きな特徴であり、意見が分かれるかもしれないのが、その徹底的なゴア描写ですよね。もう、画面いっぱいに飛び散る血しぶき、肉片は、スプラッター映画ファンにはたまらないでしょう。
その描写は、中途半端じゃなくて、かなり本格的です。チープさを感じさせない特殊効果で、残酷なシーンが生々しく、そして時々コミカルに描かれるんです。敵を倒す時のハイジの容赦のなさも、このゴア描写に拍車をかけていますね。
でも、この過剰なゴア描写は、ただグロいだけじゃない気がするんです。あまりにも現実離れしたその描写は、一種のブラックユーモアとして機能して、作品全体の雰囲気を独特なものにしているのではないでしょうか。グロテスクなのに、どこか突き抜けた明るさみたいなものを感じるのは、この過剰なゴア描写のおかげかもしれません。
スプラッター映画が苦手な人には絶対におすすめできませんが、この手のジャンルが好きなら、本作の容赦ないゴア描写は間違いなく見どころの一つということになるでしょう。
ハイジのバトルフォームが可愛い!
物語が進むにつれて、ハイジはただの可愛い少女から、復讐に燃える強い戦士へと変身します。その時のバトルフォームが、この映画の隠れた魅力だと思います。

普段の素朴な民族衣装をベースに、戦うためにアレンジされたその姿は、可愛らしさの中に凛々しさがあって、すごく魅力的です。山で鍛えられた身体能力と、修行を活かした、アクロバティックなアクションシーンも目が離せません。
特に面白いのは、武器として使う色々な道具。見ていて飽きないんですよ。そのギャップも、ハイジというキャラクターの魅力を引き立てていると思います。
続編はある?気になるラスト
物語は、ハイジとクララが車に乗り込み、クララが機関銃を豪快にぶっ放すという、まさに次への展開を予感させる強烈なラストで幕を閉じました。この終わり方は、二人の新たな戦いの始まりを告げていると言えるでしょう。
これだけの個性的なキャラクターと、独特な世界観を持った作品だけに、続編を期待する声は非常に大きいものがあります。現時点では、公式な続編に関する発表はありませんが、あのラストシーンを見る限り、続編の製作を期待せずにはいられません! ハイジとクララはこれからどこへ向かい、どんな戦いを繰り広げるのか? 続報が待ち遠しいですね。
こぼれ話
この映画は、クラウドファンディングで製作資金が集められたという、ちょっと変わった経緯があるんです。熱心な映画ファンの応援のおかげで、こんなクレイジーな企画が実現したって考えると、インディペンデント映画の可能性を感じますよね。
あと、監督のヨハネス・ハートマンとサンドロ・クロプフシュタインは、もともと自主映画を作っていたそうで、その自由な発想と情熱が、この型破りな作品を生み出したんだと思います。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『マッドハイジ』について、魅力を紹介させていただきました。

風刺もしっかり効いた、楽しみやすい作品です。

でもR18だから、お子様との鑑賞は気をつけてね。
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