炭鉱町「箱庭」が描く人間ドラマ─『クラメルカガリ』の奥深い世界

映画『クラメルカガリ』は、炭鉱町「箱庭」を舞台にした独特な世界観と個人のドラマを描いた作品です。塚原重義監督による本作は、レトロフューチャーな雰囲気を持ちながらも、登場人物の心情や人間関係に深く焦点を当てています。特に、炭鉱町のモデルとなった都市については興味深い点が多く、日本の実在の炭鉱地域との共通点も見えてきます。

零細採掘業者がひしめく炭砿町…通称“箱庭はこにわ”。
日々迷宮の如く変化するこの町で地図屋を営む少女―カガリ。
“箱庭”からの脱却を夢想する幼馴染―ユウヤ。

昨今この町で頻発する不審な“陥没事故”は、
次第にふたりの日常を侵食し始めて・・・
果たして、町の命運は、カガリはこの事態を乗り越えられるのか！？
困難の先で、少女は今日“ちょっとだけ”大人になる―

https://www.kurayukaba.jp/kuramerukagari/

設定：箱庭とその背景

『クラメルカガリ』の舞台となる「箱庭」は、炭鉱の町であり、物語の中心となる場所です。この町はもともと監獄だった土地が大規模な陥没事故をきっかけに亜炭層が発見され、炭鉱の町として発展したという設定になっています。過去の監獄としての歴史が、町の建造物や人々の生活に影を落としており、閉鎖的な空気と独特の文化を形成しています。

町の雰囲気は、レトロフューチャーな世界観が色濃く反映されており、アナログ技術と近代化が混ざり合った印象を受けます。細い路地や古い建物が並ぶ町並み、作業員たちが行き交う炭鉱エリア、そして町の人々の装いが、作品全体の雰囲気を決定づけています。

モデルは？どの町が参考になっているのか

物語の舞台として明確にモデルとなった都市は公表されていませんが、作品の背景にある炭鉱町という設定から、日本の実在する炭鉱地域が参考にされている可能性があります。特に、北海道の夕張や福岡の筑豊などは、歴史的に炭鉱の町として栄えており、その独特の雰囲気が反映されているかもしれません。

また、塚原重義監督の作品『クラユカバ』でもレトロでありながらどこか不気味な世界観が描かれていましたが、『クラメルカガリ』はより個人のドラマに焦点を当て、感情の動きがより重要な役割を果たしています。その点では、単なる炭鉱の町というだけでなく、登場人物の心理的な閉塞感や鬱屈した感情を映し出す舞台として箱庭が機能していると考えられます。

クラユカバと違って恋愛要素というか個人にフォーカスした感じよね

『クラユカバ』がミステリー的な要素を強く持っていたのに対し、『クラメルカガリ』は登場人物の感情や関係性に深く切り込んだ作品になっています。特に、恋愛要素がストーリーの根幹にある点が異なります。

主人公は閉鎖的な町の中で地図を作るということに対して前向きな情熱を持っている一方で、その友人は箱庭のようなその場所から抜け出したいという強い思いを持っている。

その二人の心の動きを中心に物語が展開されます。

また、登場するキャラクター同士の関係性も、単なる友情や家族関係だけではなく、微妙な恋愛感情や憧れ、喪失などが絡んでくる点が興味深いです。

『クラユカバ』とは異なるドラマ構造になっており、観客の心を揺さぶるストーリーが展開されていきます。

クチナワじいがやばい！かっこいいけど可哀想

そんな登場キャラクターの中でもクチナワじいは特にインパクトのある存在です。

彼は過去に多くの苦難を経験し、それが彼の人格や行動に深く影響を与えています。

ネタバレになってしまうので多くは語れませんが、とにかくカッコイイです。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『クラメルカガリ』は、単なる炭鉱町の物語ではなく、個人の感情と人間関係の機微を丁寧に描いた作品です。箱庭の閉鎖的な環境が登場人物の心理に影響を与え、クチナワじいをはじめとするキャラクターがそれぞれの過去や想いを抱えながら生きています。モデルとなった町の歴史や制作秘話を知ることで、さらに作品の魅力を深く味わうことができるでしょう。

　

X（旧Twitter）はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi