これか?ワシのゼロ戦よ
映画『仁義なき戦い 広島死闘編』をNetflixで鑑賞しました。
『仁義なき戦い』と『仁義なき戦い 代理戦争』の間に位置するサイドストーリー的な立ち位置の本作。

『仁義なき戦い』のヒットを予想して急遽制作された経緯の在る本作なんですが、非常に面白い作品なので、あらすじや感想をお伝えしていきます。

まずはあらすじから!
あらすじ
1950年、広島市。復員兵の山中正治は、村岡組組長の姪で未亡人の上原靖子が働く食堂で無銭飲食をし、大友連合会会長の息子である大友勝利のリンチを受ける。勝利の狙いは村岡の縄張りを荒らすことだったが、長次が山中に詫び、その紹介で山中は村岡組の組員となる。山中は靖子と恋仲になり、村岡の逆鱗に触れて九州へ逃れるが、和田組組長を射殺し、広島への帰参を許される。
一方、村岡組と大友組の対立が激化し、勝利は村岡組に乗り込んで村岡の命を狙うが失敗。時森勘市を頼りにした勝利は、広能の元に身を寄せるが、広能は時森を殺して広島の抗争が呉に飛び火するのを防ぐ。勝利は広島から追放されるが、寺田啓一らを残して村岡組襲撃を計画。山中は寺田らを射殺するが、無期懲役の判決を受ける。
山中は脱獄し、村岡に復讐を誓うが、村岡は靖子を連れ戻し、山中を騙す。山中は大友の命を狙うが失敗し、抗争は村岡組の勝利で終わる。山中は高梨を射殺し、松永の家に逃げ込むが、村岡に騙されていたことを知り、独り拳銃自殺をする。
解説
冒頭でも軽くお伝えした通り、本作は急遽制作された作品なので、スピンオフ的な立ち位置になる作品です。
『仁義なき戦い』や他のシリーズのような群像劇ではなく、山中と大友という二人のキャラクターにフォーカスしたアクション作品になってます。
山中というのは広能に近いまともなヤクザというか、正義感の強い役で、大友というのは暴力的でめちゃくちゃなヤクザなんです。シリーズの中でも特に危険な人物として描かれています。
『仁義なき戦い 完結編』で宍戸錠が演じたのもこの大友勝利です。そっちでも凶暴でめちゃくちゃでしたね。

もともと千葉真一が山中、北大路欣也が大友としてキャスティングをされていたんですが、北大路欣也が「山中の方が自分のキャラクターに合っている。セリフがどぎつすぎる大友はできない。大友は粗暴で下品過ぎるから、自分では演じられない。山中のほうをやらせてくれ」と頼み込んだ結果、逆転したそうです。
当時の他の仕事のイメージで、あの役は受けにくかったんでしょうね。「女のオメ〇の汁で飯食っとるんだら」なんてセリフがありますから笑(ちなみにオメ〇という言葉を使ったのは映画史上本作が初めてだったそうです)
その逆で山中というのはかなりカッコいい役なんですよね。シリーズには珍しく、恋をするようなストーリーもありますし。ダーティハリーみたいなカッコいい銃持ってますしね。

感想
翻弄される山中の描き方は、『代理戦争』と同じような雰囲気を感じるんですが、本作はやはり5部作の中ではかなり異色ですね。
少しヒーローもののような雰囲気も漂っています。
それでもやっぱり終わり方は切ないんですよ…。ズルいやつらは損を見ず、彼のような正直者が馬鹿を見る。これを実に退廃的に描いているんですよね。
そんな切ないヤクザを演じた北大路欣也の演技も素晴らしいんですが、大友を演じた千葉真一の演技の方が印象に残ります。

暴力の権化のような、こんなのが自分の街にいたらどうしようと不安になっちゃいました。下品な言葉の数々も、常軌を逸した制御不能な行動も、どのシーンを観ても素晴らしい。
正直、『仁義なき戦いシリーズ』の裏切りの連続の群像劇や、金子信雄と田中邦衛のクズのやり取りが好きな私は本作がやや物足りなく感じましたが、この2大スターの演技だけでもめちゃくちゃ楽しめる作品です。
大友勝利というキャラクターの異常性を知るという点でも、完結編を観る前後には必ず観た方がいいですね!
何より、「ワシのゼロ戦よ」のセリフや、終盤に観られる戦争の愚かさのメタファーはやはりカッコいいです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『仁義なき戦い 広島死闘編』について解説しました。

千葉真一と北大路欣也、二大スターの演技は圧巻です。

大友勝利ってキャラクターを知る上でも、完結編までには観ておきたいよね。
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