『キャリー』2002年版は宗教離れといじめの構造分解である

映画

Amazon Prime Videoで『キャリー』の2002年版を鑑賞しました。

私はずっと昔に1976年デ・パルマ版の『キャリー』を観たことがり、Amazon Prime Videoの観放題にあることに気づいて再鑑賞しはじめたつもりが、

ヒロインこんな子だっけか?

こんなに序盤からサイキックな感じだったか?

いつまでも経ってもトラボルタ出てこんな

なんて思っているうちに映画が終わり

終わってから2002年版だったことに気づいたのです…。

ダニー
ダニー

でも、意外と面白かったんだよね?

bitotabi
bitotabi

そうなのよ。しかもなかなか教育的価値が高いと思ったね。今回はそのあたりを解説していこうと思います。

『キャリー』2002年版の作品概要

キャストや監督・脚本については1976年版や2022年版に比べるといまいちなのであえて解説はしません。知りたい人は他サイトで調べてみてください。

本作も他の『キャリー』とストーリーは大体同じです。大きく違うのは、事件後の事情聴取から始まり、現在と過去(キャリーの一件)を行ったり来たりするという点でしょうか。これが割と面白いです。落ち着いた雰囲気ですね。刑事の言葉や視点が入るので、ティーンエージャーのえぐみが少しマイルドに感じます。

1976年版と違って、上映時間が135分と長いのも特徴ですが、かなりテンポがいいんです。飽きずに観られます。展開の速さはかなり秀逸。

これ、1976年版がどうだったかあまり覚えてないんですが、結構序盤からキャリーの超能力が覚醒するんですよね。最後の最後だけじゃないんです。なんだったら幼少期から力はあったという設定になってました。感情が高ぶると暴走するという感じ。

それを母親が宗教の戒律でもって厳しく押さえ込んでいたんですが、初潮を迎えたショックやいじめ、母親から自由を奪われることで以て、とうとうストレスがピークに達して超能力に目覚めたというプロットでした。本作では練習するシーンなんかもあります。

具体的にどんなことが出来るかというと、予知、テレキネシスが主な能力で、隕石誘導や透視なんかも出来ちゃうようでした。めっちゃくちゃ強いです。スパイダーマンより強いと思います。



解説:宗教離れといじめの構造分解

本作では、キャリーが敬虔なキリスト教徒である母親に反発するというのが一つ大事なポイントです。

母親はプロムの参加もさせたくないし、ダーウィンの進化論も受けさせないという徹底っぷり。

でもキャリーは初潮を教えてくれなかったことに納得してないし、周りにも少しは馴染みたいし、プロムにも参加したい。

『エクソシスト』のように、若者の宗教離れや信仰の揺らぎのようなものを描いているんでしょう。現代の暮らしの中で、キリスト教の教えにすべて則ると、矛盾を感じることが多すぎるというメッセージ性を感じました。

そして、同級生たちはそういう浮いた雰囲気のキャリーをよく思わない。芯の強さとか一人で過ごせる強さみたいなものが恐ろしい、そんな気持ちも含まれているようにみえました。みんなと同じじゃないと嫌だ、流行りこそ、ステータスこそすべて、そういうティーンエージャーの浅はかさみたいなものでしょうか。

そしてキャリーを中心とした女子の構造が「クリス」「その他」「ノーマ」「スー」のようになってるんですね。

「クリス」はいじめの主犯者で、さっき述べたティーンエージャーの浅はかさを煮詰めたような存在です。自分が一番輝いていなればならないと思い込んでいて、いじめをしないと生きていけない、これはこれで病的です。

で、その取り巻きが「その他」です。これらは「やりすぎじゃない?」と思ってるのもいれば、「やれやれ!」と一緒になってるようなのもいます。傍観者ですね。

「ノーマ」は傍観者の中では遠い方なんですが、キャリーを哀れに思って優しい声をかけることもある。自分が直接キャリーに手を出すようなことはしない。でも、明日は我が身というか、自分の身を守るために助けるようなこともまたしない。

そして特殊なのが「スー」ですね。ドラえもんでいうところのしずかちゃんみたいな感じ。キャリーに手を差し伸べることで、自分の有能感を満たしている気もするし、でも本心で助けたいようにも見える。あるいは「クリス」がムカつくからあてつけに「キャリー」を助けた。そんな風にも捉えられます。実際、「スー」が何もしなければ、あの惨劇は起こらなかったわけですし。でも、「キャリー」が母親から解放されることもなかった。善人なのかそうでないのか。鑑賞者に委ねられる存在な気がしました。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

2002年版『キャリー』の解説をお届けしました。

bitotabi
bitotabi

間違えて鑑賞したけど、なかなか面白いですよ。みなさんの目には「スー」がどのように映るのか気になります。

ダニー
ダニー

プライムで観てみてね~。

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