言わずと知れた、日本が世界に誇る映画監督、黒澤明。
国内外において高い評価を受け、氏の代表作として広く知られる『七人の侍』は、私にとってもかけがえのない1本です。

この映画は1954年に公開された作品で、日本映画において、エンタメ映画の走りと言っていいでしょう。アクションあり、ドラマあり、笑いあり、涙ありといった誰もが楽しみやすい娯楽要素の高い、まさに「映画というのは、こういうもの」という。
かつ、仲間と協力して共に悪を討つという王道のプロットの先駆けでもあるようですね。
それにも関わらず、最初にして最高。三船敏郎を筆頭に、アクションの質の高さ、人間模様、社会的メッセージの強さなど、複合的に考えればこの映画を越えるレベルの作品は存在しないかもしれない。それだけのエネルギーを持った、とてつもなく価値の高い1本なのではないでしょうか。

単純なアクションだけでいえば、海外作品にも日本作品にも、この映画より、危険度が高かったり、身体能力的な面で優れたりするシーンを含んだものは多くあるでしょう。飛行シーンや、ステゴロの格闘シーン、銃撃戦なんかはありませんからね。CGや特殊技術も合わさった『ミッション: インポッシブル』や『ワイルドスピード』にはそういった面では及ばないと言えます。
しかし、私が本作を愛する理由は、社会的なメッセージ性の強さにあります。百姓と侍たちを通じて、当時の日本、そして現代にも通じる格差社会への問題提起のような。
当ブログでも何度か紹介していますが、それを最も体現しているのが、三船敏郎演じる「菊千代」ですね。

彼は侍たちの仲間の一人として行動しますが、実は助けを乞う者たちと同じく百姓の出なんです。彼は野武士たちに襲われた一件の離れに残された赤ん坊を抱きかかえて、「これは、これは俺だ」と言うんですね。
百姓たちが落武者狩りで武器や鎧を隠し持っていることが発覚するシーンでも、侍たちが百姓に呆れ憤る中、菊千代だけはその怒りを侍たちに向けるわけです。

落武者狩りの背景にあるもの。百姓たちは、争いに巻き込まれるだけ。せめて落武者狩りでもしないと怒りが収まらないし、生きてもいけない。
その他のシーンでも、生まれた時から武士の家の子、つまりある程度豊かな暮らしをしてきた侍たちには到底分からない百姓の悔しさや情けなさ、社会のシステムのやるせなさというものを菊千代や村人たちを通じて伝えてくれるわけであります。
序盤で侍たちが村を守るために立ち上がるきっかけともなる、「百姓にはこれが精一杯なんだ!」という木賃宿での一幕も大変印象的ですね。

映画好きだけではなく、子どもや普段映画を観ないような層でも間違いなく満足できるエンタメ性の高さに加えて、涙がこぼれるほどのドラマ、そしてこの黒々とした社会へのメッセージ性。侍ってカッコいいじゃん!ってだけの映画では、無いんですね。
あまりにも完璧すぎる、最初にして最高のエンタメ映画。エンタメ映画としても、社会派映画としても、優れすぎている。
現時点で私が一番好きな日本映画は、『七人の侍』です。
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