『アダムス・ファミリー2』 倒錯した家族愛は健在、ウェンズデーが覚醒する傑作続編

映画

1991年の映画『アダムス・ファミリー』が世界的なヒットを記録したことで、2年後の1993年に制作された続編『アダムス・ファミリー2』(原題:Addams Family Values)。

前作から続投したバリー・ソネンフェルド監督と豪華キャスト陣が、アダムス一家の異色な魅力をさらに深く、そしてコミカルに描いた本作は、ファンからも非常に評価の高い一本でございます。

bitotabi
bitotabi

正直、1より2の方が遥かに面白いです。脚本の影響力を感じます。

ダニー
ダニー

NETFLIXの『ウェンズデー』にも通ずる作品だよね~。

1. 作品概要

  • 原題Addams Family Values
  • 公開年:1993年
  • 監督:バリー・ソネンフェルド
  • 脚本:ポール・ラドニック
  • キャスト:アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリア、クリストファー・ロイド、クリスティーナ・リッチ、ジョーン・キューザック 他
  • 上映時間:94分
  • ジャンル:ブラックコメディ、ファンタジー

あらすじ: アダムス家に新たな命、口ひげのある三男ピューバートが誕生。夫婦は大喜びですが、長女ウェンズデーと長男パグズリーは弟を亡き者にしようと画策します。一方、フェスターおじさんはベビーシッターのデビーに恋に落ちるが、彼女は財産目当ての連続殺人鬼でした。デビーの企みにより、ウェンズデーとパグズリーはサマーキャンプへ、フェスターは家族から引き離されてしまい、一家に最大の危機が訪れます。

2. 脚本交代で大進化!ブラックユーモアとギャグの嵐

前作から脚本家がポール・ラドニックに交代したことで、本作は最初から最後までアクセル全開となりました!ラドニックのブラックコメディとシニカルな風刺に満ちた脚本は、怒涛のブラックユーモアを畳みかけ、笑いの「手数」を圧倒的に増加させています。複数のプロットラインが同時に進行し、作品は最高のカオス状態に突入します。

bitotabi
bitotabi

正直、1はアダムスファミリーという強烈なキャラクターたちのよさを活かせてないストーリーでしたが、本作はめちゃくちゃいい。映画を作る上で、脚本がどれだけ大事かを思い知りました。

  • 弟殺しに燃える姉弟の純粋な悪意:ピューバートをギロチンにかけようとするなど、その倒錯した愛情表現は強烈なショックと笑いを同時に生み出します。
  • フェスターとデビーの命がけのロマンス:殺人鬼デビーの底抜けに明るい狂気と、不死身体質のフェスターが激突!ジョーン・キューザック演じるデビーは、コメディ要素を一気に引き上げました。
  • ウェンズデー、サマーキャンプで牙を剥く:束の間のキャンプ生活で、ウェンズデーが「普通」の教師や子どもたちに放つ皮肉と反逆精神は、短いながらも最高に痛快です。



3. ストーリーとSFXの飛躍!一家最大の危機を描く

ストーリーテリングの洗練

本作のストーリーテリングは、コメディ続編の枠を超えて洗練されています。テーマは変わらず「倒錯した家族愛」ですが、今回は「外部の悪意(デビー)」によって一家が引き裂かれるという、よりドラマティックな構造を採用。デビーの緻密な計画、フェスターの隔離、そしてウェンズデーの知的な活躍がスムーズに展開します。家族崩壊の危機から団結して悪意を打ち砕くカタルシスは、前作を遥かに上回る興奮をもたらします。

特殊効果(SFX)の進化

前作で絶賛されたハンド君の素晴らしい動きはそのままに、本作ではさらに大掛かりな特殊効果(SFX)が惜しみなく投入されました。

  • クライマックスにおけるデビーによるド派手な大爆発や拷問装置のギミック
  • 赤ん坊ピューバートが一家の危機を救う際に発揮する、度肝を抜く特殊能力
  • フェスターおじさんが殺されそうになるシーンで、コミカルながらも迫力満点のスタントとSFXが連続します。

続編として予算と技術が向上した恩恵を受け、視覚的な面白さが爆発的に増幅されています。

4. ウェンズデーの反逆:サマーキャンプでの痛烈な風刺劇

本作の最も過激でエッジの効いた側面は、サマーキャンプ「キャンプ・チッペワ」での描写にあります。

bitotabi
bitotabi

今だったら放映できないギリギリのラインでしたね。肌の色、宗教、容姿、障害の有無など、差別的な表現がめっちゃあります。でも、最後にウェンズデーがそれを否定してくれるのが気持ちいいんです。

ウェンズデーは、強制参加させられた「感謝祭の演劇」において、「偽善的で明るいアメリカ文化」を徹底的に批判。入植者を演じる白人の子どもたちに対し、ネイティブ・アメリカンの側(ポカホンタス)を演じながら、「あなたたちの祖先は土地を奪い、疫病を広げ、ジェノサイドを行った」と、歴史の暗部を痛烈に突きつけます。

このシーンは、アメリカ史における人種差別や文化的な同化圧力を、あえてブラックコメディとして扱い、作品が強烈な社会風刺の側面を持っていることを証明します。最後にウェンズデーが反乱を主導し、キャンプの施設を炎上させる結末は、彼女の「偽善的な常識に対する反逆者」というアイデンティティを決定づける、痛快で忘れられない描写となっています。

5. ドラマ『ウェンズデー』の原点:ヒロインを確立した重要要素

本作は、後に世界中を熱狂させたNetflixドラマ『ウェンズデー』のキャラクター設定やプロットに、決定的な影響を与えた「原点」と言えるでしょう。

  • ウェンズデー・アダムスのキャラクター確立:映画版のウェンズデー(クリスティーナ・リッチ)は、ただ陰鬱なだけでなく、歴史や毒物学に精通した博識さ、冷静沈着で冷酷な知性を持つヒロインとして確立されました。これは、ドラマ版(ジェナ・オルテガ)のベースとなった、まさに「ウェンズデーの原型」です。
  • ジョエル・グリッカーとユージーン・オッティンガー:サマーキャンプでウェンズデーと心を通わせるメガネの少年ジョエル・グリッカーは、ドラマ版でウェンズデーと友情を育む、虫を操る能力を持つ少年ユージーン・オッティンガーの明確な原型です。
  • 「キャンプ(学園)に行く」という演出:シーズン1ではボートレース、シーズン2では、学校行事のキャンプにウェンズデーが参加するという演出は、本作が原点といえるでしょう。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『アダムス・ファミリー2』は、コメディ映画の続編という枠を遥かに超えた傑作です。

世界観をさらに深く、鋭く掘り下げた、「倒錯的で美しい家族の物語」として傑作の域に達しています。

ゴメスとモーティシアの熱愛、フェスターおじさんの狂気に加え、本作でウェンズデーが「反逆のヒロイン」として華々しく覚醒したことが、作品全体の魅力を決定づけました。

bitotabi
bitotabi

ブラックユーモアとシニカルな風刺、そしてその核心にある温かい家族愛のコントラストを、ぜひこの機会に改めて体感し、その魅力にどっぷり浸ってください!

ダニー
ダニー

断然2の方が面白いよ。

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