映画の長尺化:多角的な要因と進化する業界の姿

映画

近年、劇場公開される映画、特に大作において上映時間が長くなる傾向が顕著です。

例えば、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』(約3時間)、

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』(約2時間35分、パート2は約2時間46分)、

ジェームズ・キャメロン監督の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(約3時間12分)、

そしてマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(約3時間26分)など、3時間前後の作品が珍しくなくなってきました。

これには、単一の理由だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。

ストリーミングサービスの影響や大手映画会社の戦略に加え、作品そのものの性質や作り手の意向も大きく関わっています。

bitotabi
bitotabi

今回の記事では、近年の大作映画の上映時間が長くなった理由について解説していきます。

ダニー
ダニー

確かに最近めちゃくちゃ長いのあるもんね~。どうしてなんだろ?


1. ストリーミングサービスがもたらした「制作の自由」

NetflixやAmazonプライムビデオなどのストリーミングサービスの台頭は、従来の映画制作の枠組みを大きく変えました。

マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』がNetflixで制作され、約3時間29分という長尺であったことは、その象徴的な例です。

ストリーミングサービスは、以下のような点で監督にこれまでにない自由を提供しました。

  • テレビ放映の制約からの解放: 劇場公開を前提としないため、かつてあったテレビの2時間枠に収める必要がなくなりました。監督は物語に必要な時間を自由に設定できます。
  • 潤沢な予算: 質の高いオリジナルコンテンツを獲得するために、ストリーミングサービスは時に従来の映画会社を上回る巨額の制作費を投じる傾向があり、監督は妥協なく壮大なスケールの作品を制作できます。
  • 監督の裁量権の拡大: 時間や予算の制約が少ない上に、劇場での興行成績に過度に左右されない環境は、監督が自身のビジョンを最大限に追求できる自由をもたらしました。

2. 大手映画会社の戦略的対応と「劇場体験」の価値向上

ストリーミングサービスによる「制作の自由」が多くの大物監督を惹きつけ始めたことで、既存の大手映画会社は「監督の流出」への危機感を抱くようになりました。

これに対抗するため、彼らは新たな戦略を打ち出しています。

  • 長尺作品の積極的な容認: ストリーミングに対抗するため、監督が望む限り、物語を深く掘り下げ、没入感のある体験を提供するために、長い上映時間を許容するようになりました。これは、監督が劇場作品でも妥協せずに自身のビジョンを実現できる環境を整えることを意味します。
  • 「劇場体験」の差別化: ストリーミングでは得られない、映画館ならではの「特別感」や「非日常的な没入感」を強調するため、時間をかけた壮大な作品の提供が有効な手段となっています。長い上映時間は、その作品の芸術性やエンターテイメント性をアピールする要素にもなります。
  • クリエイターとの関係強化: 大手映画会社は、有名監督や脚本家といった重要なクリエイターに対し、彼らの創造的なビジョンを最大限に尊重し、最適な制作環境を提供することで、関係を強化し、優秀な人材の確保に努めています。




3. 映画作品の性質と作り手の意向

上記のような業界の大きな変化に加え、映画作品そのものの性質や作り手の意向も、長尺化の要因として挙げられます。

  • 「大作感」の演出と差別化: 多くのエンターテイメントが溢れる現代において、観客に「映画館で時間を使って観る価値のある大作」だと感じさせるために、長い上映時間が利用されることがあります。これは、その作品の規模や深さを視覚的に示す手段ともなります。
  • 感情の変化や体験の提供: 映画は単なる情報伝達の手段ではなく、観客の感情を「じわじわと変化させ」、深く「没入する体験」を作り出すメディアです。記憶に残るような感動や深い考察を促すためには、ある程度の時間が必要であるという作り手の考えが反映されています。
  • 情報量の増加と複雑な物語: 現代の映画は、複雑な世界観、多層的な物語構造、詳細なキャラクター描写など、膨大な情報を含んでいる傾向があります。これらの要素を十分に描き出し、観客に理解させるためには、自然と上映時間が長くなる傾向にあります。




まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

このように、映画の長尺化は、ストリーミングサービスによる制作環境の変化、それに対する既存の映画会社の戦略、そして作品の内容や作り手のクリエイティブな意図といった、複数の要因が複合的に作用した結果と言えるでしょう。

この傾向は、映画業界が新しい時代の視聴形態やクリエイターの要求に適応しようとする中で生まれた、必然的な変化なのかもしれません。

bitotabi
bitotabi

長尺映画、お得感はあるものの、インターミッションがないので辛い部分もありますね。

ダニー
ダニー

なんでインターミッションがなくなったかも、次回の記事で解説するね!

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