『死霊館 最後の儀式』を鑑賞してきました!
これまで数々の超常現象を解決に導いてきた実在の心霊研究家、エドとロレイン・ウォーレン夫妻の物語がついに完結。
2013年の第1作から、アナベルやヴァラクといった象徴的なキャラクターを生み出し、ホラー映画の新たな地位を確立してきた『死霊館』ユニバース。
その集大成となる『死霊館 最後の儀式』は、壮大な恐怖の物語であると同時に、愛と信仰を巡る感動的な物語でもあります。

近年の米ホラーのブームである、感動的なドラマ要素。そこをしっかり押さえている作品でした。

では、見どころをネタバレなしで伝えていくね!
シリーズ史上最も個人的な、愛娘を襲う恐怖
物語の舞台は、1986年のペンシルベニア。 これまで数々の呪われた物品を自宅に保管してきたウォーレン夫妻。ある日、そこに持ち込まれたのは、いわくつきの「呪いの鏡」でした。その鏡に潜んでいた邪悪な存在は、これまでの調査で対峙してきたどの悪魔よりも狡猾で、残忍なものでした。しかし、その恐怖は物理的な現象に留まりません。この悪魔は、ウォーレン夫妻にとって最も大切な存在、つまり彼らの愛娘ジュディを標的とします。

ジュディは、恋人からプロポーズを受け、間近に結婚を控えていました。しかし、鏡から解き放たれた悪魔は、彼女の幸せを奪うかのように、巧みに精神を蝕んでいきます。これまで他人の家族を救ってきたエドとロレインは、初めて自分たちの家族を守るために戦わなければなりません。それは、彼らの信仰心、夫婦の絆、そしてこれまでの人生のすべてが試される、過酷な試練でした。本作は、シリーズで初めて、ウォーレン夫妻の個人的な苦悩と葛藤に深く切り込んでいます。

それではここから見どころを!
見どころ①:ホラー映画への敬意と、巧みな心理描写
『死霊館』シリーズの魅力は、観客をただ驚かせるだけでなく、心に迫る恐怖を描き出すことにあります。監督のマイケル・チャベスは、このシリーズの最も得意とする、観客の心理を巧みに操る演出を見事に踏襲しています。
鏡から何かが現れるかもしれないという視覚的な恐怖、背後に誰かが立っているかもしれないという心理的な不安、そして家全体を覆うような邪悪な雰囲気。音響やライティングを駆使した緻密なホラー演出が、現代の技術と融合し、観客の心を深く揺さぶります。また、名作『シャイニング』を彷彿とさせる、斧を持ったキャラクターや、大量の血が流れる廊下など、ホラー映画への深いリスペクトが感じられるシーンも随所に散りばめられており、映画ファンにはたまらない演出が楽しめます。
見どころ②:伝説の夫婦、その愛と終焉
本作は、ウォーレン夫妻に一つの完璧な終着点を与えます。ホラー映画でありながら、観客はエドとロレインの夫婦としての深い絆、そしてお互いを支え合う姿に、心からの感動を覚えるはずです。
個人的な感想ですが、クライマックスの、家族全員が団結して悪魔に立ち向かうシーンは、まるで「ドラゴンボールの親子かめはめ波」のようで、感動と同時にどこか微笑ましさも感じられる、特別な瞬間となっています。

近年の洋ホラーのトレンドである、ユーモアと感動を交えたドラマに仕上がっていますよ。笑いどころが結構多いです。
見どころ③:キャストのここに注目!
この映画の魅力を語る上で欠かせないのが、キャスト陣の素晴らしい演技です。

- パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガ:長年にわたってエドとロレインを演じてきた彼らは、もはや役を演じているというより、ウォーレン夫妻そのものと言っていいでしょう。過去の作品では常に力強かった彼らの顔に、今回は愛娘を狙う悪魔を前にした疲労と苦悩がにじみ出ています。
- ミア・トムリンソン:ウォーレン夫妻の娘ジュディ役を演じる彼女は、迫真の「スクリームクイーン」ぶりを発揮しています。邪悪な存在に翻弄されながらも、抗おうとする彼女の演技が、物語にさらなる緊迫感を与えています。
- ベン・ハーディ:ジュディの彼氏役を演じるのは、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンのドラマー、ロジャー・テイラーを演じた彼です。彼の安定した演技は、物語に説得力を加え、観客を安心させてくれます。
- リアリティを追求したキャスティング:今回被害者となるスマール一家のお母さん役を演じた女優さんは、エンドロールで流れるご本人と驚くほど似ています。こうした細部にわたるリアリティへのこだわりにも注目です。

謎の解明、その本当の意味とは?
公開前の宣伝文句では、「シリーズの謎が明かされる」と大きく謳われていました。この言葉を聞いて、「アナベルやヴァラクの起源がすべてわかるのか?」と期待した人も少なくないでしょう。しかし、その期待は少し違う角度から満たされます。
本作で「解き明かされる」のは、宇宙の真理や壮大な悪魔の歴史ではありません。それは、ウォーレン夫妻がこれまで誰にも語ってこなかった「個人的な過去」であり、彼らの人生に深く関わってきた「ある一つの事件の真相」なのです。この事件は、夫妻の娘ジュディの誕生と深く結びついており、彼らがこの仕事を続けることになった、ある種の原因ともいえるでしょう。
この映画は、私たち観客が抱いたユニバース全体の謎を解くのではなく、ウォーレン夫妻自身の物語に決着をつけるための作品です。彼らがなぜ、これほどまでに超常現象に命を懸けてきたのか。そして、その長い戦いの果てに、どのような答えを見つけ出すのか。この物語は、ホラーというジャンルを超えて、彼らの人生を総括するドキュメンタリーのような深みを持っています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『死霊館 最後の儀式』は、ホラー映画としての完成度もさることながら、愛と信仰、そして家族の物語として、多くの人の心に深く刻まれる作品です。
ウォーレン夫妻が命を懸けて守ろうとした「愛」に目を向けたとき、あなたはきっと、心から震えるような感動を体験することでしょう。

これが、名作ホラーシリーズがたどり着いた、愛の結末なのではないでしょうか。

日本での公開を、お楽しみに!
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