ホラー映画ファンなら一度は耳にしたことがあるであろう、衝撃作『フッテージ』(原題:『Sinister』)。
この作品が、観客の心拍数を計測し恐怖度を数値化する「Science of Scare Project」で、なんと再び「最も恐ろしい映画」の頂点に返り咲いたのをご存知でしょうか?
2023年にも1位になった本作が、なぜそこまで恐れられ、高く評価されるのか。

すごいことだよね!

低予算ホラーの傑作として知られる本作の、単なるショック描写に留まらない、深く、じわじわと蝕んでくる恐怖の正体を、私の考察を交えながら解説します!
作品概要

あらすじ
かつてはベストセラー作家として名を馳せたノンフィクション作家のエリソン・オズワルト(イーサン・ホーク)ですが、現在はスランプに陥り、家計も厳しい状況にありました。
彼は起死回生を懸け、一家惨殺事件が起きた現場の家に、家族にはその事実を隠して引っ越します。エリソンの目的は、この未解決事件を題材にした本を書き上げ、再び成功を手にすることでした。
引っ越し後、エリソンは屋根裏部屋で古びた8mmフィルムと映写機を発見します。フィルムには「ホームムービー」のようなタイトルがついていましたが、それを映写してみると、そこに映っていたのは過去にこの家で起こった凄惨な殺人事件の様子でした。しかも、それは一つの事件だけでなく、時代や場所が異なる複数の家族の殺害シーンが記録されていたのです。
エリソンはこれをスクープの種として警察に渡さず、独自に調査を進めますが、フィルムを観て以来、家の中では不吉で理解不能な怪奇現象が次々と発生し始めます。家族が恐怖に晒される中、彼はフィルムに隠された共通の謎のシンボルと、事件の裏に潜む恐ろしい存在に近づいていき、一家は逃れられない運命に巻き込まれていきます。
1. 狂気へ誘う主演と黄金タッグ
本作の主役は、売れないノンフィクション作家エリソンを演じたイーサン・ホークです。彼は、監督のスコット・デリクソンと『ブラック・フォン』(2022年)など、その後もタッグを組んでホラー作品を成功させている、まさに黄金コンビです。
主人公のエリソンは、ベストセラーを再び生み出さねばという作家の探究心と好奇心、そしてヒット作への焦燥に駆られています。この設定が、家族を危険に晒す選択へと彼を追い詰めていくのです。その姿は、孤立した山荘で狂気に陥る『シャイニング』のジャック・トランスと通じるものがあり、ホラーファンにはたまらない魅力があります。

2. 8mmフィルムが映す、原初的な恐怖
『フッテージ』の恐怖の核となるのが、屋根裏で見つかる8mmフィルム(フッテージ)の存在です。
このアナログでザラついた画質と音質が、現代のデジタル映像にはない現実と非現実の境界を曖昧にする効果を生み出しています。この8mmフィルムの映像こそが、とにかく恐ろしいと多くの人が口を揃える理由でしょう。古い映像ならではのノイズや途切れが、生々しい凄惨な殺人シーンと結びつき、観る者の原初的なトラウマを刺激します。

そして、このフィルムに隠された怪談、邪教、村にまつわる要素が、絶妙なバランスで織り交ぜられています。物語が進むにつれて明らかになる恐怖の「システム」が、ただの心霊ホラーでも、ただのスラッシャー映画でもない、複合的な恐ろしさを感じさせます。
3. 作品の深みを増す「家族」と「子ども」の存在
エリソンが家族を連れて事件現場に引っ越すという設定は、ホラー映画の王道でありながら、彼の選択が引き起こす悲劇にリアリティを与えています。
特に、作中で描かれる子どもの演技が非常に優れている点も、この映画の評価が高い理由の一つでしょう。純粋な子どもたちが恐怖に晒されることで、一家の崩壊がより痛ましく描かれ、観客の感情移入を深めます。

4. 科学的に証明された「最恐」の結末
この作品は、最終的に「最も恐ろしい」と認定された理由が腑に落ちる、見事なオチを持っています。
「オチが面白い」と評されるように、それまでの推理や考察がひっくり返され、観客を突き放すような結末が用意されています。これはただのびっくり描写ではなく、観客に後味の悪い戦慄を残します。この恐怖の「システム」が完結する瞬間を、ぜひご自身の目でお確かめください。
『フッテージ』が何度もランキングトップに立つのは、この「作家の業」と「家族の愛」を基盤とした確かな物語、そしてアナログ映像の不気味さという多角的な恐怖が、観客の心拍数を高めるという形で科学的に証明された結果と言えるでしょう。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『フッテージ』の恐さとその魅力について解説しました。
8㎜フィルムや子どもたちの演技が織りなす、予測不能の恐怖。

これは納得です。めちゃくちゃいいホラーですね。

ちょっと恐すぎかも…。
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