スター・ウォーズ、ハリーポッター、アベンジャーズ、ゴジラ。現代の私たちが熱狂するSFや特撮映画の画面に散りばめられた「映像マジック」のルーツは、すべて120年以上前のわずか14分のサイレント映画にありました。
CGもデジタルもない時代、一人のマジシャンがカメラだけで仕掛けた驚異のトリックを解説します。

何の映画か分かるかな??

ズバリ、『月世界旅行』です!
作品概要
- 公開年:1902年
- 監督:ジョルジュ・メリエス
- 脚本:ジョルジュ・メリエス(ジュール・ヴェルヌの小説『月世界へ行く』、H・G・ウェルズの小説『月世界最初の人間』などから着想)
- キャスト:ジョルジュ・メリエス、ジューヌ・ダルシー、ブルーエット・ベルノン
- あらすじ: 天文学学会の会長が提案した前代未聞の月世界旅行計画。巨大な大砲の砲弾型ロケットに乗り込んだ天文学者たちは、ついに月へと打ち上げられます。ロケットは月の目に突き刺さるように着陸しますが、そこに待っていたのは奇妙な姿をした月の先住民族セレーナイトたちでした。彼らに捕らえられた学者たちは、果たして無事に地球へ帰還できるのでしょうか。
解説
映画の顔に突き刺さるロケット!あまりにも有名な「あのアイコン」
映画そのものは観たことがなくても、人の顔をした「月」の右目に、砲弾型のロケットがぐさりと突き刺さっているビジュアルを見たことがある方は多いはずです。

このポップで少し不気味なアイコンは、現代でも様々なポップカルチャーやアーティストにオマージュされ続けています。映画が「単なる日常の記録」だった時代に、この強烈なワンシーンを思いついたこと自体が、本作が歴史に名を残す最初のステップでした。
元マジシャンの監督が仕掛けた「カメラを止める」映像マジック
監督のジョルジュ・メリエスは、元々は手品師(マジシャン)でした。

彼はある日、撮影中にカメラが故障して突然止まり、再び動き出したことで「画面に映っていた馬車が、一瞬で棺桶車に化けた」という偶然の映像に遭遇します。 ここから彼は、カメラを止めて人や物を消したり変えたりするストップ・トリックを考案。さらに、1つのフィルムに重ねて撮影する多重露光や、画面を滑らかに切り替えるディゾルブ(溶暗)など、現代のVFXやCGの基礎となる特撮技術を、この14分の中にすべて詰め込みました。
120年前のクリエイターが描いた「宇宙人」の躍動感
作中に登場する月の先住民族セレーナイトの描写も、特撮ファンなら見逃せません。学者たちが傘で叩くと、煙となってポワッと消えてしまう演出など、当時の最先端のイマジネーションとストップ・トリックが見事に融合しています。 人間が宇宙に行くなど夢のまた夢だった時代に、本格的な着ぐるみやアクロバティックな動きを用いて「未知の生命体との遭遇」を描いていた事実は、現代のSF映画のプロットと驚くほど一致しています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『月世界旅行』は、映画がただの記録映像の枠を超え、人々を熱狂させる映像マジックを持ったエンターテインメントへと進化した記念碑的な作品です。

120年前に幕を開けた映画の魔術、そして現代のすべての特撮映画の遺伝子がここにあります。

現在ではYouTubeなどで全編を無料視聴できるから、タイパ重視の人もぜひその目で最初の奇跡を確かめてみてね~。
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