クエンティン・タランティーノ監督の代表作『パルプ・フィクション』。
その独特な語り口、魅力的なキャラクター、そして忘れがたいシーンの数々で、公開から30年近く経った今もなお、多くの映画ファンを魅了し続けています。

本当にカッコいいシーンが多くてびっくりするよね!

今回は、この伝説的な作品を彩るいくつかの印象的な要素に焦点を当ててみましょう。
ヴィンセントとミア ラリった二人の奇妙な出会い

物語の中心となるヴィンセントとミアの関係は、まさに『パルプ・フィクション』の象徴です。ボスであるマーセラスの妻ミアの世話を任されたヴィンセントですが、二人は出会った時からすでに「ラリっている」ような状態で、緊張感と危うさが漂います。
ヴィンセントはボスの奥さんに会うという緊張をほぐすために、ドラッグをキメてから会うんですね。
で、ミアはドラッグの常用者で訪問時からキマっちゃってた感じ。
そんな二人のやり取りは、何だかももう出会った時からフワフワしてるんですよ。ちぐはぐでフワフワしたあの感じが、何ともクールに見えるんですけど。
特に、ジャック・ラビット・スリムズでのデートは、その奇妙な空気感が最高潮に達します。奇妙な質問、そしてミアがヴィンセントに求める「クール」な振る舞い。そして、伝説的なダンスシーンへとつながっていきます。ドラッグによって感覚が研ぎ澄まされているのか、それとも単に錯乱しているのか。その判別がつかないまま、二人の間には奇妙な魅力が生まれていきます。

金の時計の件:ベトナム戦争の影
ブッチの「金の時計」のエピソードは、一見すると本筋とは関係ないように見えますが、その独特な語り口と登場人物の背景を深く掘り下げます。この時計が祖父から父へ、そして父からブッチへと受け継がれてきた経緯が、詳細に語られます。
特に、ブッチの父がベトナム戦争の捕虜収容所でこの時計を守り抜いたという話は、ベトナム戦争という時代背景への言及であり、登場人物の人生の重みを表現しています。

魅力的な女性キャラクターたちと演じた名優たち
『パルプ・フィクション』に登場する女性キャラクターたちは、皆それぞれに個性的で、強い印象を残します。
- ミア・ウォレス: ミステリアスで挑発的なカリスマ性を持つミアは、観客を惹きつけます。演じたのはユマ・サーマン。代表作として、『キル・ビル』シリーズ(ザ・ブライド役)、『ガタカ』(アイリーン・カッシーニ役)などが挙げられます。

- ハニー・バニー(ヨランダ): 恋人のパンプキンと共にダイナーで強盗を働く衝動的な女性。そのヒステリックな演技は強烈なインパクトを与えます。演じたのはアマンダ・プラマー。代表作として、『フィッシャー・キング』(リディア役)、『バグ』(R.C.役)などがあります。

- ファビエン: ブッチの恋人ファビエンは、どこか間の抜けた可愛らしさが魅力的です。演じたのはマリア・デ・メデイロス。代表作として、『ヘンリー&ジューン 危険な関係の女』(アナイス・ニン役)などがあります。

- ジョディ: 薬の売人ランスのパートナーで、身体中にピアスを開けているタフな女性です。その個性的なルックスと強い存在感は、短時間の登場ながら観客に忘れがたい印象を残します。演じたのはロザンナ・アークエット。代表作として、『アフター・アワーズ』(マーシー役)、『グラン・ブルー』(ジョアンナ・ベイカー役)などがあります。

彼女たちは、タランティーノ作品ならではの、強さと脆さ、そして独特の魅力を兼ね備えた存在として、物語に彩りを加えています。

個人的にはファビアンの「Where is my honda?」というセリフがたまりません。
個性豊かな男性キャラクターたちと演じた名優たち
『パルプ・フィクション』の魅力を語る上で欠かせないのが、その強烈な個性を持つ男性キャラクターたちです。
- ジュールス・ウィンフィールド: 聖書の一節を引用しながら相手を威圧する、知的で哲学的なヒットマンです。彼の長い独白は、観客に強いインパクトを与え、物語の重要な転換点にもなっています。神の啓示を受けたことで、彼の人生観が大きく変化していく様子も描かれ、単なる暴力的なキャラクターにとどまらない深みを持っています。演じたのはサミュエル・L・ジャクソン。代表作として、『スター・ウォーズ』シリーズ(メイス・ウィンドゥ役)、『アベンジャーズ』シリーズ(ニック・フューリー役)、『ジャッキー・ブラウン』(オーデル・ロビー役)などが挙げられます。

- ヴィンセント・ベガ: クールに見えてどこか間が抜けているヒットマンです。彼とミアとの奇妙なデート、そしてその後の予期せぬ出来事は、この映画の最も記憶に残るシーンの一つです。ドラッグに溺れ、時に衝動的な行動をとる彼の人間臭さが、観客の共感を呼びます。演じたのはジョン・トラボルタ。代表作として、『サタデー・ナイト・フィーバー』(トニー・マネロ役)、『グリース』(ダニー・ズーコ役)、『フェイス/オフ』(ショーン・アーチャー役)などが挙げられます。

- マーセラス・ウォレス: LAの裏社会を牛耳る冷酷なボスです。その圧倒的な存在感は、登場するだけで画面の空気を変えてしまいます。彼の妻ミアとの関係や、ブッチとの因縁は、物語に大きな緊張感を与えます。演じたのはヴィング・レイムス。代表作として、『ミッション:インポッシブル』シリーズ(ルーサー・スティッケル役)、『ドーン・オブ・ザ・デッド』(ケネス役)などがあります。

- ブッチ・クーリッジ: ボクサーとしての誇りを持ちながら、マーセラスとの約束を破って逃亡を図る男です。前述の「金の時計」のエピソードや、彼が生き残るために日本刀を手に取るといった予測不能な行動は、彼が単なる逃亡犯ではない、独自の道徳観を持つ人物であることを示しています。演じたのはブルース・ウィリス。代表作として、『ダイ・ハード』シリーズ(ジョン・マクレーン役)、『シックス・センス』(マルコム・クロウ役)、『フィフス・エレメント』(コーベン・ダラス役)などが挙げられます。

- パンプキン(リンゴ): 恋人のハニー・バニー(ヨランダ)と共にダイナーで強盗を働く男です。冒頭と終盤のシーンで物語の枠組みを形成し、その衝動的でどこかコミカルな行動は、映画全体にユーモラスな要素を加えています。演じたのはティム・ロス。代表作として、『レザボア・ドッグス』(ミスター・オレンジ役)、『海の上のピアニスト』(1900役)、『ヘイトフル・エイト』(オズワルド・モブレー役)などが挙げられます。

これらの男性キャラクターは、それぞれが複雑な過去を持ち、独自の信念に基づいて行動しており、タランティーノが描く世界の多層性を象徴しています。
スーツケースの中身:マクガフィンとオマージュ
劇中で何度も登場するスーツケース。

ジュールスとヴィンセントが取り戻すこのスーツケースの中身は、最後まで明かされることはありません。これはまさに、アルフレッド・ヒッチコックが提唱した「マクガフィン」の典型例です。物語を動かすための重要なアイテムでありながら、その具体的な内容は観客にとってはどうでも良いもの、という概念です。

また、スーツケースの中身が光り輝いていることから、ロバート・アルドリッチ監督の映画『キッスで殺せ』へのオマージュであるとも言われています。『キッスで殺せ』に登場する謎の箱の中身が、同じように光り輝く描写があるためです。

『パルプ・フィクション』は、このように映画史上の様々な作品への深いリスペクトとオマージュに満ちています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『パルプ・フィクション』は、独特な会話、予測不能な展開、そしてタランティーノ特有のポップカルチャーへの愛が凝縮された作品です。
そのクレイジーな世界観は、何度観ても新たな発見があり、観る者を飽きさせません。
また、キャストの多様さも見逃せないポイント。
もし、あなたがまだ彼らに馴染みがなければ、この映画から、お気に入りの俳優を見つけ、彼らの他の作品もチェックするきっかけになれば嬉しいです。

本当に見どころが多くて、最初から最後まで楽しみやすい傑作だと改めて感じました。

あなたはどのシーンが好き?
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi
コメント