80年代の風が吹く! 『ロストボーイ』の魅力に迫る

ホラー映画

1987年、ホラー映画界に一陣の風が吹きました。

ジョン・ヒューズの青春映画のような爽やかさと、当時のロックカルチャーが融合したその作品は、従来の吸血鬼映画の常識を心地よく裏切る傑作でした。

その名も『ロストボーイ』。

bitotabi
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吸血鬼もの、コメディ、青春映画、そして家族のドラマという、一見バラバラな要素が奇跡的なバランスで調和した本作は、公開から30年以上が経った今も、多くの映画ファンを魅了し続けています。

ダニー
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見どころを解説していくよ!


斬新すぎる「吸血鬼」の定義

本作が他の吸血鬼映画と一線を画す最大の理由は、そのユニークな設定にあります。

1. 血を飲んだら吸血鬼になり始める

古典的な吸血鬼物語では、噛まれた瞬間に呪いが移り、吸血鬼に変貌してしまうのが定石でした。しかし、『ロストボーイ』では、マイケルがデヴィッドたちに血が混じった液体を飲まされたことが、吸血鬼になり始めるきっかけとなります。これにより、彼は「人間」と「吸血鬼」の間の存在となり、物語に奥行きが生まれます。彼は、次第に暗闇の世界に引きずり込まれていく自分自身と、人間でいようと必死にあがく自我の間で揺れ動き、観客は彼の苦悩に深く感情移入することになるのです。

2. 鏡に映らない

吸血鬼が鏡に映らないという設定は、ドラキュラから続く古典的なものですが、本作はこれを単なる恐怖の象徴としてではなく、コミカルなシーンのスパイスとして活用しています。初めて自分の姿が鏡に映らないことに気づいたマイケルが、自分の顔を触って確認したり、戸惑った表情を見せたりする描写は、観客に「ホラー」と「コメディ」の絶妙なバランスを体感させます。

3. 制御不能な能力が示す「葛藤」

マイケルが吸血鬼になりかけ、自分の意志とは関係なく宙に浮いてしまうシーンも非常に象徴的です。これは、彼が超自然的な力に支配されつつあることを示しています。このシーンは、吸血鬼が持つ抗いがたい力に翻弄される彼の苦悩を表現しています。力を制御できない描写は、彼がまだ人間としての自分と戦っている状態であることを示唆し、キャラクターの葛藤をより鮮明に描き出しています。



4. 犬が吸血鬼を嫌う

最もユニークで、そして妙に納得してしまうのがこの設定でしょう。作中で犬が吸血鬼に対して警戒心をむき出しにするシーンが何度か登場します。この設定に科学的な根拠は一切ありません。しかし、犬が本来持っている「番犬」としての本能や、鋭い嗅覚が、人ならざる存在を察知しているのだと思わせる説得力があります。犬が吸血鬼に吠えるシーンは、物語の緊張感を高めると同時に、コミックオタクの少年・エドガーが吸血鬼の存在に気づく重要なきっかけにもなっています。


80年代ロックカルチャーが炸裂する世界観

『ロストボーイ』を語る上で欠かせないのが、そのスタイリッシュでクールな80年代の雰囲気です。

ファッション:革ジャン、ボロボロに破れたジーンズ、派手なヘアスタイル。デヴィッド率いる吸血鬼グループのファッションは、当時のロックやパンクカルチャーそのものです。彼らは単なる怪物ではなく、反体制的な若者の象徴として描かれています。 音楽:映画のサウンドトラックは、当時のロックシーンを代表する名曲の宝庫です。オープニングで流れるINXSの「Good Times」をはじめ、Echo & the BunnymenによるThe Doorsのカバー曲「People Are Strange」は、映画のダークで幻想的な雰囲気を完璧に演出しています。ビーチでのライブシーンは、80年代のエネルギーと退廃的なムードを見事に表現しており、物語の舞台となるサンタカーラという街の魅力を際立たせています。

これらの要素が、映画全体をクールでパワフルな雰囲気に包み込み、ホラー映画でありながらも「かっこいい」と感じさせる独特の魅力を生み出しているのです。


名優たちの若き日の競演

本作は、後に大スターとなる名優たちの若き日の姿を堪能できるという点でも見どころが多いです。

キーファー・サザーランド(デヴィッド役):この作品で、彼のワイルドでカリスマ的な魅力が全開になっています。革ジャンを着こなし、冷酷ながらもどこか退廃的な美しさを持つデヴィッド役は、彼にとってまさにハマり役でした。後に『24 -TWENTY FOUR-』でジャック・バウアーを演じ、硬派なアクションスターとしての地位を確立する彼の、まだ荒削りですが圧倒的な存在感を見ることができます。

コリー・フェルドマン(エドガー役):『スタンド・バイ・ミー』で、子供らしい無邪気さと繊細さを演じきった彼が、本作では吸血鬼ハンターを目指すコミックオタクの少年、エドガーを演じています。バンダナを巻き、ランボーのような戦闘スタイルを真似るその姿は、ユーモラスでありながらも物語の重要な局面で活躍します。 そして何よりもファンが胸を熱くするのが、キーファー・サザーランドとコリー・フェルドマンが『スタンド・バイ・ミー』に続いて共演しているという事実です。対立する役柄でありながら、若き日の二人が再びスクリーンで火花を散らす姿は、ファンにとっては格別な贈り物と言えるでしょう。


ホラーの皮をかぶった「青春映画」と「家族の物語」

『ロストボーイ』は、吸血鬼という強烈なホラー要素を持つ一方で、その核にあるのは「青春の痛み」と「家族の絆」です。

物語は、離婚した母親と二人の兄弟、マイケルとサムが、新しい生活を始めるためにカリフォルニアの小さな街、サンタカーラに引っ越してくるところから始まります。兄のマイケルは、新しい街で居場所を見つけようと焦るあまり、不良グループである吸血鬼たちに誘われ、その世界に足を踏み入れてしまいます。これは、新しい環境に馴染もうとする若者の普遍的な葛藤そのものです。

一方、弟のサムは、兄が「おかしくなった」ことに気づき、友人たちと協力して兄を救おうとします。家族がバラバラになりかけた時、血のつながった兄弟が再び一つになるために戦う姿は、観客に感動を与えます。特に、母親が吸血鬼の正体を知った後、家族一丸となって戦うクライマックスは、単なるホラー映画にはない熱い感動を呼び起こすでしょう。


オタク知識が炸裂!フロッグ兄弟の武器

そして、この物語に欠かせないのが、自称吸血鬼ハンターのフロッグ兄弟、エドガーとアランの存在です。彼らは、コミック本で得た知識を駆使して、吸血鬼を倒すためのユニークな武器を作り出します。

  • 聖水(Holy Water)の活用:フロッグ兄弟は、教会から持ち出した水を聖水として吸血鬼退治に活用します。古典的な吸血鬼の弱点である聖水を、子供たちが水鉄砲や浴槽を使って振りまくというアイデアが、本作のユーモアと独自性を生み出しています。浴槽に聖水を注ぎ、吸血鬼の一人が溶けていくシーンは、古典的な設定と本作ならではの新しい解釈が融合した名シーンと言えるでしょう。

フロッグ兄弟は、兄・マイケルと弟・サムの物語と対比的に描かれており、「兄弟の絆」というテーマをより一層際立たせています。



家族を支える「クレイジーな」祖父の存在

一家が身を寄せる祖父も、この物語に欠かせない存在です。

一見すると無口で気難しい変わり者ですが、彼の存在が物語の伏線として機能しています。趣味は剥製作りで、常にテレビを見ているか、犬の散歩をしているか、という彼の姿は一見、単なる気難しい老人に見えます。

しかし、物語の終盤、激しい戦いの最中、ショットガンを手に吸血鬼を撃ち倒すという驚きの行動に出ます。それまでの彼の「クレイジーな」行動や発言が、実は吸血鬼の存在を知っていたがゆえの、家族を守るためのものだったと判明するのです。

そして、戦いが終わった後、彼はゆっくりとビールを飲みながら、こう言います。

「サンタカーラに住んでいて、どうしても我慢ならなかったことが一つだけある。それは、この街にいるクソったれの吸血鬼どもだ」

この一言で、彼のキャラクター像は一変します。最高のサプライズが、映画にさらなる深みとユーモアを与えています。

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知っとったんかい!


まとめ:時代を超えて愛される理由

『ロストボーイ』は、斬新なアイデアと80年代のロックカルチャー、そして若き名優たちの輝きが奇跡的に融合した、唯一無二の作品です。

古典的な吸血鬼の定石を覆し、ホラーに青春やコメディ、家族のドラマといった複数のジャンルを巧みに織り交ぜたことで、本作はホラーファンだけでなく、幅広い層から支持を得ることに成功しました。公開から数十年が経過した今も、そのスタイリッシュな世界観と魅力的なキャラクターたちは、新たなファンを生み出し続けています。

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もし、あなたが「ちょっと怖くて、でも笑えて、最後には胸が熱くなる映画」を探しているなら、ぜひ一度、この『ロストボーイ』をご覧になってみてはいかがでしょうか。

ダニー
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きっと、この魅力的な世界観の虜になるよ!

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