もうわしらの時代は終いで…
映画『仁義なき戦い 頂上作戦』をNetflixで鑑賞しました。
本作も、初めての鑑賞。
前作『代理戦争』から続く、血で血を洗う無益な裏切りと絶望の抗争が渦を巻き更に加速する、なかなかずしりと重い作品です。

今回の記事では、『仁義なき戦い 代理戦争』の作品概要や解説、出てくる用語などをお伝えしていきます。

まずは作品概要からお伝えします!
作品概要
『仁義なき戦い 頂上作戦』は、1974年1月15日に公開された日本映画です。監督は深作欣二、脚本は笠原和夫です。
あらすじ
1963年、東京オリンピックを翌年に控えた高度経済成長期の日本。広島の暴力団抗争は、広能組・打本会の連合と山守組との対立が激化し、神戸を拠点とする明石組と神和会の代理戦争の様相を呈していました。
広能と打本は広島の義西会・岡島友次に応援を要請し、明石組・岩井信一の説得もありこれを承諾。しかし、広能組組員・河西清が山守組系列槇原組組員に襲撃され死亡し、打本会組員も数名が惨殺される事件が発生。市民社会・マスコミによる暴力団への糾弾が激化し、警察も各暴力団を徹底監視する方向性を打ち出しました。
広能は河西の報復を急ぐ一方、打本は腰を上げようとしません。業を煮やした岩井は広島に応援組員を送り込み、山守組への反撃を画策。しかし、山守は警察へ密告し、広能は別件容疑で逮捕され、岩井ら明石組は広島を引き上げざるを得なくなりました。
残された広能組組員は次々と逮捕され、広能・打本連合の劣勢は挽回できない状況に。義西会・岡島は広島の川田組を買収し、山守組への対決姿勢を鮮明にするも、山守により岡島は射殺され、義西会組員らは山守組の事務所を爆破する事件を引き起こします。
打本会組員らも市街戦を展開し、市民社会を恐怖に陥れました。警察は事態を重く見て組長クラスの一斉検挙「頂上作戦」に踏み切り、山守、打本らが逮捕されます。
山守の逮捕を知った明石組・岩井は広島へ乗り込み、義西会残党をまとめて陣営の立て直しを画策。一方の武田は広島各地の暴力団を糾合し、明石組と敵対する腹を据えます。武田は神戸へ組員を派遣し、明石組組長・明石辰男邸を爆破。これに端を発し、各地で激しい銃撃戦が展開されます。
岩井は拘置所の広能を訪れ、明石組と神和会が手打ちとなったこと、義西会が自然消滅の状態にあることを伝えます。打本も打本会の解散を表明し、岩井は広島から手を引かざるを得なくなりました。1964年1月、広能に7年4カ月の判決が下り、広能は同じく長い懲役刑を受けた武田と再会し、自分たちの時代が終わったことを痛感します。
キャスト
菅原文太(広能昌三役)
小林旭(武田明役)
金子信雄(山守義雄役)
田中邦衛(槇原政吉役)
山城新伍(江田省一役)
梅宮辰夫(岩井信一役)
室田日出男(早川英雄役)
夏八木勲(仲本博役)
小池朝雄(岡島友次役)
松方弘樹(藤田正一役)
五十嵐義弘(水上登)
黒沢年男(竹本繁)
解説
本作はこれまでのヤクザの抗争に加えて、一般市民、そして警察もこの争いに介入してくる展開となってます。
ある衝突の際、組員の一人が一般市民を殺してしまったことで、報道が動き出し、結果警察の手が厳しくなるというストーリーなんですね。
そして、「頂上作戦」と称して、組のトップを逮捕するというラストに繋がっていくんです。
この『頂上作戦』は、これまでのシリーズの中でも特に撃たれたり刺されたりするシーンが多いんです。
そしてその際のうめき声や悲鳴が本当にリアルなんですよね。ヤクザの争いの痛み、切なさ、苦しみなどがよく伝わってきます。
『仁義なき戦いシリーズ』のリアリズムやドキュメンタリータッチ極まれりといった感じ。
特に、岡島が撃たれるシーンや、咳き込む松方弘樹の演技は凄まじいものがあります。

本作で深作欣二が伝えたかったこと
本作は『代理戦争』から続く無益な争いと裏切りの連続。多くの若者や下っ端のヤクザ、一般市民までも犠牲になります。その数なんと死者17名、負傷者26名、逮捕者約1500名。何ら実りのない幕引きを迎えたのです。
そしてラストでは、敵同士だった菅原文太演じる広能と、小林旭演じる武田が、それぞれの刑期を話しシーンで幕を降ろします。
「一体この無益な戦いは何だったんだ」そんなムードに包まれるんですね。

その時の会話で、この2名に比べて、他のものの刑期は短いことが分かるんです。
とことん卑怯で情けない幹部の槇原もそうですし、一番の悪人である山守組長なんて、すぐ出てこられる程度なんですよね。というのは、山守は実業家としても大物なので、社会的な権力があまりにも強いからなんです。
また、山守は本作の中で「俺は人を殺したことがない」と言うんです。

自分は手を汚さず、危険なこともせず。金と権力を思うように得たと。
本当に悪い奴は罪に怯えることもなく、ぬくぬくと暮らしているんです。
これが正に、深作欣二の怒りなんですね。
第二次世界大戦が終わった1945年。15歳だった深作少年は、勤労動員先の工場が攻撃を受け、同僚の死体を瓦礫の山から拾い集めたという経験を持ちます。
そして『仁義なき戦い』の冒頭に映るような敗戦後の広島。軍国主義から民主主義へ激変していく世の中の価値観に戸惑い、闇市で出会った外国映画。そこに魅了され、想いを伝えるのはこれだと見出して映画監督へと成りました。
戦争の苦しみを知っているからこそ、怒りや悲しみ、そして本当の悪とはどのような存在で、どのように暮らしているのか。これが悔しくて憤って仕方がない!
そういったパワーを怒りを込めて作ったのが、この『仁義なき戦いシリーズ』なのであります。
用語解説
シケバリが解ける:賭場に捜査官や敵対者が来ないかを見張る役がいなくなる
クンロクいれる:相手に強く言って言い含めること
ジキリ:ヤクザの世界で組織のために身体を掛けることを
ヒンガモ:カモにすること
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『仁義なき戦い 頂上作戦』について解説しました。

リアリティあふれる演出に痺れる作品だね!

深作欣二監督の怒りにも近いメッセージも痛烈です。
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