『異端者の家』宗教とは何かに迫る問題作

ホラー映画

「世界中に存在する1万の宗教は全て人工的で資本主義的なものだ」──そう断言するのはあまりにも挑発的でしょうか。しかし、もし信仰の深淵に潜む狂気と、宗教の根源を問う異色作『異端者の家』を目の当たりにするならば、この言葉が単なる暴論ではないことに気づかされるかもしれません。

A24が配給する本作は、モルモン教の布教師たちが足を踏み入れた一軒の家を舞台に、信仰の純粋さと、それが変質した時の恐ろしさを描き出します。

bitotabi
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今回の記事では、『異端者の家』を観た後により楽しむための解説記事です。2ページ目からはネタバレありになりますのでご注意ください。

ダニー
ダニー

ヒュー・グラントの新境地、モルモン教ってどんな宗教か、宗教と○○の関係について解説していくよ。

作品概要

監督・脚本: スコット・ベック、ブライアン・ウッズ

出演: ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト、ヒュー・グラント

あらすじ: アメリカを舞台に、モルモン教の若い2人の布教師が布教活動中に一軒の家を訪れます。そこで出会った住人との交流は、次第に不穏な様相を呈し、布教師たちは想像もしていなかった恐怖に巻き込まれていく…

A24配給: 本作が、高品質で独創的な作品を数多く手掛ける映画スタジオ「A24」の配給である点は注目に値します。A24が配給する作品は、既存のジャンルにとらわれない、挑戦的なテーマや斬新な映像表現を持つものが多く、『異端者の家』もその系譜に連なることが期待されます。

監督・脚本について

スコット・ベックとブライアン・ウッズは、ホラーやスリラー作品で知られる脚本家コンビです。彼らが監督を務めた『クワイエット・プレイス』シリーズの最新作『クワイエット・プレイス DAY 1』は、単なるホラーに留まらず、極限状態における生きることの意味、人間の美しさや尊厳を描き出し、観る者の心を深く揺さぶりました。その手腕からも、『異端者の家』もまた単なるホラー・スリラーではなく、宗教とは何か、宗教に寄り添って生きるというのはどういうことかといった、深いテーマを提示してくれるのではないかと期待されます。彼らのサスペンス演出が、本作のテーマをどのように際立たせるのか、注目が集まります。

出演者について:

  • ソフィー・サッチャー: ホラー映画『ブギーマン』(2023年)で主演を務められ、その演技力が評価された若手女優です。本作では、どのような役割を担い、恐怖に直面する姿を見せてくれるのか期待されます。
  • クロエ・イースト: スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品『フェイブルマンズ』(2022年)に出演され、注目を集めました。本作では、どのようなキャラクターを演じるのか、その存在感が楽しみです。

 



ヒュー・グラントの新たな境地に注目!

かつてヒュー・グラントは、『フォー・ウェディング』(1994年)、『ノッティングヒルの恋人』(1999年)、そして特に多くの人に愛された『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)とその続編でも主演を務められ、その甘いルックスとコミカルな演技で世界中の観客を魅了しました。二枚目俳優としての確固たる地位を築き、爽やかでどこか頼りないけれど憎めないキャラクターは彼の代名詞とも言えるでしょう。

しかし近年、グラントは自身のキャリアにおいて新たな挑戦を見せています。『パディントン2』(2017年)では、往年のミュージカルスターというアクの強い悪役を演じられ、その変貌ぶりに驚かされました。そして本作『異端者の家』では、謎に満ちた家の主人という、これまでのイメージとはかけ離れた陰のある役どころに挑んでいらっしゃいます。彼の甘い笑顔は本作でも健在なのですが、それが何とも不気味に映るのが面白いところです。

さらに、彼の代表作の一つである『ブリジット・ジョーンズの日記』の新作続編が間もなく公開されることもあり、再び彼のロマンティックな魅力に触れる機会が近づいています。そんな中で、本作における彼の全く異なる挑戦的な役どころは、新旧のファン双方にとって大きな注目点となるでしょう。かつてのラブコメヒーローが、本作でどのような不気味さや深みを表現するのか。彼の新たな一面に注目が集まります。



斬新な設定

モルモン教の布教のための訪問という設定は、確かにこれまであまり描かれてこなかった斬新な切り口と言えるでしょう。

訪問者が痛い目に遭うというパターンは、古典的な『サイコ』から近年の『ゲット・アウト』まで存在しましたが、宗教の布教、勧誘する側が物語の中心となり、予期せぬ恐怖に巻き込まれていくという展開は、新鮮な驚きをもたらす可能性があります。信仰心を持って家々を訪れる布教師たちが、どのような異質な体験をするのか、そのコントラストが物語の鍵となりそうです。

モルモン教について

モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)は、19世紀にアメリカでジョセフ・スミス・ジュニアによって創始された宗教です。聖書に加え、「モルモン書」を聖典としており、独自の教義や慣習を持っています。信仰心の篤い信者が多く、熱心な布教活動を行うことで知られています。食の規律として、一般的に禁酒、禁煙、コーヒーや紅茶の禁止などがあり、特定のデザインの下着(ガーメント)を着用する習慣を持つ信者もいらっしゃいます。本作では、そうした背景を持つ布教師たちが、どのような状況に置かれるのかが描かれると考えられます。

bitotabi
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ここまでは予習記事!まだ映画を楽しんでいない人は、鑑賞後に次ページをお読みください。

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