これほど、俯瞰して人間を視ることができる映画はない
映画「EO」を鑑賞しました。
監督は、ポーランドが誇る名匠、イエジー・スコリモフスキ。
第75回カンヌ国際映画祭にて、作曲賞と審査員賞を受賞していますので、今年見逃せない作品のひとつといっても過言ではないでしょう。
なんと今作、主人公はロバなのです!
そして、ポスタービジュアルは、真っ赤な中にロバの顔面のみという、強烈なインパクト!
![](https://assets.st-note.com/img/1684065030443-v0doQLfcCb.jpg)
ホラーなのか?ドラマなのか?ドキュメンタリーなのか?
かなり気になる作品ですよね。
鑑賞してみた結果、かなり心をえぐられました…。
動物や人間に対する考え方が大きく変わりますよ。
今回の記事では、不思議な映画「EO」について解説していきます!
作品概要
戦後のヨーロッパ映画界で最も評価の高い映画監督の一人であるイエジー・スコリモフスキ。本作は第75回カンヌ国際映画祭では審査員賞・作曲賞2部門を受賞、全米映画批評家協会賞では外国語映画賞/撮影賞の2部門を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを果たした。
映画公式サイトより引用
スコリモフスキ監督の7年ぶりの新作としてポーランドとイタリアで撮影されたこの映画の主人公は“ EO(イーオー)”という名前のロバ。監督自身が「私が唯一、涙を流した映画」と語る、ロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』にインスパイアされた本作。ミハウ・ディメクによる臨場感あふれる見事なカメラワークと、世界の映画賞を席巻中のパヴェウ・ミキェティンによる印象的な音楽に連れ出され、我々観客はEOの旅を見守りつつも、ある時はEOの目線で予期せぬ荒波を潜り抜けることになる。
人間のおかしさと愚かさを、全くの別視点から体感するような無比の映像体験には、“鮮烈”“近年の映画には希少な大胆さ”と、その革新性とオリジナリティに多くの称賛が寄せられている。
サーカス団のパートナー、カサンドラの元を離れ、ポーランドのサッカーチーム、どこか影のあるイタリア人司祭ヴィトー、そして伯爵夫人らと出会うEO。彼の目から見える世界、そしてそこから我々に投げかけるものとは―。
STORY
愁いを帯びた瞳とあふれる好奇心を持つ灰色のロバ、EO。
映画公式サイトより引用
心優しきパフォーマー、カサンドラのパートナーとしてサーカス団で生活していたが、ある日サーカス団から連れ出されてしまう。
予期せぬ放浪の旅のさなか、善人にも悪人にも出会い、運を災いに、絶望を思わぬ幸福に変えてしまう運命の歯車に耐えている。
しかし、一瞬たりとも無邪気さを失うことはない。
![ダニー](https://www.three-minutes-philosophy.com/wp-content/uploads/2022/11/danny.png)
それではここから、映画の見どころや解説にいってみましょう!
どんなジャンルの映画?
結論から申し上げますと、「EO」はドラマ作品です。
サスペンスの要素はありません。(監督のセンスが光りすぎて、若干、ホラーめいた演出もありますが)
「EO」はロバのEOが、動物愛護法により、サーカスから連れ出されるところからはじまります。
EOは、その後一つの場所にとどまることはなく、たくさんの場所を旅することになります。
人間の愚かさを見せつける!
今作で私が一番強烈に感じたのは、人間の愚かさです。
「EO」に対する著名人のコメントの一つにこんなものがありました。
ロバは昔から「愚か者」の象徴として
太郎丸 ロバ旅行家
物語に登場してきた。 この映画は、むしろ人間の身勝手で利己的な振る舞いを
繊細で賢いロバの目を通じて描く。
印象的なのは、ロバの漆黒の瞳に浮かぶ表情。 ロバの眼差しは、人間の言葉よりもはるかに雄弁だ。
確かにロバって、愚か者や間抜けな象徴として扱われることが多いです。
でも、その瞳にはどこか憂いを感じます。
今作は賢くて素直なロバ、EOが様々な人間と出会います。
そして、彼の目線から、優しさや、愚かさ、凶暴さを目の当たりにします。
これほどまでに、俯瞰して人間を観ることができる映画はありません。
また、動物を愛することとは何なのかを問われる側面もございます。
ロバは喋るのか?
ところで、私は今作を観る前にとても気になったポイントが、EOは喋るのかどうかという点です。
それによって、結構映画の内容が大きく変わってきそうですよね。
喋るなら、ややコミカルでファンタジックな内容になりそう。
喋らないなら、ドキュメンタリー調の真剣みの強い作品になりそう。
結果、「EO」は後者でした。
とってもカンヌみの強い映画です。
EO可愛い!
これも期待していたポイントですが、EOめっちゃ可愛いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1684065908223-BD2vDVeiwC.jpg)
賢くって、どこまでも無邪気。
可愛すぎました。
それ故に、深いドラマに化けるんですよね…。
赤の使い方がインパクト大
今作はポスターだけでなく、劇中も何度か真っ赤なシーンが出てきます。
冒頭から真っ赤でしたね。
不安や危険、高揚を感じるシーンで、赤い色が使われていたような印象を受けました。
音楽も絶品
カンヌ作曲賞を受賞しただけあって、音楽が大変すばらしいです。
恐らく、すべて映画音楽(今作のためだけに作られた曲)なのではないかと思われます。
クラシック調の音楽もいいのですが、アンビエント調の音楽がとても心に残りました。
もう、それだけで泣けてしまうほど、美しかったです。
ロバ肉のサラミがある?
今作で得た知識のひとつです。
ロバの肉はサラミに使われるんですって。
ポーランドだけでなく、フランスでも食べられるのだとか。
ちなみに日本では豚や牛です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
![ダニー](https://www.three-minutes-philosophy.com/wp-content/uploads/2022/11/danny.png)
映画「EO」の見どころを解説しました!
![管理人](https://www.three-minutes-philosophy.com/wp-content/uploads/2022/11/SP-Studio-4.png)
カンヌ映画祭受賞作品は、流石です。
映画好きなら、ぜひ押さえておきたい1本です!
私は今作で、好きな動物1位がクジラからロバに変わりました。
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