「アウシュヴィッツのチャンピオン」を鑑賞しました。
またもや自分の無知を思い知らされる映画でした…。
自分の力を信じ、命をかけ、
ナチスが無敵ではないという希望を囚人に与えた男の物語です。
9月いっぱいで閉館となるテアトル梅田での鑑賞でした。
また一つ、学びある映画に出会わせていただき、感謝です。
歴史的背景を知っていれば、より深まる作品です。
ポーランドとドイツの歴史と合わせて、解説させていただきます。
はじめに
ホロコーストを生き延びたボクサー、タデウシュ・“テディ”・ピトロシュコスキの知られざる実話をもとに描いたポーランド発のヒューマンドラマ。第2次世界大戦中の1940年。戦前のワルシャワで“テディ”の愛称で親しまれたボクシング・チャンピオンのタデウシュ・ピトロシュコスキは、アウシュビッツ強制収容所に移送される。彼には「77番」という名が与えられ、左腕には囚人番号の入れ墨が刻まれる。十分な寝床や食事も与えられず、過酷な労働を強いられる日々。そんなある日、テディは司令官や看守たちの娯楽としてリングに立たされることになり……。
https://eiga.com/movie/97079/
ナチスドイツがヨーロッパを征服しようと目論む、第2次世界大戦中の物語です。
実在したボクサー「テディ」の奮闘を通して、地獄のような収容所の実態、血塗られた歴史を学ぶことができました。
ナチスドイツとポーランド
映画をより理解し、学びを深めるために、「ナチスを扱った作品の傾向」と「ポーランド侵攻」についてご説明させていただきます。
「ナチスを扱った作品の傾向」
ナチスドイツをテーマにした作品は多くありますが、そのほとんどがユダヤ人への迫害や殺戮の歴史を描いたものです。
前回紹介した手塚治虫の漫画作品「アドルフに告ぐ」もそうでしたね。
映画の有名どころでいうと、「シンドラーのリスト」や「ライフイズビューティフル」「ジョジョラビット」あたりもそうです。
しかし、「アウシュヴィッツのチャンピオン」は違います。
ユダヤ人はでてきません。
ナチスドイツから、迫害を受けるのは「ポーランド人」です。
「ポーランド侵攻」
ここで、歴史的にかなり重要でありながら、あまり知られていないポーランド侵攻について調べたことをお伝えさせていただきます。
私が無知なだけかもしれませんが、もし私と同じように、あまりご存じない方がいらっしゃれば一緒に学んでいただけると幸いです。
ポーランドは80年前の1939年9月1日、ナチス・ドイツに侵攻され、その2日後にフランスとイギリスがドイツに宣戦布告して第2次世界大戦が始まりました。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/22035.html
ドイツは、独ソ不可侵条約をソ連と結んだことで、ポーランドを侵攻し始めます。
ここで、映画のタイトルにもなっている「アウシュヴィッツ」の収容所について説明します。
アウシュビッツはドイツ人が設置した最大規模の強制収容所でした。アウシュビッツは、火葬場、絶滅収容所、および強制労働収容所がある強制収容所の集合体でした。ポーランドのクラクフ近郊にありました。アウシュビッツ強制収容所は、アウシュビッツ第1強制収容所、アウシュビッツ第2強制収容所(ビルケナウ)、およびアウシュビッツ第3強制収容所(モノヴィッツ)の3つの大規模な強制収容所で構成されていました。収容されていたユダヤ人の10人中9人、100万人を超える人々がアウシュビッツで命を失いました。4つの巨大なガス室は、それぞれ同時に2,000人が入れました。
https://encyclopedia.ushmm.org/content/ja/article/auschwitz-1
収容所の入り口に掲げられている看板には「ARBEIT MACHT FREI」と書かれていました。これは「働けば自由になる」という意味です。実際は、その全く逆でした。労働は、ナチスが「労働による絶滅」と呼ぶ大量虐殺の形になりました。
「ARBEIT MACHT FREI」の看板は映画でも何度か登場しました。
今の時代に、日本で生きる私ですら、悲しさと悔しさがこみ上げるシーンでした。
映画や紹介したサイトでは更に詳しく学ぶことができますので、ぜひご覧ください。
とても残酷な歴史です。
生きるために闘う
最も有名なボクシング映画「ROCKY」の名言にこんなものがあります。
「You had the talent to become a good fighter, but instead of that, you become a legbreaker to some cheap, second rate loanshark!」
「なぜ才能があるのにゴロツキみたいな真似をするんだ」
「It’s a living.」
「生きるためさ」
「It’s a waste of life!」
「人生の無駄遣いだ!」
この後、ROCKYは本物のボクサーとして、栄光へ向かって歩みだします。
そして今作「アウシュヴィッツのチャンピオン」で観られたセリフが…
「生きるために闘え」
です。
「ROCKY」では底辺の生活から抜け出すための闘いでしたが、
「アウシュヴィッツのチャンピオン」ではその日、殺されないために闘うのです。
こんなに悲しいボクシングがあるでしょうか。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「アウシュヴィッツのチャンピオン」をより理解するために、ポーランド侵攻の歴史を少し解説しました。名作「ROCKY」とのセリフの比較も。
悲しいだけでなく、熱い男心も味わえますので、ぜひご覧ください。
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