このブログでホラー作品、特に日本やアジアのホラーを語る際によく言及していることなんですが、私は「恐怖」の大きさというのはその「知名度」に比例すると思っています。
「トイレの花子さん」を例にしてみましょう。「トイレの花子さん」といえば、女子トイレの3番目で儀式的に呼びかけると登場するとされている話ですね。
このお話、なんと1950年代に「三番目の花子さん」という話で広がっていったそうで、70年代や80年代のオカルトブームでさらに再燃、そして今なお「学校の怪談」として広く伝わっているのです。正に横綱級の都市伝説と言えるでしょう。

私は主に90年代、00年代に少年期を過ごしましたが、「トイレの花子さん」は超メジャーな怪談でしたし、幼い頃はトイレを3回ノックしてワーッと逃げるみたいなことも実際やった思いがあります。
こんな風に、時を越えても語り継がれ、知られる「トイレの花子さん」は、実体のないものにおいて知名度はもちろん、畏怖の度合いも大変大きいはずです。「トイレの花子さん」を楽しいものとして認識している人はほとんどいないですしね。つまり、日本人にとっては、ジェイソンよりもチャッキーよりも遥かに力のある恐怖の象徴であると言えます。
そしてその大きくて広すぎる恐怖の力は、時に社会的な混乱も生みます。
「怖くて学校のトイレに行けない」「夜トイレに一人で行くのは不安だ」「花子という名前のせいで嫌な目にあった」などなど、実生活に影響を及ぼす可能性があるわけです。
「口裂け女」もそうですし、「貞子」なんかも、一時の事とはいえ社会現象となるほど畏怖される存在として成長してしまいましたよね。
つまり、実体のない存在であるにも関わらず、知っている人、信じる人が多ければ多いほどその力は巨大で影響力も大きくなる。仕組みとしては宗教と似ているんじゃないかなと思う訳です。
さて、話を本筋に戻しましょう。
そんな「恐怖の象徴」の代替わりが、これから先起こっていくのではないかなというのが、今回の考察です。
皆さん、「砂かけ婆」って恐いですか?「一反木綿」や「小豆洗い」はどうでしょう?
若い人の中には、そもそも「なんですかそれ?」って人もいらっしゃるのではないでしょうか。
これらはいわゆる「妖怪」の類ですね。

私としては、花子さんや口裂け女のような「都市伝説」は何となく怪異としてまだルーキーな感じがしていて、妖怪の方がもう少し土着信仰とか土地の神よりの上位な存在というか、格上だと思っていたんです。
しかし、時が流れ、都市伝説の起こり自体がもう一昔前となった今では、「都市伝説」の方が知名度が高い。
『ダンダダン』なんか正にそれを体現しているような気がします。ターボババアがアクロバティックさらさらを格下に見ている感じとか、邪視は妖怪寄りの存在ですが、ターボババアの力でも抑えられるような。ちなみに最近の話ではめちゃくちゃ強キャラとして「花子さん」が登場しましたね。

少しずつ妖怪は、知名度と共に、恐さも薄れていくんだろうなと思っているんですね。もう一度オカルトブームとか、劇的なヒット映画とかでも生まれない限り。
あるいは、なんとなーく妖怪と都市伝説の垣根がなくなって、「花子さん」や「口裂け女」が、「河童」や「天狗」と同位の存在として広がっていくのか。
妖怪だってきっと、昔の人々が何か人智を越えた不思議な現象を体験したり感じたりした中で、噂として広まった側面が大きいはずです。しかも、テレビもラジオもない時代から。だんだん薄まっていくというのはなんだか切ないものがあります。そういう思いを持っているからこそ、「河童」や「天狗」、「狸」なんかを用いた町おこしがあるのかもしれませんね。
発達しすぎたテクノロジーや大きく変わっていく慣習により、古い妖怪の恐怖や浪漫に対して共感できなくなるのが先か、あるいはそういったものを凌駕した日本人の根源的な恐怖心に訴えかけることで永遠に語り継がれるのか。
令和に生まれ育った若者たちが一体どのような怪異を恐れながら惹かれていくのか。浪漫と老舗の妖怪か。あるいは現実的な手触りの残る都市伝説か。10年後、20年後の、怪異のパワーバランスが非常に気になるところであります。
最後までお読みいただきありがとうございます。

私は、妖怪も都市伝説も宇宙人も語られる、今の混沌したオカルトが割と好きです。澤村伊智の「ぼぎわんが、来る」や背筋の「近畿地方のある場所について」のように、日本古来の妖怪や都市伝説、西洋の怪異まで巻き込む話がなんだかんだで一番好きなので、怪異を消失させるのではなく積み上げて練り上げる。このスタンスがいいなと思います。怪異には発生理由が何かしらあることが多いので、奇跡的にこれらが繋がることもあるのではないかと信じている部分もありますね。
こういったホラーオカルト系の考察も当ブログでいくつか取り上げていますので、興味のある方はぜひご一読ください。
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