二度と撮られないであろう奇跡ーー『落下の王国』が今、再び劇場で観られる幸せ

ファンタジー映画

映画ファンが長年待ち望んでいた「事件」が起きました。

映像の魔術師ターセム・シン監督の傑作『落下の王国』が、製作から約20年の時を経て、4Kリマスター版として劇場リバイバル上映されることになったのです。

公開当時、そのあまりにも過酷なロケと圧倒的なクオリティから「二度とこのような映画は作れない」とまで言われた本作。デジタル技術が成熟した今だからこそ、CGを使わずに本物のロケーションだけで構築されたこの映像美を、劇場の大きなスクリーンで体験することには大きな意味があります。

ダニー
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今回は、今まさに注目を集めている本作の魅力を3つの軸で解説していくよ。

bitotabi
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私の感想も記していますので、最後までお読みいただけると幸いです。

1. 実在する世界の絶景が生み出す圧倒的映像美

本作の最大の魅力は、なんといってもその映像美にあります。驚くべきことに、劇中に登場する幻想的な風景はすべて実在するロケーションで撮影されており、CGは使用されていません。特に物語の重要な舞台として印象に残るのが、以下のスポットです。

  • インド・ジョードプル(ブルーシティ) 「青の街」として知られるこの場所は、物語の幻想的な雰囲気を象徴しています。家々の壁が一面鮮やかな青に染まった光景は、まさに作り話の世界にふさわしい色彩を放っています。
  • インド・チャンド・バオリ 複雑な幾何学模様を描く巨大な階段井戸です。5人の勇者たちが冒険を繰り広げるシーンで登場し、その圧倒的な造形美は観る者を異世界へと誘います。
  • ナミビア・ナミブ砂漠 真っ赤な砂丘と青い空のコントラストが美しいデッドフレイなどが登場します。

こうした世界各地の遺産や絶景を「作り話」のパーツとして組み合わせることで、どの国とも限定できない無国籍で壮大な世界観が構築されています。

bitotabi
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圧巻ですね。旅をしたくなります。

2. 絶望の淵で育まれる、孤独な男と純粋な少女の絆

物語の軸となるのは、下半身不随となり自暴自棄に陥ったスタントマンのロイと、腕を骨折して入院している少女アレクサンドリアの交流です。

死を望むロイは、自殺用の薬を手に入れるために、アレクサンドリアに魅力的な「作り話」を聞かせ始めます。最初は打算的だったロイの物語ですが、アレクサンドリアの純粋な反応や彼女の想像力によって、次第に物語は二人だけの特別な共有物へと変化していきます。次第に現実と空想が溶け合い、二人の間に芽生える奇妙な友情。絶望の中にいた男が、少女の無垢な存在によって救われていく過程は、観る者の心を強く揺さぶります。



3. 映画の原点へ。ラストシーンに込められたスタントマンへの賛歌

本作の結末、映画館で上映されるスタントシーンを二人が見つめるラストシーンは、映画史に残る感動的な場面です。

白黒映画の時代、危険なアクションに身を投じてきたスタントマンたちの姿が次々と映し出されます。それは、本作の主人公ロイのアイデンティティを肯定すると同時に、ターセム監督からの「映画という魔法」を作り上げてきた無名の人々への深い敬意と愛が感じられる演出です。どれほど華やかなスターが脚光を浴びようとも、その裏には命懸けで「映画の輝き」を支える人々がいる。このラストシーンによって、本作は映画そのものに対する壮大なラブレターへと昇華されています。


感想:完璧主義の映像美と、少女の純粋な想像力が生む魔法

本作は、圧倒的な映像美を眺めているだけでも十分に価値のある、極上の映画体験です。約20年の時を経て4Kリマスター版がリバイバル上映されるに至った理由は、このスクリーンから溢れ出す確かな情熱に他ならないと確信しました。

現代においてもクリストファー・ノーランやポール・トーマス・アンダーソンといった、映像美に定評のある監督は存在しますが、ターセム・シン監督が本作で見せた徹底的なシンメトリーへの拘りや、ロケーションそのものへの執念はまさに圧巻です。その妥協のない画作りは、巨匠スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』や『バリー・リンドン』の美学を彷彿とさせ、一瞬たりとも目が離せません。

また、あの圧倒的なロケーションへの情熱からは、『アラビアのロレンス』や『地獄の黙示録』、あるいは『恐怖の報酬』といった、映画史に刻まれる伝説的な作品群と同じ匂いを感じます。CG技術が飛躍的に向上した2000年代という時代にあって、あえてあのような途方もない規模感のロケを敢行し、実写で撮り切ったというのは、冷静に考えても驚くべき功績です。

ストーリーテリングの構造も非常に秀逸です。少女に物語を語りかけるというなんとも可愛らしいプロットは、ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』と同じような、現実と空想が交錯する入れ子構造になっています。それでいて、描かれる内容はファンタジーの枠に収まりきらない、個性的でエネルギッシュな冒険譚となっており、キャラクター一人ひとりの立ち姿も際立っています。

特に私が唸らされたのは、少女アレクサンドリアの想像力に関する描写です。私たちが小説を読む際、頭の中で既存の俳優を配役しながら読み進めることがありますが、本作の少女の場合はそれが「自分の周りの人々」でした。まだ幼く、かつエンタメの黎明期という時代背景を考えれば、世界を救う勇者たちの顔に、病院で働く人々や農園の知人を当てはめるのは極めて自然で、愛おしい描写です。有名なスターではなく、あくまで自分の生活圏内にいる人々を英雄として配置する。この少女の視点を軸にした無理のない設定が、物語に温かい血を通わせ、作品全体をより素晴らしいものに昇華させているのだと感じました。


今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『落下の王国』は、快楽的な視覚的なエンターテインメントに留まりません。それは、絶望の淵に立たされた人間が、他者の純粋な想像力に触れることで再び生への希望を見出す、再生の物語でもあります。

4Kリマスターによって色彩の深みがさらに増した今、この「二度と撮られないであろう奇跡」を劇場の大きなスクリーンで体験できる機会は、まさに映画ファン必見。

かつてこの世界観に魅了された方も、これから初めて足を踏み入れる方も、ぜひスクリーンの前でアレクサンドリアと共に、あの眩い物語の一部になってみてください。

bitotabi
bitotabi

そこには、時代を超えて色褪せることのない、純粋な「映画愛」が満ち溢れているはずです。

ダニー
ダニー

近くで上映されてない人も、なるべく大きな画面で観てほしいな!

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