8月に満を持して劇場公開が決まった「呪怨」Vシネマ版。
「呪怨」シリーズの恐怖は、決して一本道ではありません。特にVシネマ版と劇場版を行き来すると、その複雑な時間の流れに戸惑う方もいるでしょう。ここでは、Vシネマ版「呪怨」と「呪怨2」の内部時系列、そして劇場版がその中にどのように位置づけられるのかを整理し、より深く「呪怨」の世界を理解するための一助とします。
Vシネマ版「呪怨」&「呪怨2」:章立てで連鎖する呪いの記録
まず、Vシネマ版の「呪怨」と「呪怨2」は、それぞれが独立した短編のようなエピソードが複数集まって構成されています。これらは、基本的に章ごとに異なる登場人物の視点から、佐伯家の呪いがどのように広がり、人々を襲っていくかが描かれます。
- Vシネマ版「呪怨」の内部時系列: 映画冒頭で佐伯家の悲劇(伽椰子と俊雄、剛雄の死)が提示された後、まさにその通り、「俊雄」の章から恐怖が幕を開けます。続いて、「由紀」→「柑菜」→「瑞穂」→「伽椰子」→「響子」といったチャプターが連続し、響子で本編は終了しエンドロールへと繋がります。各チャプターは、佐伯家に関わった人物や、呪いに巻き込まれていく過程を断片的に描きます。厳密な時系列順には並んでいませんが、呪いが時間と共に広がり、より多くの人間を巻き込んでいく様子が、このオムニバス形式で表現されています。例えば、「俊雄」のチャプターで描かれるある出来事が、他の章で別の角度から描かれ、全体像が見えてくる、といったように、パズルのピースが少しずつ埋まっていく感覚です。この非線形な章立てが、観客に能動的な思考を促し、より深い恐怖体験をもたらすのです。
- Vシネマ版「呪怨2」の内部時系列: 「呪怨2」Vシネマ版も同様に、章立てで展開します。ご指摘の通り、正確には「伽椰子」→「響子」→「達也」→「神尾」→「信之」→「沙織」の順で物語が進みます。こちらは、Vシネマ版「呪怨」で始まった呪いが、さらに別の場所や人々へと拡大していく様が描かれます。佐伯家から一歩外に出た世界でも、呪いがその影響力を増していることが示され、より広範囲な恐怖を感じさせます。Vシネマ版「呪怨」の直接的な後日談であり、Vシネマ版の物語としては「呪怨」→「呪怨2」の順で展開していると解釈できます。
劇場版「呪怨」&「呪怨2」:Vシネマ版の「再構築」と「続編」
ここが最も重要なポイントです。劇場版の「呪怨」と「呪怨2」は、Vシネマ版の単純な続編やリメイクではありません。
- 劇場版「呪怨」(2003年)の位置づけ: この劇場版は、Vシネマ版「呪怨」と「呪怨2」のエッセンスを抽出し、一つの作品として再構築されたものと考えるのが適切です。Vシネマ版で確立された伽椰子や俊雄、呪われた家の設定、そして不連続な時系列で恐怖を増幅させる手法を継承しつつ、より洗練された映像表現と、メジャーなキャストを起用することで、幅広い層の観客に「呪怨」の恐怖を届けました。つまり、劇場版「呪怨」は、Vシネマ版の「パラレルワールド的な再解釈」であり、Vシネマ版の後に起こる出来事を描いたものではありません。物語の核となる呪いの連鎖は同じですが、展開や登場人物の設定には変更が加えられています。
- 劇場版「呪怨2」(2003年)の位置づけ: この劇場版「呪怨2」は、前述の劇場版「呪怨」の直接的な続編にあたります。劇場版「呪怨」で描かれた出来事の後に、新たな登場人物たちが再び佐伯家の呪いに巻き込まれていく様が描かれます。Vシネマ版「呪怨2」とは、タイトルは同じですが、物語の繋がりとしては全く別物です。
時系列を理解する意義
このように、Vシネマ版と劇場版が異なる時系列と位置づけにあることを理解することは、各作品の魅力を深く味わう上で非常に重要です。
- Vシネマ版: 監督の初期衝動が詰まった、生々しく実験的な「呪怨」の原点として楽しめます。断片的な情報の提示が、観客自身に恐怖を構築させる独特の没入感があります。
- 劇場版: Vシネマ版の核となる恐怖を、より多くの観客に伝わるように洗練させ、エンターテインメント性を高めた「呪怨」として楽しめます。

bitotabi
今回のVシネマ版劇場公開は、この二つの異なる「呪怨」の顔を比較し、それぞれの表現の奥深さを再認識する絶好の機会となるでしょう。

ダニー
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