最近、『男はつらいよ』の映画シリーズを、継続的に鑑賞しています。
毎回オープニングで流れる渥美清が歌うテーマ曲が、ふとした時に頭を流れ、思わず口ずさんでしまう。
不思議な魅力のある曲なんですよね。
有名な曲だから、リズムは知っていたけど、どんな歌詞かは今までしっかりと考えたことはなかったんです。
映画を観ると、なるほど、そういうことか。と感じるところが大いにあります。
で、現代の暮らしや、普通の勤め人として聞いたときに、この歌詞の解釈って案外難しいんじゃないかと思うんです。
特に、若い人たちにとって。

そこで、今回の記事では、『男はつらいよ』のテーマ曲を、細かくどういった意味なのか考察していこうと思います。

はじめに、どんな歌詞だったか紹介するね。動画も貼っておくよ!
歌詞
(口上)
私生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天でうぶ湯を使い、姓は車、名は寅次郎。
人呼んでフーテンの寅と発します。
(歌)
俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえのよろこぶような
偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐も無く
今日も涙の今日も涙の日が落ちる
日が落ちる
ドブに落ちても 根のある奴は
いつかは 蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら
こんな苦労も
こんな苦労もかけまいに
かけまいに
男とゆうものつらいもの
顔で笑って
顔で笑って腹で泣く
腹で泣く
(口上)
とかく西に行きましても東に行きましても
土地土地のお兄貴さんお姐さんにごやっかいかけがちになる若造です。
以後見苦しき面体お見知りおかれまして、向後万端ひきたってよろしくおたの申します。
歌詞考察
それではここから、歌詞について細かく考えていこうと思います。
私生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天でうぶ湯を使い、姓は車、名は寅次郎。
人呼んでフーテンの寅と発します。

これは、テキヤ稼業人の間で使われていた自己紹介の口上のようなものらしいです。第6作純情篇で、寅さん自身がそのように言ってました。
帝釈天というのは、葛飾柴又にある「経栄山題経寺(きょうえいざん だいきょうじ)」という日蓮宗のお寺の通称で、ここで生まれた、所縁があるということを伝えているんですね。
フーテンというのは、通常の社会生活からはみ出し、ぶらぶらと自由な人生を送っている人のことを指します。
俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえのよろこぶような
偉い兄貴になりたくて

妹というのは、もちろん倍賞千恵子演じる「さくら」のことですね。
お嫁に行けぬというのは、第一作で寅さんがさくらの見合いをぶち壊したように、あんなめちゃくちゃな兄がいると知られてはお嫁にいけないよなということを俯瞰して言っているのです。
でも、さくらの話に耳を傾け、労働者としてコツコツ働こうとする話もあったり、なにかしら大成したい、所帯を持って落ち着きたいと願う話もあるので、後半はそういった意味合いになります。
奮闘努力の甲斐も無く
今日も涙の今日も涙の日が落ちる
日が落ちる

どのストーリーにおいても、寅さんは誰かのためにいっちょやってやるか!と働きかける流れがあります。しかしそれは空回りや徒労に終わるというのもまた定型パターンなんですね。恋に関してもしかり。
ドブに落ちても 根のある奴は
いつかは 蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは

この根というのは、故郷柴又と、さくら、おいちゃん、おばちゃんなどの家族を指しているとも、性格的な芯、根っこの部分とも解釈できます。
私は後者としての側面が強いだろうと思ってます。
失敗してもいつかは報われるという、悲痛を歌っているんですね~。
目方で男が売れるなら
こんな苦労も
こんな苦労もかけまいに
かけまいに

目方というのは、重さを表す言葉です。
体重だけじゃなくて、身体の大きさも含んでいると思うんです。
寅さんはしばしば腕っぷしの強さや、身体の丈夫さ、体型のよさについて言及されることがあるので、もしそういった部分のみで自分が評価されたなら、簡単でいいのにな。さくらにも迷惑をかけないのにな。そんな歌詞です。
男とゆうものつらいもの
顔で笑って
顔で笑って腹で泣く
腹で泣く

寅さんはいつも虚勢をはったり、ストーリーの定番として恋や夢に破れたとしても、最後は笑顔で終わります。でも腹の内では泣いていると。そこが渡世人の辛いところですね。
とかく西に行きましても東に行きましても
土地土地のお兄貴さんお姐さんにごやっかいかけがちになる若造です。
以後見苦しき面体お見知りおかれまして、向後万端ひきたってよろしくおたの申します。

これも向上です。先述のように、寅さんは日本全国を渡り歩いているので、西に東に旅をしながら生きています。若造と言える年齢かどうかは微妙ですが、テキヤ稼業というか、寅さんが関わる人たちの中ではまだまだ若手なんですよね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『男はつらいよ』のテーマソングの歌詞について解説しました。

この歌詞をじっくり捉えながら聴くと、映画の見え方がまた変わってくるのが面白いです。

名曲だよね~。
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