ほいで、新開や矢野が戻ってくるんの
映画『仁義なき戦い』をNetflixで鑑賞しました。
やくざ映画の名作ですが、私は今回が初めての鑑賞でした。
衝撃です。めちゃくちゃ面白かったです。

今回の記事では、『仁義なき戦い』の作品概要や解説、出てくる用語などをお伝えしていきます。

まずは作品概要とあらすじから!
作品概要
『仁義なき戦い』は、1973年に公開された日本のヤクザ映画で、深作欣二監督が手掛けました。
原作は飯干晃一のノンフィクション小説で、戦後の広島を舞台に、実際のヤクザの抗争を描いています。
「広島抗争」の当事者の一人である、美能組組長の美能幸三という人が獄中で書いた手記に、飯干晃一が解説を加えた内容となっているんです。だから、ほとんど実話なんですよ。
そのため、映画もリアリズムとドキュメンタリータッチの手法で、従来のヤクザ映画とは一線を画しています。
あらすじ
物語は、第二次世界大戦後の広島を舞台に、主人公・広能昌三(菅原文太)がヤクザの世界に足を踏み入れる様子を描いています。広能は、戦後の混乱期において、仲間と共に生き抜くためにヤクザの道を選びます。彼は、様々な抗争や裏切りを経験しながら、次第に組織の中で頭角を現していきます。
主な出演者
- 菅原文太(広能昌三役)
- 梅宮辰夫(若杉寛役)
- 松方弘樹(坂井鉄也役)
- 田中邦衛(槙原政吉役)
- 金子信雄(山守義雄役)
まだまだいっぱいいます!当時の人気俳優が、最高の演技をしているのでもうたまらなくいいんですよ。菅原文太は痺れるくらいカッコいいです。
解説
敗戦1年後の広島。警察が機能してなくて、アメリカのMP(ミリタリーポリス)がいたり駐在兵がめちゃくちゃやってる時代から始まります。爆撃からまだまだ復興しておらず、闇市にたくさんの人が集まっているような様子です。
で、菅原文太は最初ヤクザじゃないんですよね。復員兵なんです。とあるいざこざの中、山守組に手を貸したことで、その後組員になります。

本作は、カメラワークがとにかくかっこいいんですよ。続く死闘編や代理戦争、頂上作戦もそうなんですが。
初めて広能が撃つシーンとか、田中邦衛と山守の2ショットとか。

この二人の2ショットは何度か出てくるんですが、どれも非常に印象的です。
また、本作で見逃せないのが、抗争の際の描写ですね。
血が生々しいのと、やられた方がうめき声とか悲鳴を上げたり、時には恐怖で震えてしまったりするんです。
海外のマフィア映画だと、なかなかこういうシーンは見られません。もちろん、それまでの日本映画でも。このリアリティこそが、この映画の面白さなんじゃないかと思います。本当にあったことだし、ヤクザも自分たちと同じように痛みを感じるし人間味があるもんなんだなと感じられるといいますか。
そして、その中でもそれをより強めているのが菅原文太演じる主人公広能ですね。

彼はヤクザの世界に身を置きながら、まともに見える。仁義を通そうとしているし、常識があるいい人なんです。鑑賞者が共感しやすい人物像なんですね。
タイトルの『仁義なき戦い』というのも、仁義を貫こうとする彼が、仁義もへったくれもない裏切りの連続に巻き込まれてしまう。そういう世界なんです。義理と人情、仁義を重んじるのがヤクザ。そういうイメージがひっくり返ります。
広能とは逆に、卑怯で情けないヤクザとして描かれるのが田中邦衛と金子信雄。もう、この二人は本当にひどい!「こんの外道が!」というセリフが劇中で何度も登場するんですが、まさにこの二人が演じたキャラクターにピッタリなんです。
田中邦衛って、『北の国から』の印象が強すぎて、いい人って印象しかなかったですけど、こんな役がはまるとは思いもしませんでした。初登場時は、絶対いいやつだと思いましたもん笑
あと、梅宮辰夫、松方弘樹も超カッコイイですね。いい役です。梅宮辰夫は、次作で全く違う役で登場するのが少しややこしいんですが、本作ではとにかくカッコイイ。
深作欣二が伝えたかったこと
本作を通じて深作欣二監督が伝えたかったことは「戦後の日本のアナーキズム」や「戦争は間違っていた」ということであると、町山智浩さんが言ってました。私もそう思います。
深作欣二作品は、そのほとんどにそういったメッセージが込められているそうなんですよ。
敗戦後の日本における鬱屈した雰囲気や暴力に満ち満ちた様子を描きつつ、戦争の愚かさとはなんぞや、というのをヤクザの抗争を通じて伝えているんですね。
本作のラストは、広能が坂井の葬式に現れて銃を撃つシーンになっています。広能はその直前に坂井に対して、「ほいで、新開や矢野が戻ってくるんの」というセリフを吐きます。
一部の誰かの利権のために、身をもって争ったって、屍の上に悲しさと虚しさが残るだけ。
そういう戦争の愚かさを描いているわけですね。
そしてこれはそのまま、後の『代理戦争』にそのまま繋がっていき、さらに加速していくわけです。
なんか、ヤクザ映画って、一部のそういう世界に憧れを持つ人が観るものだと思ってこれまで敬遠していたんですが、本作は本当に観て良かったなと思います。
ぶっちゃけ私、ヤクザ映画苦手なんですよ。でも本作は他のものとは全然違いますね。戦争の愚かさ。これが根底にあるし、巧みなカメラワークでまるでそこにいるかのような臨場感が味わえます。感動しました。
最初と最後、原爆で被災した広島の街の様子やスクラップをみせるというのも、ものすごく説得力があります。
用語解説
本作には広島弁やヤクザならではの言葉がたくさん出てきますので、私が分からなかったものを一部ご紹介しておきます。
客分:事情があって組に身を預ける人
出入り:暴力団組織同士の喧嘩を指し、「抗争」「ドンパチ」「火吹く」「音鳴る」とも呼ばれます
カスリ:ヤクザが徴収する監督料。
所払い:地域を限定した追放処分のこと
こんな:こいつ おまえ
ねき:近く
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『仁義なき戦い』について解説しました。

豪華キャストの最高の演技と、カメラワークが痺れる映画だよ!

根底にある戦争に対するメッセージという深みも感じられる素晴らしい作品です。
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