映画「呪怨 -終わりの始まり-」:シリーズに新風を吹き込む衝撃の設定

ホラー映画

2014年に公開された「呪怨 -終わりの始まり-」は、落合正幸監督が指揮を執り、Jホラーの金字塔である「呪怨」シリーズに新たな解釈と恐怖を吹き込んだ劇場版第3弾です。

bitotabi
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本作では、呪怨シリーズのアイコンである「俊雄」に新解釈が加えられ、さらにそれに伴って伽椰子の設定にも変化が表れるんです。

ダニー
ダニー

これが結構面白いんだよね!そうきましたか!って感じ。


豪華キャストが織りなす恐怖

本作の主演は、ホラー映画初挑戦で大きな話題を呼んだ佐々木希です。しかし、今作を改めて見返すと、脇を固める女優陣の現在の活躍ぶりに目を見張ります。当時、若手として頭角を現し始めていたトリンドル玲奈や、まだ新人ながらもその後の大ブレイクを予感させる存在感を放っていた黒島結菜が出演しており、現在の彼女たちのキャリアを考えると、非常に豪華なキャスティングだったと言えるでしょう。一部にはトリンドル玲奈の演技にぎこちなさを感じる声もありましたが、それがかえって、ごく普通の女性が非日常の恐怖に巻き込まれていく生々しさを生み出していたとも解釈できます。


新解釈「山賀俊雄」と呪いの起源:生物学を超えた存在

本作の最も重要なポイントは、シリーズの象徴である少年・俊雄の存在に、これまでの作品とは異なる新たな解釈をもたらしたことです。従来の清水崇監督版では、俊雄は伽椰子の怨念そのものが具現化した存在として描かれていましたが、本作では、より詳細にそのルーツを掘り下げます。

映画が示唆するのは、山賀俊雄という特定の少年の怨念が、伽椰子に寄生し、彼女の精神と肉体を通して具現化していったという、生物学的な出産とは異なるプロセスです。佐伯家という場所にもともと存在した強力な怨念、あるいは山賀俊雄の魂が、伽椰子の満たされない母性や小林俊介への執着という心の闇と共鳴することで、彼女を媒体としてその力を増幅させていったと解釈できます。つまり、俊雄は伽椰子が産んだ「生物学的な子ども」ではなく、呪いによって形作られた超常的な存在なのです。

この新解釈は、シリーズにパラレルワールド的な多様性をもたらすとともに、「実は…」と呪いの根源をさらに深掘りするような、多層的な恐怖を提示しています。伽椰子の日記が、初期の小林俊介への切ない想いから、ひたすら「子どもが欲しい」という狂気じみた執着へと変質していく描写も、彼女が山賀俊雄の怨念によって変容し、呪いを「産み出す」存在へと変化していく過程を示唆しており、非常に不気味で印象的です。

bitotabi
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本作と次作で俊雄を演じている子役は同じなんですけど、見た目はあんまり怖くないんですよね。ロバート秋山が子役の真似しているみたいな感じ。


観る者を飲み込む独特の恐怖演出

「呪怨」シリーズならではの恐怖演出も健在です。本作では、物理的な殺害描写よりも、登場人物が「どこかに吸い込まれる」ような演出が多用されます。これは、単に命を奪われるだけでなく、物理的な「存在の消失」や「異次元への囚われ」を意味しており、明確な死よりも深い、絶望的な恐怖を観る者に与えます。この「吸い込まれる」描写は、シンプルに殺されるのとは異なる、より質の高い恐怖を生み出しています。

また、頻繁に登場する「渦巻き」の演出も象徴的です。これは、呪いが対象を内側へと引きずり込み、精神をも蝕んでいくような、抗えない「浸食」のイメージを喚起させます。そして、伽椰子の日記を読むシーンは、文字情報から滲み出る狂気と、読んでいる者が呪いに侵されていく心理描写が合わさり、観る者に強烈な心理的恐怖を与えます。




時を越えて囚われ続ける「煉獄」の恐怖

「呪怨」の恐怖は、単なる肉体的な死に留まりません。伽椰子や俊雄の呪いは、特定の時間軸に縛られることなく、過去、現在、そして未来へとその怨念を広げていきます。これは、佐伯家で起きた悲劇が単一の出来事ではなく、時を超えて延々と繰り返される「ループ」であることを意味します。

呪われた人々は、この終わりなき悲劇のサイクルに組み込まれ、物理的な死を迎えても魂が解放されることなく、時空を超えた「煉獄」のような状態に囚われ続けます。これは、まるで「火垂るの墓」の清太が、絶望的な状況の中で出口を見出せないまま彷徨い続けるかのような、精神的な消耗と孤立感を伴う恐怖です。

彼らが自身の意思とは関係なく、呪いの連鎖を構成する要素となってしまうことを示しており、その絶望感は計り知れません。

そして、この「時を越えて囚われ続ける」怨念が、まさに時空を超えて現実世界に現れ、人々に襲いかかるのが「呪怨」の大きな特徴であり、観る者にとってより普遍的で逃れようのない恐怖となります。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

「呪怨 -終わりの始まり-」は、従来のシリーズの恐怖を踏襲しつつも、俊雄のルーツに関する新解釈や、伽椰子の変容を描くことで、Jホラーの金字塔に新たな視点と深みをもたらした意欲作と言えるでしょう。

bitotabi
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この作品で提示された新たな呪いの概念と、その恐るべき連続性は、次作「呪怨 -ザ・ファイナル-」でさらに明らかになることでしょう。

ダニー
ダニー

次の記事で詳しく解説するからね~。

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