『ウォーターボーイズ』、『スウィングガールズ』、『ハッピーフライト』、『ロボジー』、『WOOD JOB!』など、青春映画の巨匠として知られる矢口史靖監督が、その作風を180度転換させ、初の本格ホラー映画に挑みました。
それが、現在大ヒット上映中の『ドールハウス』です。主演に長澤まさみを迎え、監督自らが原案・脚本を手掛けた本作は、日本のホラー界に新たな風を吹き込む傑作として、大きな話題を呼んでいます。
恐怖描写に留まらない、緻密なストーリーと心理的な深みが魅力の本作の、見どころを徹底解説します。

噂には聞いていましたが、この作品は本当にすごいです。久々にJホラーの名作がきたって感じ。

見どころを詳しく伝えていくよ!
作品概要
- タイトル: 『ドールハウス』
- 監督・原案・脚本: 矢口史靖
- キャスト: 長澤まさみ、瀬戸康史、田中哲司、風吹ジュン
- 音楽: Yaffle
- 公開: 2025年6月13日
あらすじ 愛する一人娘・芽衣を不慮の事故で亡くした夫婦、鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫・忠彦(瀬戸康史)。悲しみに暮れる日々の中、佳恵は骨董市で亡き娘にそっくりな人形を見つけ、愛情を注ぎ始めます。やがて新たな娘・真衣が生まれると、二人は人形に心を向けなくなりますが、5歳に成長した真衣がその人形と遊び始めた頃から、不可解な出来事が次々と一家を襲います。人形を捨ててもなぜか戻ってきてしまう不可思議な現象に、二人は抗うことのできない恐怖と向き合うことになります。人形に隠された秘密、そして解き明かされる衝撃の真実とは。
ホラー界に現れた新たな傑作、異例の大ヒット
本作は、個人的に『来る』以来のジャパニーズホラーの名作だと感じています。
公開から2ヶ月以上が経過しているにも関わらず、未だ満席が続いているという異例のロングランヒットは、ホラー映画では滅多に見られない現象です。それだけ多くの観客がこの作品の面白さに魅了されている証拠でしょう。
細部にまでこだわった洗練された演出
音楽と映像のクオリティも非常に高いです。派手なシーンや壮大なロケーションがなくとも、本作は演出の力で観客を引き込みます。その洗練された表現は、作品の深みを一層高めていると言えるでしょう。
本作で音楽を務めているのは、Yaffleで、藤井風のトラックメーカーとしても有名です。

名作のエッセンスを巧みに抽出した展開力
私が本作の序盤を観て思ったのは『シャイニング』っぽいなということ。長澤まさみ演じる主人公は、娘の死によって精神を病んでしまう。もしかすると、これらは彼女の幻想、妄想なのか…?と考察させられるんですね。しかし、その後の展開は全く違う。
序盤は『シャイニング』、
中盤は横溝正史作品、
終盤は『仄暗い水の底から』を彷彿とさせながら、
最終的には『エクソシスト』を思わせる救いの無さと呪いの強さを見せつけてきます。
これらの名作・名著のエッセンスを巧みに抽出しながらも、予測不能な独自の展開力を持ち、観客の心を揺さぶります。ドラマ映画のような深みのあるストーリーが、さらなる恐怖を生み出していると言えるでしょう。
長澤まさみ、スクリームクイーンとしての新境地
長澤まさみさんの演技も、本作を語る上で欠かせません。これまで王道のヒロイン役を演じることが多かった彼女ですが、本格的なホラー映画への出演は『アイアムアヒーロー』を除けば初めての挑戦です。それにも関わらず、本作で見せた鬼気迫る演技は素晴らしいの一言に尽きます。特に映画冒頭の絶叫は、すでにこの作品の成功を予感させるほど、強烈な印象を残しました。

長澤さんは、見事にスクリームクイーンとしての新たな才能を開花させたと言えるでしょう。
恐怖と笑いの絶妙なバランス、演技陣の功績
近年のホラー映画が取り入れているコメディ要素のバランスも、本作の大きな魅力です。
約4~5箇所に散りばめられた笑いどころが、観客の緊張を巧みに緩め、その後の恐怖を際立たせる効果を生み出しています。
コミカルなシーンの多くを演じた瀬戸康史さんの演技は称賛に値します。彼の存在が、作品に絶妙な緩急を与えていると言えるでしょう。

矢口作品に息づく「鈴木さん」と「伊丹弥生」
矢口監督の作品では、主人公の名字が「鈴木」であることが多いです。これまでにも、『ウォーターボーイズ』では妻夫木聡さん、『スウィングガールズ』では上野樹里さんが「鈴木」を演じています。馴染みのある名前を使用することで、身近に感じてほしい、我々の物語だと感じられるように、そういったねらいのようです。本作に関しては、嫌ですけどね笑
また、「伊丹弥生」という役名は監督の大学時代の友人にちなんでおり、過去の作品でも必ず登場させています。本作では保育園の先生役として、花柳 のぞみが演じてます。

『ウォーターボーイズ』では秋定里穂さん、『スウィングガールズ』では白石美帆さんが演じています。さらに、『ハッピーフライト』では場内アナウンスで名前がコールされるなど、監督のユニークなこだわりが伺えます。これらの共通点を知ることで、作品をより深く楽しむことができます。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『ドールハウス』は、怖いだけのホラー映画ではありません。青春映画で培われた人間描写の巧みさ、緻密に練られた脚本、そしてキャスト陣の熱演が、恐怖という感情を何倍にも増幅させ、観客の心を揺さぶります。
ホラーファンはもちろん、普段ホラー映画を観ない方にも、ぜひ劇場で体験していただきたい一本です。

日本の映画史に新たな金字塔を打ち立てた、紛れもない傑作と言えるでしょう。

矢口監督、次もホラーなのかな…?
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