アマゾンプライムビデオで配信中の映画『カッコウ』。
美しいアルプスの風景とは対照的に、劇中で繰り返される不条理な怪現象や、説明を削ぎ落とした物語の構成に、戸惑いを覚えた方も多いのではないでしょうか。
本作は、初見では非常に奇妙で難解な印象を与えますが、その背後には緻密に練られた生物学的ロジックが隠されています。

確かに謎が多かったよ!

今回は、物語の核となる「声」の正体や新生物の謎を紐解き、このリゾート地に隠された真の狙いを考察していきます。
作品概要とあらすじ
本作は、2024年に公開されたドイツ・アメリカ合作のホラー映画です。
監督は『Luz ルズ』で注目を集めたティルマン・シンガーが務め、主演は『ユーフォリア/EUPHORIA』のハンター・シャイファー、共演にダン・スティーヴンスを迎えた意欲作です。
【あらすじ】 17歳の少女グレッチェンは、疎遠だった父とその再婚相手、そして口のきけない異母妹と共に、ドイツ・アルプスにあるリゾート地へとやってきます。父の知人である管理人のケニヒは彼らを温かく迎えますが、グレッチェンはこの地に漂う奇妙な違和感を拭い去れません。 やがて彼女の周囲で、奇怪な鳴き声と共に時間がループするような怪現象が頻発し始めます。家族がリゾートの甘い罠に飲み込まれていく中、グレッチェンはこの場所に隠された恐ろしい「繁殖計画」の真実に直面することになります。

「声」による支配:カッコウの生態をどう飛躍させたか
劇中で最も印象的な、相手をフリーズさせ、行動をループさせるあの「声」。実際のカッコウの生態と比較すると、その恐ろしさが浮き彫りになります。
実際のカッコウの雛は、里親を騙して餌を運ばせるため、複数の雛がいるように錯覚させる鳴き声を出し、親鳥の脳を操作します。
映画ではこれをさらに進化させ、特定の周波数やリズムによって人間の神経系を物理的にジャックする能力として描かれています。
あのループ現象は、獲物の脳に過剰な信号を送り込み、処理能力をパンクさせている状態と言えます。まさに、鳥が雛に餌を与え続ける「自動的な反応」を、人間に対して強制的に引き起こしているのです。
「新生物」としての特性と生存戦略
あの女性のような姿をした存在は、恐怖を煽るモンスターという枠を超えた、極めて高度な「托卵」を行う進化した個体です。
劇中でも語られますが、これはカッコウの極めて特徴的な生態です。
彼女たちは人間社会に紛れ込み、自分たちの種を存続させるために他者の家庭(巣)を利用します。自分の子供を他人に育てさせるという「精神的・社会的托卵」を完遂するために、あの声は必要不可欠な武器なのです。
彼女たちの行動原理は悪意ではなく、あくまで生物としての生存本能に基づいています。その「理解し合えない異質さ」こそが、本作の恐怖の本質と言えるでしょう。
施設の責任者の真のねらいとは
あのリゾート地の責任者が、なぜこの異形を保護し、研究していたのか。そこには科学者のエゴと歪んだ目的が見え隠れします。

責任者は、この新生物が持つ「他者を操る能力」や「種の保存能力」に魅せられていました。彼にとってあの施設は、自然界の驚異を観察する場所ではなく、特定の種を人工的に維持・繁殖させるための「巨大な孵化器」だったのです。
リゾートを訪れる人々は、彼にとってはゲストではなく、新生物の卵を育てるための「優秀な宿主(里親)」の候補に過ぎませんでした。人間という種を、別の種の存続のための道具として提供しようとする、究極の背徳行為がそこにはありました。
感想
オーナーの意外性が印象的でした。
キャンプ場の経営者というだけでなく、科学者として割とガチな人間というギャップが意外で面白かったですね。呪術的なアプローチかと思いきや、意外と科学×自然みたいな怪奇現象であったという。田舎のマッドサイエンティストという点では、『ムカデ人間』と似た雰囲気でしたね。プールのある家とかもよく似てました。
自然の生き物に魅了され、それを人間に落とし込むってアイデアも『ムカデ人間』に似てますね。リスペクトしているのかも。
あと、主人公のジュブナイルな側面も見逃せないポイントでしょうか。というか、可哀想な立ち位置なのに、主人公以外は割と頼りにならないんですよね~。なんだか不憫だったけど、あの子はカッコいいです。音楽のセンスもよさそうでした。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
映画『カッコウ』は、生物学的な恐怖を追求した独創的な作品です。
自然界に実在する「托卵」というシステムを、現代社会の家族やコミュニティの中に放り込んだ時、何が起きるのかを描いた冷徹なホラーと言えるでしょう。

次にカッコーの鳴き声を聞いた時、あなたはそれが「誰」を呼んでいる声なのか、疑わずにはいられないかもしれません。

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