最近、ホラー映画にコメディ要素を大胆に取り入れた作品が増えていると感じませんか?
例えば、洋画では話題の『The Monkey』や『The Substance』、邦画でもWeb発の人気作『見える子ちゃん』など、恐怖と笑いが同居する作品が目立ちます。
なぜ現代のホラーは笑いを求めるようになったのでしょうか。

特に、2022年の『NOPE/ノープ』あたりが大きく影響していると思うんです。

その背景にある主な3つの理由を解説するよ!
1. 最大の要因:Z世代との高い親和性
ホラー・コメディ(ホラコメ)が増えている最大の背景には、18歳から24歳のZ世代の嗜好の変化があります。
補足:Z世代がホラー・コメディを好むデータ的根拠
ホラーコメディというジャンルに特化した公開統計は限られますが、Z世代が他の世代に比べてホラー映画を最も多く視聴していること、また、彼らが最も好むジャンルの上位にコメディとホラーの両方がランクインしていることは、複数の調査で裏付けられています。
このことから、ホラーコメディはZ世代の嗜好に合致した、需要の高いクロスオーバーとして急速に支持を広げていると分析できます。
共有体験に最適な「恐怖と笑い」
- 「共有体験」の重視: Z世代は、映画を友人とのウォッチパーティーで見たり、SNSでリアルタイムに共有したりする視聴スタイルを好みます。ホラーコメディは、「驚き」と「笑い」の両方を提供するため、視聴者のリアクションが動画やミーム(ネタ)として非常に扱いやすく、ソーシャルメディアとの親和性が極めて高いのです。
- ストレス解消と緩和: 極度の恐怖(ホラー)の緊張状態から、コメディで一気に解放されるカタルシスが、現代社会のストレスを抱える若年層に強く求められている側面もあります。

私がこれらの映画を映画館で観た時も、周りはかなり若い人が多かったです。
2. 制作側のメリットと「お約束」の進化
ホラーコメディは、作り手にとってもメリットが多く、表現の幅を広げています。
- 制作費の効率化: 大作映画に比べ、比較的少ない予算で制作できるケースが多いです。豪華なセットや大規模なアクションシーンが必須ではないため、費用対効果が高いことも、作品増加を後押ししています。
- ホラーの「お約束」を逆手に取る: 長い歴史を持つホラー映画には、誰もが知る定番の展開や演出が多くあります。コメディ要素を導入することで、その「お約束」をあえてパロディにしたり、裏切ったりする表現が可能になり、新しい切り口の作品が生まれやすくなります。

このあたりは、『スクリーム』を機に徐々に広がっていった印象ですね。
3. ジョーダン・ピール監督が築いた「知的ホラー」の潮流
ホラー・コメディの地位を確固たるものにした立役者の一人が、ジョーダン・ピール監督です。

『ゲット・アウト』(2017) や『NOPE/ノープ』(2022)といった作品は、社会的なテーマや風刺、そしてユーモアをホラーに融合させた「知的ホラー」というジャンルを確立しました。
彼の影響力により、単に怖がらせるだけでなく、観客に思考や議論を促すような多層的なメッセージを持つホラー作品への注目が高まりました。
コメディは、そのメッセージを伝えるための重要な「仕掛け」として機能しているのです。

怖さと共に、笑いも加え、さらにその裏に社会的なメッセージを載せる。彼の優れた仕掛けなわけですね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
現代のホラー映画におけるコメディ要素の増加は、Z世代の視聴傾向という時代の変化と、ジョーダン・ピール監督に代表されるクリエイターの表現の進化が複合的に作用した結果と言えるでしょう。
単に恐怖を煽るだけでなく、「笑い」という要素を加えることで、ホラーはより多くの観客に届く、多角的で洗練されたエンターテイメントへと進化しているのかもしれません。

直球のホラーもいいですが、ホラコメも大好きです。

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