『新・男はつらいよ』第4作 ほろ苦い夢、義弟との絆

コメディ映画

国民的映画シリーズ「男はつらいよ」の中でも、特にコミカルな要素と人生のほろ苦さが絶妙に融合したのが、1970年公開のシリーズ第4作『新・男はつらいよ』です。

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今回は、寅次郎が抱いた大きな夢と、それが現実とぶつかることで生まれる人間模様に焦点を当て、本作の深い魅力を紐解いていきます。

ダニー
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まずは作品概要から!

作品概要

  • 監督: 小林俊一
  • 脚本: 山田洋次、宮崎晃
  • キャスト:
    • 車寅次郎:渥美清
    • さくら:倍賞千恵子
    • 宇佐美春子:栗原小巻(マドンナ)
    • つね:三崎千恵子
    • 博:前田吟
    • 登:津坂匡章
    • 源公:佐藤蛾次郎
    • 梅太郎(タコ社長):太宰久雄
    • 蓬莱屋:佐山俊二
    • 峠茶屋の老婆:村瀬幸子
    • 御前さま:笠智衆
    • 会沢隆夫:横内正(春子の恋人)
    • 吉田医師:三島雅夫(春子の父の主治医)
    • 泥棒:財津一郎
    • おじちゃん(竜造):森川信
  • あらすじ: 旅の途中で立ち寄った茶店で、祖母が孫に電気あんかをプレゼントする姿を見た寅次郎は、家族への深い愛情を感じ、奮発してお土産を抱え柴又へと帰郷します。叔父孝行の願いを胸に、名古屋の競馬場でまさかの大穴を当てた寅次郎は、得意満面に100万円をひけらかし、日頃の感謝を込めておいちゃん夫婦をハワイ旅行へ招待すると宣言します。この破格の噂はあっという間に近所に広まり、寅次郎の株は急上昇。弟分で旅行社に勤める登に旅行の手配を完璧にさせたはずでしたが、好事魔多し。出発当日、旅行代金が登の社長に持ち逃げされていたことが発覚し、ハワイ旅行の夢はあっけなく崩れ去ります。近所の人々に知られることを恐れた寅次郎は、博の機転を借りておいちゃん夫婦と共にひっそりととらやに隠れます。しかし、そこに泥棒(財津一郎)が侵入したことをきっかけに、隠れていたことがバレてしまい、車寅次郎一家は盛大な恥をかくことになります。
  • 制作背景: 本作は、初期シリーズにおける小林俊一監督の演出手腕が光る作品として位置付けられます。山田洋次宮崎晃による共同脚本は、寅次郎のキャラクターをさらに魅力的に掘り下げるとともに、よりテンポの良いコメディ描写と、人情味あふれるドラマを両立させています。この作品のヒットが、「男はつらいよ」シリーズが年2本のペースで公開される礎を築きました。




コメディ色が一層強い:夢と現実の落差が織りなす笑い

『新・男はつらいよ』の最大の魅力は、そのずば抜けたコメディセンスにあります。

特に、寅次郎が競馬で大金を手にする夢のような展開から、ハワイ旅行が白紙になる残酷な現実へと転落するまでの過程は、観る者を爆笑の渦に巻き込みます。

  • 「お大尽」寅次郎の滑稽さ: 大金を手にし、「お大尽」気取りで振る舞う寅次郎の姿は、普段のさえない彼とのギャップが大きく、それ自体がすでに笑いの種です。高価な土産物や、おいちゃん夫婦へのハワイ旅行提案など、その派手な行動は見る者を惹きつけます。
  • ハワイ旅行の顛末: 夢にまで見たハワイ旅行が、旅行会社の詐欺によって一瞬にして消え去るシーンは、喜劇的な悲劇として描かれます。期待が大きかっただけに、その落胆ぶりは一層強調され、観客の共感を呼びつつも、寅次郎の人間臭い一面を浮き彫りにします。
  • 「泥棒騒動」のドタバタ: 旅行の失敗を隠そうと、博の協力でとらやに隠れる寅次郎一家。そこに、偶然にも泥棒が侵入するという絶妙な展開は、畳みかけるようなコメディのリズムを生み出します。泥棒を捕まえようとする寅次郎の奮闘や、隠れていたことがバレてしまう瞬間の大騒ぎは、シリーズ屈指の爆笑シーンと言えるでしょう。この一連のドタバタ劇は、寅次郎の「見栄っ張り」な性格と、それに対する周囲の反応が巧みに描かれ、観客を笑いの渦に巻き込みます。泥棒を演じるのは「ピアノ売ってちょうだい」タケモトピアノのCMでお馴染みの財津一郎。

マドンナについて:純真な心を持つ幼稚園の先生と切ない恋心

本作のマドンナは、人気女優栗原小巻が演じる宇佐美春子です。彼女は知性と品格を兼ね備えた美しい女性として描かれ、寅次郎は例によって一目で恋に落ちます。

  • 職業は幼稚園の先生: 春子は幼稚園の先生として働いています。子供たちに囲まれ、純粋で優しい心を持つ彼女の姿は、寅次郎の心に深く響きます。この職業は、彼女の人柄と優しさを象徴しており、寅次郎が惹かれる理由の一つでもあります。都会的な職業とは異なる、温かく家庭的な魅力を持ち合わせている点が、寅次郎との対比をより一層際立たせています。
  • 寅次郎の純粋な恋: 春子には会沢隆夫(横内正)という恋人がいますが、寅次郎はそんなことはおかまいなしに、いつものように純粋な好意を寄せます。春子もまた、寅次郎の子どものような無邪気さや、裏表のない優しさに触れ、彼に親しみを覚えます。しかし、そこには恋愛感情は生まれず、寅次郎の恋は片思いに終わります。自分の恋が実らないことを知りながらも、相手の幸せを願う寅次郎の優しさが光る場面は、彼がただの「フーテン」ではないことを観客に印象付けます。




ヒロシが大活躍:冷静さと優しさの光

これまでのシリーズでは、寅次郎の騒動に巻き込まれがちだったさくらの夫・博が、本作では重要な役割を果たし、その存在感を発揮します。

  • 寅次郎の良き理解者: ハワイ旅行の失敗で近所に顔向けできない寅次郎を、博は決して責めることなく、献身的にサポートします。とらやに隠れるのを手助けしたり、泥棒騒動の際には率先して対応したりと、冷静かつ実直な彼の人間性が際立ちます。
  • 家族の潤滑油: 博の存在は、寅次郎とおいちゃん夫婦、そしてさくらとの間の緩衝材となります。寅次郎の無軌道な行動を、博が冷静に受け止めることで、とらやの日常に安定と温かさがもたらされます。彼の地道な努力と、家族への深い愛情が、寅次郎の奇想天外な行動と見事なコントラストをなし、物語に奥行きを与えています。博の「大活躍」は、派手なものではなく、寅次郎を理解し、そっと支えるという形であり、それがかえって彼の人間的な大きさを際立たせています。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます。

『新・男はつらいよ』についてお伝えしました。

寅次郎の純粋な夢と、それが現実とぶつかった時の彼の戸惑い、そしてそれでも立ち直ろうとする人間的な強さが、観る者の心に深く響きます。

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ぜひ、この機会に『新・男はつらいよ』をご覧になり、寅次郎が見た夢の顛末、そして彼を取り巻く人々の温かい交流を改めて味わってみてはいかがでしょうか?

ダニー
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前田吟や財津一郎にも注目だよ!

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